妊娠中のクラミジア感染について
クラミジアは性行為により男女間で感染する病気ですが、女性の場合は症状がないかあっても帯下(おりもの)の増加程度であることが多く、自分では気づきにくい病気です。
男性は女性に比べてさらに症状はありません。
統計では、妊婦さんの3〜5%の方がクラミジアを持っています。
妊娠中のクラミジア感染の問題点は、早産の原因となる可能性があることと、分娩時に赤ちゃんが産道を通ることで児に感染する可能性があることです。赤ちゃんに感染する確率は、放置した場合30〜50%程度です。
したがって、クラミジアに対する内服治療が必要です。この薬は,胎児には悪影響がないことが確認されていますので安心してお飲みください。薬を飲み終わってから2週間後にもう一度検査して、治ったかどうか確認します。
もうひとつ大切なことは、パートナーの方も感染している可能性があるため、この機会にぜひ泌尿器科を受診して治療を受けていただくことです。あなただけ治療しても、パートナーの方がもし感染していると再び感染がおこり治療の意味がありません。パートナーの方の治療が終了するまでは、性行為はさけてください。
赤ちゃんへの感染は、あなたとパートナーの方がキチンと治療して分娩時に治っていればまずおこりませんが、万一感染した場合は、
- 出生後1週間前後に発症する結膜炎:目が赤くなり「目やに」が増えます。
- 出生後1カ月前後に発症する肺炎: 咳がでて哺乳力が低下します。
の二つが問題ですが、いずれもクラミジア感染の可能性があることが眼科医や小児科医に伝われば診断・治療は容易で重症化することはまれです。
出生後の赤ちゃんに感染があるかどうかを確実に検査することは容易ではなく、また心配だからといって赤ちゃんにむやみに薬を予防投与することは原則として行いません。
したがって、以上の注意点をよく理解し、赤ちゃんの退院後に変わったことがあれば眼科あるいは小児科に受診され、「妊娠中にクラミジア感染があり治療した」ことを必ず担当医師に申し出るようお願いいたします。