妊娠しようとしているにもかかわらず、一定の期間を経ても妊娠しない状態を不妊症といいます。
およそ8組のカップルのうち1組が不妊症になるといわれています。
そのうち約1/3は女性に原因があり、卵巣の働きが弱かったり、卵管の通過性が悪かったり、子宮に問題がある場合などがあります。
また、精子の数が少ない、運動性が弱いなど、男性に原因がある場合も約1/3あります。
残りの1/3は男女両方に原因がある場合や、いろいろ検査しても原因がわからない場合です。
男女とも不妊の原因がある可能性は同じですので、いっしょに検査や治療を受けましょう。
不妊症の検査・治療を始める前に
基礎体温は「手書きのグラフ」につけるのがベストです。しかしながら最近はスマホのアプリでつけて来られる患者様が多くなっています。
せっかく基礎体温をつけても、スマホの画面では排卵の状態を正しく評価できません。
そこで当院では、「ルナルナ メディコ」に対応しています。ご利用の方は、診察前にアプリ上でデータ開示に同意いたただきますと発行されるルナルナデータ番号を診察時にお知らせください。
それによって、基礎体温を当院の電子カルテで見ることができ、手書きのグラフの診断に近づけることができます。
一般不妊検査
次のような検査が必要です。
- ホルモンは正常に分泌されているか
- 卵管の通過性はよいか
- 子宮に異常はないか
- 排卵は規則的にあるか
- 子宮頸管粘液は正常か
- 精液中の精子数と運動性は正常か
一般精液検査
男性因子による不妊は不妊症の約30%を占めると考えられており、非常に重要な検査です。精液中の精子数と運動性などを観察します。
精液検査は通常は4~7日間の禁欲後に行います。特に危険性の無い検査ですので、早めに受けられるのがよいと思います。
子宮鏡検査・卵管通水検査
直径3.1mmの細いファイバースコープを子宮頚部からゆっくりと子宮内腔へと挿入し、子宮頚管や子宮内腔を直接観察する検査です。
不正性器出血の原因検索、子宮頚管や内腔の癒着や隆起性病変の有無の確認、また子宮内膜の機能を評価することもでき、不妊検査の一つとしても非常に有用な検査です。
検査の所要時間は数分間で外来で行います。当院で使用している子宮鏡は、直径が非常に細いため痛みを伴うことはほとんどありません。
卵巣予備能(卵巣年齢)検査
血中の AMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定することによって、卵巣予備能(卵巣年齢)の指標となります。
AMH検査は保険適応がありません。
自費診療ですので、検査料として1万円かかります。
一般不妊治療
タイミング療法〜授精までの治療を指します。まずは、この治療の中でより早期に妊娠ができるように計画をします。
排卵誘発を行わない自然周期による治療、適切な排卵誘発剤を用いた排卵誘発周期による治療などがあります。
排卵誘発
排卵がなかったり、良質な卵ができないとき、その原因を確かめて作用の穏やかな内服薬の少量投与から始めます。経過をみながら効果が不十分な時は漸次増量していきます。
ストレスをためないようにしましょう!
心の問題もからだの機能に少なからず影響を与えます。
子どもを求めて思い悩むことがストレスを生み、その心理的苦痛が妊娠をより難しくしているかもしれません。
残念ながらストレスを和らげる特効薬はありませんが、夫婦の間でよく話し合いわだかまりを残さないようにすること、通院や治療を協力し合うことでストレスを軽くできます。
また、悩みを相談する相手をみつけることも大切です。