会社が守ってくれないなら自分で守る。「セルフ・インターバル」で心と体の限界を超える前にやるべきこと

はじめに:その「寝不足」は、メンタル不調のサインかもしれません

毎日、お仕事に家事にと忙しく過ごされている女性の皆さん。昨夜はしっかりと眠れましたか?
「忙しいから睡眠時間を削るのは仕方ない」「休日に寝だめすれば大丈夫」
もしそう思っているとしたら、それは少し危険なサインかもしれません。

実は、厚生労働省が発表した「令和6年版厚生労働白書」の中に、私たち医師にとっても見過ごせない重要なデータが示されています。
それは、「理想の睡眠時間と実際の睡眠時間の乖離(ズレ)が大きくなるにつれて、うつ病や不安障害などのこころの不調が疑われる人の割合が増加する」という事実です。

睡眠不足は、単なる「疲れ」の問題ではありません。あなたのホルモンバランスを崩し、心の健康を蝕む大きなリスク要因なのです。

今回は、そんなリスクから身を守るための切り札、「勤務間インターバル制度」について、統計データを紐解きながら詳しく解説します。

1. そもそも「勤務間インターバル制度」とは?

「勤務間インターバル」という言葉、初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
これは一言で言えば、「仕事と仕事の間に、強制的に休憩時間を確保するルール」のことです。

具体的にイメージしてみましょう。
例えば、始業時間が朝8時の会社で働いているとします。繁忙期で残業が続き、夜の23時に仕事が終わったとしましょう。
通常であれば、翌朝も8時に出社しなければなりません。これでは、帰宅して食事やお風呂を済ませると、睡眠時間はわずか数時間しか取れませんよね。

しかし、この制度(例えば11時間のインターバル)が導入されていれば、話は別です。
「仕事が終わった23時から、11時間後までは働かせてはいけない」というルールになるため、翌日の出社時間は「朝10時」に繰り下げられます。

遅刻扱いにならず、堂々と睡眠時間を確保して出社できる。
これが、働く人の健康確保のために国が推進している「勤務間インターバル制度」の仕組みです。

2. データで見る日本の現状:導入率はわずか「6.0%」

「そんな素晴らしい制度、私の会社にも欲しい!」と思われたことでしょう。
しかし、ここで厳しい現実(データ)をお伝えしなければなりません。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、この制度を実際に導入している企業の割合は、わずか6.0%にとどまっています。
前年から0.2ポイントしか増えておらず、普及はほとんど進んでいません。

さらに衝撃的なのは、「導入予定はなく、検討もしていない」と回答した企業が81.5%にも上るという事実です。
つまり、日本で働く人の8割以上は、この制度による守りを受けられない状況に置かれているのです。

3. なぜ会社は導入しないのか?(企業規模別の理由)

なぜ、これほどまでに普及しないのでしょうか? 企業が導入を見送る理由を分析すると、興味深い傾向が見えてきました。

■ 大企業(1,000人以上)の場合
主な理由は「人員不足や仕事量が多い」「顧客対応が必要」など。
制度のことは知っているが、業務の構造上、導入が難しいと判断しているケースが目立ちます。

■ 中小企業(30〜99人)の場合
ここで注目すべきデータがあります。
中小企業において、導入しない理由として最も多かった回答の一つが、「当該制度を知らなかったため(27.1%)」というものです。

約3割の経営者や担当者が、「そもそもこの制度の存在を知らない」のです。
これは逆に言えば、希望でもあります。「反対している」のではなく「知らないだけ」なのですから、従業員から「こういう制度があり、助成金も出るようですよ」と伝えることで、状況が変わる可能性が残されています。

4. 制度がない会社で働く私たちが、今すぐできること

とはいえ、明日すぐに会社のルールが変わるわけではありません。
制度導入率わずか6%という現状の中で、私たち働く女性はどうすれば心身を守れるのでしょうか?

私が医師として提案したいのは、「セルフ・インターバル」という考え方です。

会社にルールがなくても、自分の中で以下のルールを決めてみてください。

  1. 「11時間ルール」を意識する
    残業で遅くなった日は、「退社時間から11時間は脳を休める」と決めましょう。そのために、帰宅後のスマホ時間を減らし、少しでも早くベッドに入ることを最優先してください。
  2. 睡眠は「業務」の一部と心得る
    先述の通り、睡眠不足はメンタル不調の入り口です。「寝るのはサボりではなく、明日良いパフォーマンスを出すための業務の一部」と考え方を切り替えましょう。
  3. 声を上げてみる
    もしあなたが小規模な事業所にお勤めなら、世間話のついでに制度の話を上司にしてみるのも一つの手です。「知らなかった」会社であれば、あなたの声がきっかけになるかもしれません。

おわりに:あきらめないで、自分を守ってください

仕事は大切ですが、あなたの健康や人生よりも大切な仕事はありません。

特に女性の体はデリケートです。睡眠不足が続くと、月経前症候群(PMS)が悪化したり、更年期症状が強く出たりすることもあります。
「みんな頑張っているから」と無理を重ねず、どうかご自身の心と体の声を一番に聞いてあげてください。

藤東クリニックでは、働く女性の皆さんが健やかにキャリアを重ねられるよう、医療の側面からサポートしています。
生理のトラブル、更年期の不調、そして心の悩みなど、少しでも辛いと感じたら、我慢せずにご相談ください。

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