「つわり」についての一般的なお話
妊娠6週ころから始まって、9週ころにもっとも強くなり、それから先は急速に軽くなる吐き気、嘔吐、好みの変化などの症状をいいます。においのあるものを受けつけなくなる、頭痛や眠くなる、などという症状の方もいます。
これら症状がさらにひどくなって、食物や水分がほとんど口から入らず、体重がいちじるしく減ってしまったり、日常の生活ができなくなるような状態を「妊娠悪阻」といいます。妊娠悪阻の状態になると、からだに必要な糖分やカロリーの摂取が不足して、自分のからだの脂肪分を分解してエネルギー源に使用するようになります。脂肪分を分解すると、ケトン体という分解産物を生じ、これがまた吐き気、嘔吐を悪くする要素になり、悪循環に陥ります。妊娠悪阻がひどくなってしまった場合は、お母さんだけでなく、赤ちゃんへの悪い影響も考える必要があります。
つわりは、50〜80%の妊婦さんにみられますが、妊娠悪阻になる人は0.1〜0.5%といわれています。
つわりに関するQ&A
つわりはなぜ起こるのですか?
原因はわかっていません。ホルモンの影響や代謝の急な変化によるものともいわれています。からだが急な変化について行けないため、あるいは急な変化に対応するためなのかもしれませんが、昔の人は、つわりによって妊娠したことを知ったのでしょう。
つわりの最中はどう過ごせばよいのですか?
食べられるものを食べる。飲めるものを飲むことがコツです。
- 空腹時に起こりやすいので、起床時に軽い物を食べてみる(枕元にすぐつまめるクッキー・キャンディ・バナナ・せんべい・クラッカー・あめなどを置く)。
- 食事は少量ずつ、回数を多くして、空腹にならないように。
- あっさりした、においの少ないもの、酸味(柑橘類・酢の物・ヨーグルトなど)を利用してみる。冷やすと食べやすい場合があります。
- 食べられないときは、少しずつでもいいので水分だけでも摂取する。スポーツドリンクや、レモン水、ジュースを凍らせてなめると気持ちが悪くなりづらいようです。
- 規則正しい生活を心がける。
- 精神的な影響もあるので、気分転換を図る。好きな音楽を聴いたりリラックスする。眠いときは昼寝をする。
- ご飯を炊くときのにおいが意外ときついものです。においのもれない炊飯器を使用したり、家族の人に手伝ってもらいましょう。
どのようなときに受診したほうがよいのですか?
つわりがひどくなって、妊娠悪阻の状態になると治療が必要です。
- 1日に何回も吐く
- 水も飲めない
- 体重がどんどん減ってしまう(3〜4kg以上)
- この数日間で急激にやせた。濃い色のおしっこが少ししか出ず、回数も減った
- 日常生活ができない
妊娠悪阻がひどくなるとどのような影響があるのですか?
妊娠悪阻が本当にひどくなると、血液中の電解質(Na,Cl,Kなど)の組成が狂って、さまざまな症状が出ます。また、ビタミンの不足によっていろいろな神経症状が出ることもあります。ひどい場合には、赤ちゃんが死亡したり、お母さんに後遺症を残すこともあります。
妊娠悪阻の治療はどうするのですか?
まず、受診時に尿中のケトン体を調べてもらい、ケトン体が多く出ている場合や、体重減少がいちじるしい場合は全身の管理が必要ですので、入院して治療することが原則です。原則的には、口からものを摂取することをとめて、すべて点滴によって水分、糖分、電解質、ビタミン類を補います。
つわりがつらいとお感じのときは、担当医とよく相談してください。