【人生100年時代】女性の「老後」と「おひとりさま」への備えとは?産婦人科医がデータで解説
最近、ニュースや雑誌でよく目にする「人生100年時代」という言葉。長生きができることは素晴らしいことですが、診察室でお話を伺っていると、「老後のお金は足りるの?」「夫に先立たれて一人になったらどうしよう」「寝たきりになったら誰が面倒を見てくれるの?」といった、「漠然とした不安」を抱える女性が多いように感じます。
特に私たち女性は、男性とは異なる体の変化やライフステージを迎えます。今回は、厚生労働省の最新データをもとに、女性が直面する「長生きのリスク」と、それを乗り越えるための「幸せな老後戦略」について、産婦人科医の視点から解説します。
1. 女性を待ち受ける「空白の12年」を理解する
まず、私たちが「長生き」という現実をどう捉えるか。そのために、まずは客観的なデータを見ていきましょう。
2023(令和5)年のデータによると、日本人女性の平均寿命は87.14歳です。これは男性(81.09歳)より約6年も長い数字です。世界的に見ても、日本の女性はトップクラスの長寿であることがわかります。
しかし、ここで重要なのは「健康寿命」とのギャップです。健康寿命とは、「日常生活に制限がなく、自立して元気に過ごせる期間」のこと。女性の健康寿命は75.45歳(令和4年)です。
この差を計算すると、約12年(87.14歳 – 75.45歳)。男性の差(約9年)と比べても、女性の方がこの期間が3年も長いのです。この「約12年間」は、介護や医療など、何らかの支援が必要になる可能性が高い期間です。老後を安心して迎えるためには、お金の準備と同時に、「この12年間をいかに短くするか」、つまり「健康寿命をいかに延ばすか」という視点が不可欠なのです。
2. 「おひとりさま」は特別なことではない現実
「家族に迷惑をかけたくない」「一人でいるのは寂しい」というお声もよく耳にします。しかし、これからの日本社会において、高齢者の一人暮らしは「特別なこと」ではなく、「当たり前の未来(スタンダード)」になりつつあります。
2050年、将来の予測では、日本の全世帯のうち20.6%、つまり約5世帯に1世帯が「高齢者の単身世帯」になると推計されています。さらに、高齢者世帯全体で見ると、2050年にはその約半数(45.1%)が高齢者単身世帯になると予測されているのです。
かつての「3世代同居」は、現在ではわずか3.8%(令和5年)と激減しており、家族に介護や生活の支えを頼ることへの依存度を低くしていく必要があります。女性は男性より長生きするため、たとえ現在パートナーがいらっしゃっても、将来的に「おひとりさま」として過ごす期間が生じる可能性は高いのです。
3. 健康と孤独を防ぐ「社会とのつながり」という特効薬
では、不安な老後や、一人で迎える未来にどう備えれば良いのでしょうか。その鍵は「健康」と「社会とのつながり」にあります。
60代の女性の多くが、元気に社会と関わり続けている現実があります。2024(令和6)年のデータでは、60~64歳女性の就業率は65.0%、65~69歳でも44.7%に達しています。
働くことは、経済的な安心につながるだけでなく、医学的にも非常に重要です。
地域での付き合いが希薄化している現状において、仕事やボランティアなどを通じて社会との接点を持つことは、認知症やフレイル(虚弱)の予防に繋がる、まさに「最強の特効薬」となり得ます。これは、未来の「空白の12年」を短くし、健康寿命を延ばすことにも直結するのです。
産婦人科医からの、あなたへのメッセージ
女性の体は、閉経(50歳前後)を境に女性ホルモンの減少とともに大きく変化します。骨密度が低下したり、血管の病気リスクが高まったりと、自覚症状がないまま将来の「寝たきり」につながるリスクがあります。
ですから、長く自分らしく生きるために、まず取り組んでいただきたいのは、ご自身の体の状態を把握することです。
かかりつけの産婦人科で「がん検診」や「骨密度検査」を受け、体の変化を正しく理解し、必要なケアを始めましょう。
「自助(健康管理・資産形成)」と「共助(社会保障・地域とのつながり)」のバランスを大切に、不安を希望に変える一歩を踏み出しましょう。
藤東クリニックでは、女性のライフステージに合わせた健康相談を随時受け付けております。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。