妊娠中にパルボウイルスB19に初めて感染すると、胎盤を通過したウイルスが胎児に感染する場合があります。
小児期にリンゴ病(伝染性紅斑)に感染したことがない妊婦さんは感染に注意しましょう。

  • パルボウイルスB19は感染した人の唾液、痰、鼻水の中に出てきて、人から人へと広がります。
  • リンゴ病の患者さんはリンゴ病とわかる症状(両頬が赤くなる)がでる前から、ウイルスを排出しています。
  • 流行時期には感染者や風邪症状のある人との接触をできるだけ減らしましょう。小児と接することが多い職業の方は特に注意が必要です。
  • ふだんから手洗い、うがい、マスクの使用を心がけましょう。
  • 学校や地域で流行している場合、ご家族、特に上のお子さんの発熱や風邪症状に注意し、食器の共有やキスをすることは避けましょう。

パルボウイルスB19とは何ですか?

ヒトパルボウイルスB19は小児でよく見られるリンゴ病(伝染性紅斑)という病気の原因ウイルスです。
小児期に感染していない場合は成人でもパルボウイルスB19に感染します。
日本人の妊婦さんの抗体(免疫)保有率は20〜50%と言われていますので、半数以上の妊婦さんがこのウイルスに感染する可能性があります。
リンゴ病(伝染性紅斑)は4〜5年周期で流行します。季節では春から夏にかけて流行する傾向があります。
最近では2007年、2011年、2015年に流行しました。

妊娠中にパルボウイルスB19に感染したらどんなことがおきますか?

パルボウイルスB19の流行時期には流産や死産が多い事がわかっています。
妊婦さんが感染した場合、ウイルスが胎盤を通過し、約20%の割合で胎児に感染を起こします。そのうちの約20%が胎児水腫(胎児のむくみ)や胎児の貧血を起こします。
これは、妊婦感染全体のおよそ4%にあたります。特に妊娠の早い時期の感染が大きな問題となることが多く、胎児の症状は母体の感染から数週間のうちに出てくることが多いです。
妊娠後期(妊娠28週以降)の母親のパルボウイルスB19の感染による胎児水腫、死産の確率はかなり低いとされています。

パルボウイルスの感染経路と感染予防

残念ながらパルボウイルスB19のワクチンはまだ開発されていません。
また、母児感染を防ぐ方法も確立されていません。
家庭では、感染した人と接触した人の約50%が感染します。
学校での流行では、感染した人とおなじクラスの10-60%の生徒が感染します。
家庭内にリンゴ病のお子さんがいる場合だけでなく、地域でリンゴ病が流行している場合、小児と接することが多い職業の方は特に注意が必要です。
パルボウイルスB19は感染した人の唾液、痰、鼻水の中に出てきて、人から人へと広がります。
リンゴ病特有の皮膚の症状が出る1〜2週間前の「風邪のような症状」の時期に感染力があります。
パルボウイルスB19は感染した人の咳やくしゃみからのしぶきを吸い込んだり(飛沫感染)、感染した人と同じカップで飲んだり、感染した人と同じ道具を使ったりして、ウイルスを自分の口や鼻の粘膜に運ぶこと(接触感染)により感染します。
上のお子さんが知らないうちに感染していることもありますので、流行時期には子供にキスをしない、食事や食器を共有しないこと、また手によってウイルスを運んでしまう場合もあるので、よく手を洗うことも感染の予防のために有効です。

パルボウイルスB19感染の症状

小児の場合、14〜20日の潜伏期間の後、両頬に紅い発疹、体や手・足に網目状の発疹が見られ、1週間程度で消失します。発疹が淡く、他の疾患との区別が難しいこともあります。
発疹が出現する7〜10日前に微熱や風邪のような症状がみられることがあり、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。
大人がかかった場合には、何にも症状が出ない場合もありますが、伝染性紅斑の典型的な発疹や関節の腫れ・痛みが出る場合があります。
関節としては、手関節や腕・膝の関節が多いです。
感染者の約半数は症状が出ない(不顕性)ため、症状がなくてもウイルス感染は否定できません。

リンゴ病の人と接触した、またはパルボウイルスB19にかかったかもしれないと思ったら

大人のパルボウイルスB19感染は症状だけでは診断が難しいことがあります。
そのためリンゴ病にかかった患者さんとの接触の有無や職業などの問診に加え、血中のIgG(保険未収載)、IgMの測定により感染を判定します。
一般的に、ウイルス接触後数日から1週でウイルス血症(他人に感染する時期)となり、約10日目よりIgM抗体が検出され、数日遅れてIgGが上昇します。
IgMが陽性の妊婦さんは最近初めて感染した可能性があるため、当院では定期的に超音波検査で胎児の状態(胎児水腫の有無・血流・羊水量など)を調べ、異常がないか検診を行います。

妊娠中のトラブル

つわり

つわりは、50〜80%の妊婦さんにみられます。

HTLV-1

HTLV-1(human T-cell leukemia virus type 1)から赤ちゃんを守りましょう。

トキソプラズマ

妊娠中にトキソプラズマに初めて感染すると胎児も感染する場合があります。

リンゴ病

妊娠中にパルボウイルスB19に感染すると、胎盤を通過して胎児に感染する場合があります。

B群溶連菌

この菌は妊婦さんの約20%に認められる常在菌で、妊婦さん自身には何の病害も示しません。

クラミジア

統計では、妊婦さんの3〜5%の方がクラミジアを持っています。

妊娠糖尿病

GDM)とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない耐糖能異常です。