【働きすぎサイン?】長時間労働とこころの不調の関係
現代社会において、多くの方が仕事によるストレスを抱えています。厚生労働省の調査によれば、2022年には仕事に関して強いストレスを感じている労働者の割合は82.2%にも上るとされています。「働きすぎかな?」と感じることはありませんか?本記事では、藤東クリニックインサイトの動画「第3回:【働きすぎサイン?】長時間労働とこころの不調の関係」の内容をもとに、長時間労働がもたらすリスクとその対策についてご紹介します。
日本の長時間労働の現状
働き方改革などの取り組みにより長期的には減少傾向にあるものの、2022年の調査では、雇用者全体の5.1%、約298万人もの方が週に60時間以上働いているというデータがあります。週休2日として計算すると、1日あたり12時間も働いていることになります。20人に1人が長時間労働に従事している現状が見えてきます。
労働時間とこころの健康の関係
データによると、労働時間が長くなるにつれて、うつ病や不安障害の疑いがある割合が増加する傾向が見られます。特に週60時間以上働く方々では、約26.8%(4人に1人以上)がうつ病や不安障害の疑いがあるという結果が出ています。
長時間労働がこころの健康に影響を与える主な要因として、「疲労の蓄積」が挙げられます。労働時間が長くなるほど、「翌朝に前日の疲労を持ち越すことがよくある」「いつも持ち越している」と答える方の割合が増加します。特に週60時間以上働く方では、約34.1%が頻繁に疲労を持ち越している状況です。
さらに深刻なのは、「疲労の持ち越し」が常態化した場合のリスクです。「翌朝に前日の疲労をいつも持ち越している」方々の約59.5%に、うつ病や不安障害の疑いがあるというデータがあります。「まだ大丈夫」「疲れているだけ」と思っていても、回復しない疲労が続く状態は、こころの健康にとって危険なサインと言えるでしょう。
女性のからだへの特有の影響
女性のからだはホルモンバランスの影響を受けやすいという特徴があります。長時間労働による強いストレスや過労、睡眠不足はこのホルモンバランスを乱す原因となり得ます。
具体的には以下のような影響が考えられます:
- 排卵の抑制や月経周期の不規則化(ストレス性の月経不順)
- 無月経
- PMS(月経前症候群)の症状悪化
- 自律神経のバランスの乱れによる様々な症状(めまい、動悸、不眠、胃腸の不調など)
女性特有の不調は個人差も大きく、周囲に理解されにくいこともストレスを増幅させる一因となります。
こころとからだを守るための対策
長時間労働によるリスクから自分を守るために、以下の点を心がけましょう:
- 「たかが疲れ」と軽視せず、自分のからだの声に耳を傾ける
- 「いつもと違う」と感じたら、それはからだからのサインかもしれないと認識する
- 仕事の優先順位を見直し、完璧を目指しすぎない
- 意識的に休息時間を確保する
- 辛い時や不調が続く時は、一人で抱え込まず専門家や信頼できる人に相談する
まとめ
長時間労働の影響についての主なポイントは:
- 日本では約5.1%の方が週60時間以上働いている
- 労働時間が長くなるほど、うつ病や不安障害のリスクが高まる
- 「疲労の持ち越し」は重要な警告サイン
- 過労は女性ホルモンのバランスを崩し、女性特有の不調につながる可能性がある
「最近、疲れがなかなか取れない」「なんだか気分が晴れない日が続く」と感じたら、それは「働きすぎ」のサインかもしれません。早めに気づき、対処することが大切です。
藤東クリニックでは、働く女性が抱える様々な心身の悩み、月経やホルモンの問題、過労やストレスによる不調など、幅広く相談に応じています。気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
次回の藤東クリニックインサイトでは「睡眠」がテーマとなります。疲労回復に欠かせない睡眠の質と時間、そしてメンタルヘルスとの関係について詳しく解説します。ぜひご期待ください。