母体血清マーカー検査は、胎児異常の早期診断を目的に、妊娠前半期に行われる出生前検査の1つです。

胎児の遺伝学的検査であり、また倫理的および社会的問題を包含している検査であることから、とくに以下の点に注意して実施しています。

母体血清マーカーについての説明を希望される方には、直接口頭で行っていますので、担当医にご相談ください。

  • 日本産科婦人科学会ならびに遺伝医学関連学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」を遵守して行われます。
  • 検査前に、胎児が罹患児である可能性および検査を行う意義、検査法の診断限界、母体・胎児に対する危険性、合併症、検査結果判明後の対応などについて、よく説明し、十分な遺伝カウンセリングを行います。
  • 母体血清マーカー検査の取り扱いに関しては、厚生科学審議会先端医療技術評価部会出生前診断に関する専門委員会による「母体血清マーカー検査に関する見解」、日本人類遺伝学会倫理審議委員会による「母体血清マーカー検査に関する見解」および日本産科婦人科学会による「出生前に行われる検査および診断に関する見解(2007年)」を十分に尊重して施行します。

クアトロテストとは

クアトロテストは確定診断の検査ではなく、ある先天性疾患が起きる確率を予測するものであり、いわゆるスクリーニング検査に分類されます。

この検査では、赤ちゃんが次の疾患を持った確率を調べることができます。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワード症候群)
  • 開放性神経管奇形(開放性二分脊椎・無脳症)

検査時期は妊娠15週から21週まで可能ですが、クアトロテストの結果を見てから羊水検査を受ける場合を考えると、なるべく早い時期(18週まで)に受けることが望ましいです。

検査の方法

妊婦さんの腕から少量の血液を採取し、血液中の4種類のタンパク質など(アルファフェトプロテイン、ヒト絨毛ゴナドトロピン、エストリオール、インヒビンA)を測定します。

検査結果は「必要な情報」にある情報も含めて確率が出されます。

必要な情報

可能な範囲であらかじめ以下の事項をお調べください。
円滑な検査申し込みができます。
ただし、妊娠週数、体重、胎児数は産院で診察のうえで依頼書へ記入しますのであらかじめ調べる必要はありません。

  • 妊娠週数
  • 年齢
  • 体重
  • 人種
    妊婦さんが日本人の場合は日本人のデータを基礎にして計算をしています。
    妊婦さんのご両親など家系内に外国人の方がいらっしゃる場合は、少なくとも妊婦さんが1/2日本人であれば日本人として計算されます。
    それ以外は各人種の割合を先生に伝えてください。
  • 神経管奇形の家族歴
    子供、妊婦本人、夫、妊婦や夫の兄弟、妊婦や夫の両親などに開放性神経管奇形や閉鎖性神経管奇形の既往歴がある場合は先生に伝えてください。
  • ダウン症児出生あるいは妊娠の既往歴
    妊婦さん本人がダウン症児を出産あるいは妊娠したことのある場合は先生に伝えてください。
    親戚や兄弟の情報は不要です。
  • インスリン依存性糖尿病を患っているかどうか
    インスリン依存性糖尿病と診断されている場合は先生に伝えてください。
    薬物治療の情報は不要です。
  • 抗てんかん剤の服用状況
    抗てんかん剤を現在服用している場合は、その薬剤名を先生に伝えてください。
    過去の服薬情報は不要です。
  • 胎児数(双胎以上は検査結果に制限があります。)

これらの情報を考慮し、確率が計算されます。

結果について

21トリソミー(ダウン症候群)

この検査では、スクリーンポジティブ・ネガティブを判断するためのカットオフ値として35歳の妊婦さんからダウン症候群の赤ちゃんが生まれる確率である「1/295」を使用しています。

確率が1/295以上の場合はスクリーンポジティブ、1/295未満の場合はスクリーンネガティブと決めております。

報告書は「Screen Positive ***ダウン症の確率がカットオフ値より高い***」 と書かれてきます。これは、ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる統計的な確率は、カットオフ値である295分の1より高いという意味です。ただし、「高い」という意味は、胎児がダウン症候群であるという意味ではありません。可能性がカットオフ値よりも高い方に属するという意味です。1/100であった場合、100人中1人がダウン症候群ですが、残り 99人はダウン症候群ではありません。

赤ちゃんがダウン症候群であるかを確実に知るには、羊水検査を受けることが必要です。しかし、この検査が原因で約300人中1人の割合で流産が起こることがあると言われています。

報告書は「Screen Negative」と書かれてきます。これは、ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる統計的な確率は、295分の1より低いという意味です。ただし「低い」という意味は、赤ちゃんがダウン症候群では ないという意味ではありません。可能性がカットオフ値よりも低い方に属するという意味です。1/1000であった場合、1000人中1人がダウ ン症候群ですが、残り999人はダウン症候群ではありません。

開放性神経管奇形(開放性二分脊椎・無脳症)

報告書には「Screen Positive ***神経管奇形の確率がカットオフ値よりも高い***」と書かれてきます。スクリーンポジティブ・スクリーンネガティブを判断する基準(カットオフ値)として、開放性二分脊椎や無脳症を含めた開放性神経管奇形の基準は「1/145」、開放性二分 脊椎の基準は「1/290」を使用しています。確率がカットオフ値以上の場合はスクリーンポジティブとなります。なお、カットオフ値未満の場合はスクリーンネガティブとなります。

18トリソミー(エドワード症候群)

報告書には「Screen Positive ***18トリソミーの確率がカットオフ値より高い***」と書かれてきます。スクリーンポジティブ・スクリーンネガティブを判断するカットオフ値として「1/100」を使用しています。確率が1/100以上の場合はスクリーンポジティブとなります。 なお、1/100未満の場合はスクリーンネガティブとなります。

クアトロテストの検出率

クアトロテストでは受検した全妊婦さんを対象に追跡調査を実施し、その調査結果から検出率を算出しています。

  • 21トリソミー(ダウン症候群):86.4%
  • 18トリソミー:79.5%
  • 神経管奇形など:86.1%

(2003年5月までの追跡調査情報)

全受検者から診断された先天性疾患の数とスクリーンポジティブ群から診断された先天性疾患の数の割合を検出率としています。

例えば、100人のダウン症児のうち、86人はクアトロテストでスクリーンポジティブという結果を得た方から生まれましたが、残りの14人はスクリーンネガティブという結果を得た方から生まれたことになります。

クアトロテストのメリット

特に若齢妊娠の方で、羊水検査は流産が心配だと考えている場合に第1段階のテストとしてクアトロテストを受けることができます。クアトロテストの結果によって確定診断である羊水検査を受けるかどうかを決めることができます。
お母さんからの少量の採血で検査が出来るので赤ちゃんにとって安全です。

クアトロテストのデメリット

双胎以上の妊娠の場合、結果報告に制限があります。
クアトロテストは確定診断ではなく確率の算定です。

費用

クアトロテストは保険適応がありません。
自費診療ですので、検査料として3万円かかります。

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