女性の健康と経済インパクト：婦人科がんと仕事の両立
この度、「知っておきたい、女性の健康と経済インパクト」シリーズの最新動画「衝撃の事実！婦人科がんが職場を蝕む？年間6000億円損失の真相」を公開いたしました。
婦人科がんとは
婦人科がんとは、主に女性特有の臓器に発生するがんの総称です。具体的には、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどが含まれます。
- 乳がん: 乳腺にできるがんで、女性のがんの中で最も多いものの一つ。早期発見と適切な治療が重要です。
- 子宮頸がん: 子宮の入り口（頸部）にできるがんで、HPV（ヒトパピローマウイルス）の感染が主な原因。定期的な検診で早期発見が可能です。
- 子宮体がん: 子宮の内側（体部）にできるがんで、不正出血などが症状として現れることが多いです。
- 卵巣がん: 卵巣にできるがんで、初期には症状が出にくく、発見が遅れることもあります。
これらの婦人科がんは、早期発見と適切な治療によって克服できる可能性が高い一方で、治療と仕事の両立には多くの課題が存在します。
婦人科がんによる経済損失
婦人科がんによる経済損失は年間約6,000億円にのぼります。その内訳は以下の通りです。
- 労働生産性の損失：約5,900億円
- 欠勤による損失：約1,100億円
- パフォーマンス低下による損失：約150億円
- 離職による損失：約1,600億円
- 休職による損失：約3,000億円
- 企業側の追加採用活動費用：約500億円
がんの種類別に見ると、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんそれぞれが約2,000億円前後の経済損失をもたらしています。これらの損失を減らすためには、早期発見・早期治療と、適切な職場支援体制の整備が不可欠です。
婦人科がん患者の就労状況
婦人科がん患者の就労状況は深刻です。
- 正規雇用者の7.6%、非正規雇用者の22.2%が離職を余儀なくされています。
- 休職については、正規雇用者の28.3%、非正規雇用者の25.2%が一時的に仕事を休まざるを得ない状況です。
- 診断から治療開始までの期間に離職する方が最も多く（40.2%）、治療開始後の離職も48.3%に達します。
- 離職の理由としては、仕事を続ける自信の喪失、会社や同僚への迷惑を懸念、治療に必要な休みが取れないなどが挙げられます。
- 診断から1年以内の休職日数は、1～10日が25%、11～20日が18%、31日以上が40%となっており、長期的なサポートが重要です。
職場での支援体制
企業側の課題として、約7割の女性が健康や体に関する十分な支援がないと感じています。約3割の企業が「何をすればいいかわからない」、約2割が「当事者である従業員と話ができない」と回答しており、支援体制の構築が急務です。
具体的な支援策としては、以下の3つが重要です。
- 柔軟な勤務制度の整備:
- フレックスタイム制、時短勤務、テレワークなどの導入で治療と仕事の両立を支援。
- 休暇制度の充実:
- 有給休暇の時間単位取得、治療目的の特別休暇制度の導入。
- 診断から1年以内は平均48日、1年以降も年間平均29日の休暇が必要な場合を考慮。
- 相談窓口の設置:
- 産業医や保健師との連携、外部の医療機関との情報共有体制の整備。
これらの支援策を実施している健康経営優良法人では、年間約0.2兆円の経済効果が見込まれており、全ての企業が導入した場合、最大約1.1兆円の経済効果が期待できます。また、支援体制を整えている企業では、女性社員の平均勤続年数が13.0年から15.9年に延びるなど、具体的な成果も出ています。
メッセージ
婦人科がんは誰にとっても身近な課題であり、女性の就労率が上昇する中で、罹患率も増加しています。治療と仕事の両立を難しくする要因として、体力的負担、職場の制度や理解の不足、復職後のサポート体制への不安などが挙げられます。
安心して働き続ける社会を目指すために、以下の点が重要です。
- 定期的な婦人科検診の受診
- 職場での健康相談窓口の活用
- 不調を感じたら早めに専門医に相談
- 企業側は柔軟な勤務制度や相談体制の整備
藤東クリニックでは、婦人科検診やがん治療後のフォローアップを充実させ、皆様の不安を少しでも軽くできるよう努めております。