【シリーズ開始】なぜ産婦人科医が「こころの話」を?最新データが示す女性のメンタルヘルス事情
「なんだか気分が落ち込む」「理由もなくイライラしてしまう…」
そんな心の問題を、ひとりで抱え込んでいませんか?
YouTubeチャンネル「藤東クリニック インサイト」では、新シリーズ『産婦人科医と学ぶ、女性のための「こころの健康」大全』がスタートしました。このシリーズは、最新の公的データなどを基に、女性の心と体の密接な繋がりを解き明かし、専門家と共に心の健康について考えていく企画です。
記念すべき第1回「なぜ産婦人科医が『こころの話』を?日本女性のメンタルヘルス最新事情」では、衝撃的なデータと共に、現代日本と女性が抱えるメンタルヘルスの現状に迫ります。
「心の不調は特別なこと」は本当?広島県の人口の2.2倍が悩む現実
「心の不調は、何か特別なきっかけがあったり、特別な環境にいる人が経験するもの」と感じていませんか?しかし、最新のデータは、そのイメージが現状とは少し異なることを示しています。
動画で紹介された厚生労働省の令和2年の調査によると、何らかの精神疾患で医療機関にかかっている人の総数は、約615万人にものぼります。 このうち、外来患者だけでも約586万人。 これは、動画の舞台である広島県の人口(約280万人)の実に2.2倍以上にあたり、決して他人事ではない、身近な問題であることが分かります。
外来患者の内訳を見ると、最も多いのがうつ病や双極性障害を含む「気分障害」で約169万人、次いで適応障害などを含む「神経症性障害やストレス関連障害」が約124万人となっており、日々のストレスが心に大きな影響を与えていることがうかがえます。
なぜ産婦人科医が「こころ」の話を?鍵は「45歳~54歳」のデータに
心の不調を抱える人を年代別に見てみると、非常に興味深く、そして女性にとって重要な事実が浮かび上がります。
外来患者約586万人の中で、最も多いのは75歳以上の約136万人ですが、次に大きな山を作っているのが「45歳〜54歳」の世代で、約98万人を占めています。
この「45歳〜54歳」という年齢、何かの時期と重なると思いませんか?
そう、これはまさに、多くの女性が経験する「更年期」の時期と一致するのです。
更年期には、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌がジェットコースターのように急激に減少します。 エストロゲンは、妊娠や出産だけでなく、感情の安定や自律神経の調整にも深く関わっているため、その急減はほてりや動悸といった身体的な不調だけでなく、理由のないイライラ、気分の落ち込み、急な不安感といった「心の不調」を強く引き起こす原因となるのです。
「最近イライラするのは性格のせい」「やる気が出ないのは怠けているから」
そうやって自分を責めてしまう女性が後を絶ちません。しかし、このデータは、その不調があなたのせいではなく、ホルモンバランスという身体の変化が大きく影響している可能性を示しています。だからこそ、女性の体を専門とする産婦人科医が「こころの健康」について語る意味があるのです。
女性の一生はホルモンの波と共に。うつ病経験率は男性の1.6倍
女性のホルモンバランスが大きく変動するのは、更年期だけではありません。初潮を迎える「思春期」のPMS(月経前症候群)、そして「妊娠・出産期」のマタニティブルーや産後うつなど、女性のライフステージは常にホルモンの波と共にあり、そのたびに心も影響を受けやすくなります。
ある調査では、生涯のうちにうつ病を経験する人の割合は、女性の方が男性よりも約1.6倍から2倍高いという結果も出ています。 この背景には、ライフステージごとに繰り返される急激なホルモンバランスの変化が、大きな要因の一つとして考えられています。
あなたのせいではない。一人で抱え込まないで
今回の動画で最も伝えたいメッセージは、「心の不調は、誰にでも起こりうること」そして「決して、あなたのせいではない」ということです。
身体の変化が心に影響を与えているのなら、それは専門家と共に解決していくことができます。「最近、なんだか体の調子がおかしいな」と感じるその不調が、実は心からのSOSサインかもしれません。
「藤東クリニック インサイト」では、今後も女性の「こころの健康」に焦点を当て、様々な情報を発信していきます。次回は、今回も話題に上がった「うつ病」について、なぜ女性に多いのか、そして心と体に現れるサインについて詳しく解説する予定です。
この記事を読んで少しでも気になった方は、ぜひ動画本編をご覧ください。そして、決して一人で抱え込まず、信頼できる誰かや専門機関に相談することを検討してみてください。