「最近、急に汗が止まらなくなったり、疲れやすくなったかも…」
もしかしたら、それは更年期症状かもしれません。
今回は、産婦人科の藤東クリニックが配信しているYouTube動画「知っておきたい!女性の健康と経済インパクト」シリーズから、働く女性にとって避けては通れない「更年期症状」について解説します。
更年期症状とは?
更年期とは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が急激に減少する時期のこと。閉経を挟んだ前後10年程度に起こりやすく、この時期に心身の不調を感じるのが更年期症状です。
エストロゲンは、月経や妊娠の維持だけでなく、骨や血管、皮膚の健康にも関わっています。そのため、エストロゲンの減少は、自律神経のバランスを崩し、様々な症状を引き起こします。
主な更年期症状
- ホットフラッシュ:顔や首が急にほてり、大量の汗が出る
- 動悸・息切れ:突然、心臓がドキドキしたり、呼吸が苦しくなる
- 発汗異常:寝汗がひどい、ちょっとしたことで大量に汗をかく
- 疲労感や倦怠感:十分に休んでも疲れが取れない
- 頭痛・めまい:頻繁に起こる頭痛やふらつき
- うつ症状・不安感:気分の落ち込みや急に涙が出る、イライラする
- 集中力低下:物事に集中できず、ミスが増える
これらの症状が重なると、日常生活や仕事に大きな影響が出てしまいます。
働く女性への影響は?
実は、40代〜50代の働く女性の約3人に1人が更年期症状に悩んでいると言われています。
更年期症状は、個人の健康問題にとどまらず、社会や企業にも大きな経済的損失を生んでいます。その損失額はなんと、年間約1.9兆円!
経済損失の内訳
- 労働生産性の損失:約1.72兆円
- 欠勤による損失:約1,600億円
- パフォーマンス低下:約5,600億円
- 離職による損失:約1兆円
更年期症状によって、仕事を休んだり、効率が下がったり、ひいては離職に繋がるケースも少なくありません。
具体的な影響
- 年間平均19.2日の欠勤
- 出勤していても仕事の効率は約68.4%に低下
- 正社員の7.1%、非正社員の10.4%が更年期症状を理由に離職
職場での課題
多くの職場で、更年期症状に対する理解や支援が不十分なのが現状です。
企業側の課題
- 症状について理解が進んでいない
- 当事者である従業員からの申告が少ない
- 「何をすればよいかわからない」(27.5%)
- 「当事者である従業員と話ができない」(18.8%)
従業員側の課題
- 「十分なサポートがない」と感じている人が約7割
- 職場で「症状を理解してもらえない」「話しづらい」と感じている
- 周囲の理解不足が業務負担につながり、欠勤や離職に繋がる
自分でできる対策と職場でできるサポート
更年期症状は、適切な対策で軽減できます。
個人でできる対策
- 食事の見直し:大豆製品(イソフラボン)、カルシウム、ビタミンDを積極的に摂取。減塩・バランスの取れた食生活を心がける。
- 適度な運動:軽いウォーキングやストレッチで血流を改善し、自律神経を整える。
- 質の良い睡眠:就寝前はスマホを控え、リラックスできる環境を整える。
- 婦人科での相談:ホルモン補充療法(HRT)など医学的な治療も有効。
職場でできるサポート(健康経営の推進)
- 理解を深める:更年期症状についての研修や情報提供を行う。
- 相談しやすい環境づくり:相談窓口の設置や、上司・同僚とのコミュニケーションを促進。
- 制度の整備:休暇制度や勤務時間の調整など、働きやすい環境を整備。
- 福利厚生の充実:医療機関との連携や、専門家への相談機会を提供する。
最後に
更年期症状は、誰にでも起こりうる自然な体の変化です。決して一人で抱え込まず、専門家や周囲に相談してください。
職場での理解とサポートが整えば、女性は安心して働き続けられます。また、健康経営に取り組むことは、企業全体の成長にもつながります。
この情報をきっかけに、より多くの女性が健やかに活躍できる社会になることを願っています。
藤東クリニックでは、更年期症状に関する相談を親身に対応しています。お気軽にご相談ください。