その気分の落ち込み、本当に「うつ病」?知っておきたい「双極性障害」と「適応障害」との違い
「最近、気分が沈んでやる気が出ない…もしかして、うつ病かもしれない」。
そう感じたことはありませんか?
心の不調は、今や誰にとっても他人事ではありません。厚生労働省の令和2年の調査によれば、精神疾患で医療機関にかかっている外来患者さんは約586万人にも上ります。
産婦人科医が信頼できるデータに基づき女性の健康を解説するYouTubeチャンネル『藤東クリニック インサイト』では、動画シリーズ「産婦人科医と学ぶ、女性のための『こころの健康』大全」の第4回で、多くの方が抱えるこの悩みを深掘りしています。
今回のテーマは、うつ病と間違えやすい代表的な2つの疾患、「双極性障害」と「適応障害」です。気分が落ち込む原因は、必ずしもうつ病だけとは限りません。 正しい知識を持つことが、適切な治療への第一歩となります。
気分のジェットコースター? 「双極性障害」とは
双極性障害(かつての躁うつ病)の最大の特徴は、ハイテンションで活動的になる「躁(そう)状態」と、気分が深く沈む「うつ状態」を繰り返す点にあります。 うつ病との決定的な違いは、この「躁状態」の存在です。
<躁状態のサイン>
- ほとんど眠らなくても平気で活動し続ける
- 「自分は天才だ!」といった万能感に満ちる
- 高額な買い物やギャンブルにのめり込む
- 普段より極端におしゃべりになる
ご本人は「人生で一番調子がいい!」と感じていることが多く、病気という自覚がほとんどないのが難しい点です。 そのため、うつ状態のつらさで受診しても、躁状態のエピソードを医師に伝えないケースが少なくありません。 もし双極性障害にうつ病の薬だけを処方すると、かえって症状を悪化させる危険性があるため、正しい診断が何よりも重要になります。
また、産後の急激なホルモンバランスの変化が引き金となり、「産後うつ」だと思っていたら、実は双極性障害の最初のサインだったというケースも少なくありません。
原因は特定のストレス。「適応障害」とは
適応障害も、抑うつ気分や意欲の低下など、うつ病とよく似た症状が現れます。 しかし決定的な違いは、はっきりとした特定のストレスが原因であることです。
- 特徴: 職場の異動や人間関係、大切な人との別れなど、原因を特定しやすい。
- サイン: 「平日は会社のことを考えると憂うつだが、週末は少し元気になる」というように、原因から離れると症状が和らぐ。
この適応障害を含む「神経症性障害、ストレス関連障害」で治療を受けている方は約124万人にも上り、精神疾患で外来を受診する方全体の約21%を占めます。 これは、誰にでも起こりうる非常に身近な不調と言えるでしょう。
特に女性は、結婚、就職、引越しといった喜ばしいライフイベントでさえもストレスとなり、発症のきっかけになることがあります。 また、45歳から54歳の女性は、更年期の不調や親の介護といった問題が重なり、心のバランスを崩しやすい時期でもあります。 適応障害は「甘え」ではなく、放置すると本格的なうつ病に移行する可能性もあるため、早めの対処が大切です。
一番大切なのは「自己判断しないこと」
双極性障害と適応障害。どちらも「うつ」に似た症状が現れますが、その原因も治療法も全く異なります。
動画の中で専門家が最も強調しているのは、「自分で判断しないこと」です。
気分の波が激しい、特定の状況だけすごくつらい…。それは、あなたの心が発している大事なサインかもしれません。
ひとりで悩まず、専門家にご相談ください
『藤東クリニック インサイト』の動画では、これらの疾患について、さらに詳しく、分かりやすく解説しています。ご自身の心の状態を客観的に見つめ直す、良いきっかけになるはずです。
藤東クリニックでは、女性の身体的な悩みはもちろん、こうした心の不調にも寄り添っています。 どんな些細なことでも、一人で抱え込まずに専門家へ相談することが大切です。