【医師監修】ストレスって一体なに?原因・種類・対処法を徹底解説|女性の「こころの健康」を守る基礎知識
「なんだか最近疲れやすい…」「イライラする…」
もしかすると、それはストレスのサインかもしれません。
現代社会で生きる私たちは、仕事、人間関係、情報過多など、様々なストレスに囲まれて生活しています。
「藤東クリニックインサイト」は、女性の健康に関する情報を発信するYouTubeチャンネル。今回は、新シリーズ『ライフステージで考えるこころの健康』の第1回目として公開された動画「こころの健康とストレスの基礎知識」の内容を基に、ストレスについて詳しく解説します。
7割以上の女性が感じている「ストレス」の実態
厚生労働白書によると、日本では約74.3%もの女性が、日々の生活の中で何らかのストレスを感じています。これは、多くの女性がストレスを抱えながら生活していることを示唆するデータです。
特に、情報化社会が進む現代においては、20代女性の約67.5%が「常に情報に追われている」と感じているという調査結果も。SNSやインターネットを通じて大量の情報が氾濫し、私たちの心身に負担をかけている現状が伺えます。
ストレスは放置すると、睡眠障害や免疫力低下など、心身に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。まずはストレスの基礎知識を学び、自分自身のこころと体に向き合うことから始めましょう。
ストレスとは?風船の例えで理解するストレスの正体
そもそも「ストレス」とは、一体何なのでしょうか?
ストレスとは、外部からの刺激や環境の変化に対して、私たちの身体や心が反応することを指します。
例えるなら、風船のようなものです。風船に空気を入れると膨らみますが、空気を入れすぎると破裂してしまいます。この風船を私たちの心や体と考えると、空気はストレスに相当します。
適度な空気(ストレス)は風船(心身)を程よく膨らませますが、過剰な空気(ストレス)は風船(心身)を破裂させてしまうのです。
ストレスの種類:3つの側面から理解する
ストレスは、その原因によって大きく3つの種類に分類できます。
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物理的・化学的ストレス
騒音、気温の変化、大気汚染、化学物質など、物理的・化学的な刺激によって引き起こされるストレスです。
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生理的ストレス
睡眠不足、疲労、病気、空腹、過労など、身体的な機能の不調や状態によって引き起こされるストレスです。
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心理的・社会的ストレス
人間関係の悩み、仕事のプレッシャー、経済的な不安、家庭環境の問題、情報過多など、心理的な要因や社会的な要因によって引き起こされるストレスです。
現代社会においては、特に心理的・社会的ストレスが大きな問題となっています。人間関係の複雑化、仕事の多様化、情報過多な社会、将来への不安など、様々な要因が複雑に絡み合い、私たちの心に負担をかけているのです。
ストレスが心身に与える影響:ストレス反応のメカニズム
ストレスを感じると、私たちの体は様々な変化を起こします。これは、ストレス反応と呼ばれる生体防御反応によるものです。
ストレス反応は、主に以下の3つの経路を通じて起こります。
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自律神経系
ストレスを感じると、自律神経系のうち、活動モードの交感神経が優位になります。その結果、心拍数が上昇したり、血圧が高くなったり、呼吸が速くなったりといった変化が現れます。これは、ストレスに対抗するために体が臨戦態勢に入るための反応です。
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内分泌系
ストレスを受けると、脳から指令が出て、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは、血糖値を上昇させ、エネルギーを確保する働きがあります。これも、ストレスに対処するための体の反応です。
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免疫系
ストレスは免疫系にも影響を与えます。短期的なストレスであれば免疫力は高まりますが、慢性的なストレスにさらされると、逆に免疫力が低下してしまうことがわかっています。免疫力低下は、様々な病気のリスクを高めることに繋がります。
このように、ストレスは私たちの心身に様々な影響を与えるのです。
慢性的なストレスは、疲労感、不眠、食欲不振、イライラ、不安感、抑うつ状態など、様々な不調の原因となります。
厚生労働省の調査によると、日本の女性の約30.7%が慢性的な疲労感を抱えていると報告されています。これは、ストレスが私たちの健康に深刻な影響を与えていることの証左と言えるでしょう。
ストレスの感じ方は人それぞれ:個人差と「良いストレス」の存在
ストレスに対する反応は、人によって様々です。同じ出来事に遭遇しても、ストレスを強く感じる人もいれば、そうでない人もいます。
ストレスの感じ方には、性格、過去の経験、価値観、体調、置かれている環境など、様々な要因が影響します。
また、ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」があることも知っておくことが大切です。
良いストレスとは、適度な緊張感や刺激をもたらし、集中力や意欲を高め、成長を促すようなストレスのことです。例えば、目標達成に向けて努力する過程で感じるストレスや、適度な運動による身体的ストレスなどが挙げられます。
一方、悪いストレスとは、過剰で長期的なストレスや、心身に悪影響を及ぼすストレスのことです。人間関係のトラブル、過重労働、パワハラ、将来への不安などが該当します。
大切なのは、ストレスを完全に避けることではなく、ストレスと上手く付き合い、良いストレスを味方につけ、悪いストレスを軽減していくことです。
現代社会におけるストレス要因:デジタル化と孤独・孤立
現代社会は、ストレスを生み出しやすい環境であると言えます。特に、デジタル化の進展と孤独・孤立の深刻化は、現代社会における大きなストレス要因となっています。
デジタル化によるストレス
スマートフォンやSNSの普及により、私たちは常に情報にアクセスできる環境に置かれています。しかし、情報過多は、私たちの心に大きな負担をかけます。
SNSでは、キラキラした情報や他人と自分を比較する情報が溢れており、自己肯定感の低下や劣等感に繋がることも少なくありません。
また、テレワークの普及により、仕事とプライベートの境界線が曖昧になり、オンオフの切り替えが難しくなっている人もいます。常に仕事に追われているような感覚に陥り、心身ともに休まらない状態が続くこともあります。
孤独・孤立によるストレス
核家族化や地域コミュニティの希薄化が進む現代社会では、孤独感や孤立感を抱える人が増えています。
誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込んでしまう状況は、心理的なストレスを増大させます。特に、一人暮らしの女性や高齢者層では、孤独・孤立が深刻な問題となっています。
ストレスと上手く付き合うために
ストレスは、私たちの心身に様々な影響を与える可能性がありますが、適切な対処法を学ぶことで、ストレスを軽減し、こころの健康を守ることができます。
次回の動画では、ライフステージ別の心の健康に焦点を当て、幼年期・少年期・青年期における心の健康について詳しく解説します。
幼少期には親子関係や学校生活、青年期には進路や人間関係など、それぞれのライフステージ特有の課題と、それらが心の健康に与える影響について深く掘り下げていきます。