「私だけがおかしいのかな…」と思ったら見てください。産婦人科医から、毎日頑張るあなたへのメッセージ

仕事、家事…日々頑張るあなたへ。産婦人科医が教える心のセルフケアと相談のススメ

「なんだか気分が晴れない」「理由もなくイライラしてしまう…」
仕事や家事に追われる中で、ご自身の心の変化を後回しにしていませんか?

女性のメンタルヘルスは、今、社会全体で向き合うべき重要な課題です。『令和6年版厚生労働白書』でも「こころの健康」が初めてテーマとして取り上げられ、その重要性が示されています。

この記事では、YouTubeチャンネル『藤東クリニック インサイト』の動画「【第4回】今日からできるセルフケアと相談のススメ 〜ひとりで抱え込まない勇気〜」を基に、女性が今日から実践できるセルフケアの具体的な方法と、専門家への相談の大切さについて解説します。

ショッキングな現実、でも「特別なことではない」

まず、私たちを取り巻く現状を知ることから始めましょう。少し厳しいデータですが、これらは決してあなたを不安にさせるためではありません。

  • 精神障害による労災認定件数: 2022年度には710件と過去最多を記録しました。 さらに、2023年度には883件と5年連続で過去最高を更新しています。
  • 女性の自殺死亡率: G7(先進7カ国)の中で、日本の女性の自殺死亡率(人口10万人あたり10.5人)は最も高いという報告があります。
  • 身近な不調: メンタルヘルスの不調で1ヶ月以上休職した方がいる事業所の割合は10.6%に上ります。

これらの数字は、心の不調が決して特別なことではなく、誰にとっても身近な問題であることを示しています。この現実を正しく知ることが、ご自身と大切な人を守るための第一歩です。

産婦人科医が勧める、今日からできる3つのセルフケア

では、具体的に何をすれば良いのでしょうか。ここでは、すぐに始められる3つのセルフケアをご紹介します。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これらこそが心を安定させる土台となります。

1. 基本の「き」、生活リズムを整える

不規則な生活は、女性ホルモンのバランスを乱し、気分の波を大きくする原因になります。特に女性の体は、生活リズムの乱れにとても敏感です。

完璧を目指す必要はありません。「いつもより15分早く寝てみる」「ランチに野菜を一品足す」「一駅手前で歩いてみる」など、自分を追い詰めない小さな工夫から始めてみましょう。

2. 自分の「リズム」を知る

基礎体温を測ったり、スマートフォンのアプリで月経周期を記録したりすることをお勧めします。記録を続けると、気分の波が月経周期と連動していることに気づくかもしれません。

  • 「生理前になると、わけもなくイライラする」
  • 「気分が落ち込んで涙もろくなる」

こうした症状は、PMS(月経前症候群)や、特に精神的な症状が強く出るPMDD(月経前不快気分障害)のサインかもしれません。 原因が「ホルモンのせい」だと分かるだけでも、「今は無理せず過ごそう」と対策が取れ、気持ちが楽になります。

3. 心の栄養、「人とのつながり」

意外と見落としがちなのが、「人とのつながり」です。内閣府の調査では、近所の人と立ち話をしたり、親しい友人が多い人ほど、「生きがい」を強く感じているという結果が出ています。

友人とのランチ、趣味のサークル、家族との会話など、意識的に「つながりの時間」を持つことが、心を支える大きな力になります。

「どうしても気分が晴れない…」そんな時は専門家を頼る勇気を

セルフケアを頑張っても改善しない時、それはあなたの「気合が足りない」からでも「甘え」でもありません。脳の機能の問題など、医学的な治療が必要な「病気」の可能性があるのです。

風邪をひいたら内科へ行くように、心が辛い時は専門家を頼ることが、回復への一番の近道です。

どこに相談すればいい?

  • 公的な相談窓口: 各地域にある「精神保健福祉センター」や、「いのちの電話」など、匿名で相談できる窓口があります。
  • 心療内科・精神科: 専門的な治療を受けることができます。日本の自殺の原因・動機で最も多い「健康問題」の中でも、「うつ病」が突出して多いという事実は、専門的な治療で救える命がたくさんあることを示しています。
  • かかりつけの産婦人科: 実は、産婦人科も心の悩みを相談できる身近な窓口です。

産婦人科が最初の相談窓口になる理由

女性のライフステージの変化と心の健康は、密接に結びついています。特に、産後うつ、更年期に伴う気分の落ち込み、PMS/PMDDなど、女性特有の悩みは、産婦人科医が最も相談に乗りやすい分野です。

「いきなり専門の病院はハードルが高い」と感じる方も、いつもの「かかりつけ医」になら話しやすいかもしれません。まずは私たちのような産婦人科医にお話しください。じっくりお話をお伺いし、必要であれば信頼できる専門医へ責任を持ってお繋ぎします。

ひとりで抱え込まないで。助けを求めることは「勇気」です。

心の不調による休業は、他の病気に比べて長期化しやすい傾向があります。だからこそ、少しでも早く、身近な場所で相談することが大切です。

誰かに助けを求めることは、決して弱さではありません。あなた自身と、あなたの大切な未来を守るための、最も尊い「勇気」です。

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