【2025年改正】育児休業は「手取り10割」の時代へ|お金と新制度を産婦人科医がやさしく解説
「育児休業を取ったら、お給料はどうなるんだろう?」
妊娠や出産を考えたとき、多くの女性が真っ先に不安を感じるのが、この“お金”の問題ではないでしょうか。2025年4月、その不安に応える大きな制度改正がありました。条件を満たせば、育休中でも手取りで10割相当を受け取れる時代になっています。
この記事では、広島県の産婦人科クリニック「藤東クリニック」が、2025年に変わった育児休業の最新制度を、はじめての方にもわかるように解説します。
この記事でわかること
- 2025年4月に始まった、2つの新しい給付
- 育休中に、実際いくらもらえるのか
- データで見る「育休のいま」(女性84.1%・男性30.1%)
- パートや派遣でも育休が取れる理由
- 育休を取りやすい会社の見分け方
育児休業は「会社の制度」ではなく「法律で守られた権利」
いちばん誤解されやすいポイントからお伝えします。育児休業は、勤め先が独自に用意した制度ではありません。育児・介護休業法という法律で定められた、働く人の権利です。
- 会社に独自の育休制度がなくても取得できます
- 原則として、子どもが1歳になるまで取得できます
- 保育所に入れないなどの事情があれば、最長2歳まで延長できます
- 「小さな会社だから無理」ということはありません
💡 パートや契約社員などの有期雇用でも、子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了しないことが見込まれれば、育休の対象になります。「自分は対象外」と思い込んでいる方が本当に多いので、あきらめずに確認してみてください。
【2025年4月〜】育児休業の新制度は2つ
今回の改正の目玉は、新しく作られた2つの給付です。
| 新しい給付 | 内容 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 出生後休業支援給付 | 既存の育休給付に上乗せし、手取り10割相当を支給 | 子の出生後の一定期間に、両親がともに育休を取得した場合 |
| 育児時短就業給付 | 時短勤務中の賃金に、1割を上乗せ | 2歳未満の子を育てながら時短勤務をする人 |
手取り10割の仕組み
これまでの育児休業給付は、休業前のお給料のおよそ67%(育休開始から180日目まで)でした。ここに新しい給付が上乗せされることで、実質的に収入が減らない水準まで補われます。
flowchart TD
S["🍼 2025年4月スタート<br/>育児休業の新しい給付"]
S --> A["① 出生後休業支援給付"]
S --> B["② 育児時短就業給付"]
A --> A1["夫婦で育休を取れば<br/>手取り10割相当"]
B --> B1["時短勤務の賃金に<br/>1割を上乗せ"]
A1 --> A2["育休中も<br/>収入が実質減らない"]
B1 --> B2["フルタイムに<br/>戻さなくてOK"]
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class S start
class A,A1 benefit1
class B,B1 benefit2
class A2,B2 result
ここだけは押さえて|手取り10割の“条件”
- 手取り10割相当になるのは、夫婦がともに育休を取ったときです
- 対象は、子どもが生まれてからの一定期間です
- パートナーが取らない場合は、これまでどおりの給付になります
⚠️ 「育休=自動的に10割」ではありません。パパの取得が鍵になる点を、ぜひパートナーと共有してください。
育児時短就業給付の具体例
時短で復帰したときに収入が下がる不安も、この給付でやわらぎます。
- 時短勤務中のお給料が月20万円の場合 → プラス2万円
- フルタイムに戻さなくても、収入の目減りを補える仕組みです
データで見る「育休のいま」
「まわりは本当に育休を取っているの?」という疑問に、公的な調査データが答えてくれます。
育児休業の取得率
| 育休取得率 | |
|---|---|
| 女性 | 84.1% |
| 男性 | 30.1%(過去最高) |
男性の取得率は、2019年度の7.48%から2023年度の30.1%へと、4年でおよそ4倍に増えました。国は男性の取得率について、2025年に50%、2030年に85%という目標を掲げています。パパの育休は、これから当たり前になっていきます。
出産後も働き続ける女性は約7割
第1子を出産した女性のうち、出産後も仕事を続ける割合(継続就業率)は69.5%です。出産前に働いていた方の、およそ7割が働き続ける時代になりました。
お母さん世代とは大違い|完全に逆転したデータ
| 第1子を産んだ世代 | 育休を使って就業継続 | 出産を機に退職 |
|---|---|---|
| 1985〜89年 | 5.5% | 35.3% |
| 2015〜19年 | 42.6% | 17.4% |
かつては、育休を使って働き続ける人はごくわずかでした。いまでは育休を使う人が退職する人を大きく上回り、割合がすっかり逆転しています。「出産したら退職」という価値観は、データの上では過去のものになりました。
ただし、雇用形態による差は残っています
| 雇用形態 | 出産後の継続就業率 |
|---|---|
| 正社員(正規) | 83.4% |
| パート・派遣 | 40.3% |
正社員では8割以上が働き続けられる一方、パート・派遣では4割にとどまります。この差を埋める第一歩は、「自分は育休を取れるのか」を勤め先に確認することです。
産婦人科医が伝えたい「産後パパ育休」の大切さ
2025年の制度を語るうえで、医師として強くおすすめしたいのが産後パパ育休です。育休には、いくつかの取り方があります。
| 制度 | いつ・どのくらい取れる |
|---|---|
| 産後パパ育休 | 子の出生後8週間以内に、4週間まで(2回に分割可) |
| 育児休業 | 原則1歳まで(最長2歳まで延長可) |
| パパ・ママ育休プラス | 夫婦で取ると1歳2か月まで延長できる |
産後8週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、お母さんの体が妊娠前の状態に戻っていく、いちばん大変な時期です。
- ホルモンバランスが大きく変化します
- 睡眠不足と授乳で、心身ともに疲れがたまります
- 産後うつのリスクが高まる時期でもあります
この時期にパパがそばにいて家事や育児を担うことは、お母さんの回復にとって医学的にも大きな意味があります。産後パパ育休は、家族の健康を守る制度でもあるのです。
育休を取りやすい会社の見分け方
「制度があっても、取りにくい雰囲気の会社だったら…」という不安もありますよね。取りやすい会社を外から見分ける目印があります。
くるみん認定マークをチェック
子育てサポートに積極的な会社を、厚生労働大臣が認定する制度が「くるみん認定」です。
- くるみん認定を受けた企業 … 4,749社
- さらに高い基準を満たした「プラチナくるみん」 … 676社
- 求人票や会社のホームページでマークを確認できます
- 2025年4月からは男性育休の認定基準が引き上げられ、マークの信頼度がさらに高まりました
就職や転職のときに、このマークがあるかどうかは大きな判断材料になります。
妊娠を伝えれば、会社には説明する義務がある
制度を自分で調べ尽くす必要はありません。妊娠・出産を伝えた社員に対して、会社が育休制度を個別に説明し、取得の意思を確認することは、会社の義務とされています。
妊娠がわかったら、何をすればいい?
はじめての妊娠だと、何から動けばよいか迷いますよね。全体の流れを図にまとめました。
flowchart TD
A["妊娠がわかる"] --> B["勤め先に妊娠を報告する"]
B --> C["会社から育休制度の<br/>説明を受ける【会社の義務】"]
C --> D["取りたい育休を<br/>相談して決める"]
D --> E["産後パパ育休<br/>出生後8週以内に4週間"]
D --> F["育児休業<br/>原則1歳・最長2歳まで"]
E --> G["夫婦で取得して<br/>手取り10割相当を受け取る"]
F --> G
G --> H["安心して<br/>出産・子育てへ"]
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classDef leave fill:#dcfce7,stroke:#16a34a,color:#14532d
classDef goal fill:#fef3c7,stroke:#d97706,color:#78350f
class A,B,D step
class C duty
class E,F leave
class G,H goal
よくある質問(FAQ)
Q. 育休中、お給料はいくらもらえますか?
A. これまでは休業前賃金のおよそ67%(180日目まで)でした。2025年4月からは、夫婦がともに育休を取ることで、手取り10割相当まで補われる新しい給付が始まっています。
Q. パートや派遣でも育児休業は取れますか?
A. 取れます。子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了しないことが見込まれれば、有期雇用でも対象になります。
Q. 手取り10割は、誰でももらえますか?
A. いいえ。両親がともに育休を取得した場合が条件です。パートナーが取らない場合は、従来どおりの給付になります。
Q. 産後パパ育休と育児休業は何が違いますか?
A. 産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に4週間まで取れる特別な枠で、通常の育児休業とは別に取得できます。産後のいちばん大変な時期に、パパがサポートに入れる仕組みです。
Q. 育休を取りたいと会社に言い出しにくいのですが…
A. 妊娠を伝えれば、会社側から制度を説明する義務があります。取りやすさが不安なら、「くるみん認定」の有無も一つの目安になります。
まとめ|制度は「知って、使う」ことで力になる
2025年の改正で押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- ✅ 夫婦で育休を取れば手取り10割相当。時短で戻っても賃金の1割が上乗せ
- ✅ 育休を取る女性は84.1%、男性も過去最高の30.1%。出産後も69.5%が働き続ける時代
- ✅ パートでも育休は取れる。妊娠を伝えれば、会社には説明する義務がある
どんなに良い制度も、知って、使わなければ意味がありません。妊娠がわかったら、体のことはクリニックへ、制度のことは職場へ、どちらも早めにご相談ください。
藤東クリニックでは、妊娠・出産・産後のからだと心のご相談をお受けしています。安心して働き、産み、育てられるよう、私たちも応援しています。