【10社に1社で休職者】は他人事じゃない!産婦人科医が国のデータで解き明かす、働く女性が自分を守るための新常識
「最近、なんだか疲れやすい」「仕事のストレスで夜、よく眠れない…」
広島県の産科婦人科クリニック「藤東クリニック」には、日々多くの女性が様々な体の不調を相談に訪れます。そして、その不調の背景に、仕事の悩みやストレスが隠れていることは決して少なくありません。
実はその不調、あなただけの問題ではないかもしれません。
国の最新データ(令和6年版厚生労働白書)によると、日本の職場では今、働く人のメンタルヘルスが深刻な課題となっています。
この記事では、当院のYouTube新シリーズ「働く女性のための、こころと体の守り方」の内容を基に、国の統計データから見える日本の職場のリアルな現状と、私たち女性がこれからの時代を生き抜くために必要な「自分を守るための知識」について、産婦人科医の視点から分かりやすく解説します。
新動画シリーズ「働く女性のための、こころと体の守り方」が始まりました!
この度藤東クリニックでは、公式YouTubeチャンネルにて新シリーズの配信を開始いたしました。
▼【第1回】もはや他人事じゃない!日本の職場のメンタルヘルス最前線
(ここにYouTube動画の埋め込みを想定)
「なぜ産婦人科のクリニックが、仕事やメンタルヘルスの話をするの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、仕事のストレスが、月経不順やPMS(月経前症候群)、妊娠・出産、更年期症状といった女性特有の心身のゆらぎに、直接的な影響を与えることを、私たちは日々の診療で痛感しているからです。
心と体は密接につながっています。だからこそ、私たちは産婦人科医として、働くすべての女性に、ご自身の心と体を守るための正しい知識をお届けしたいと考えています。
データで見る、日本の職場の「3つの不都合な真実」
動画の第1回では、厚生労働省の最新データを基に、日本の職場の現状を解説しています。ここでは、特に知っておいていただきたい3つの事実をご紹介します。
【事実1】あなたの隣の席が、ある日空席になるかもしれない現実
「同僚が心の不調で休職した」という話は、もはや特別なことではありません。
データによると、メンタルヘルスの不調で1ヶ月以上休職、または退職した人がいる会社の割合は、全体の約1割にのぼります。つまり、10社に1社の割合で、誰かが心の不調によって職場を離れているのです。
さらに衝撃的なのは、一度メンタル不調で休職した場合、他の病気と比べて復職を断念する人の割合が42.3%と、際立って高いという事実です。これは、心の健康を一度損なうと、キャリアの継続が非常に困難になるという厳しい現実を示しています。
【事実2】会社の規模で命運が分かれる?深刻な「対策格差」
国もこの事態を重く見て、企業にメンタルヘルス対策を推進しています。しかし、その取り組みには、会社の規模によって大きな「格差」が存在します。
- 従業員50人以上の企業:対策実施率 91.1%
- 従業員10人~29人の企業:対策実施率 55.7%
このように、比較的大きな企業では9割以上が対策に取り組んでいる一方、中小企業ではその割合が約半数にまで落ち込んでしまいます。
この差が生まれる大きな要因の一つが、年に一度の「ストレスチェック制度」です。この制度は、従業員50人以上の企業では法律で実施が義務付けられていますが、50人未満では努力義務に留まっています。
あなたが働く会社の規模によって、受けられるセーフティネットに明確な差がある。これが日本の職場の現状なのです。
【事実3】「人手不足」と「情報不足」がセーフティネットを蝕む
なぜ中小企業では対策が進まないのでしょうか。
国の調査からは、「人員不足や仕事量が多い」「そもそも制度を知らない」といった構造的な問題が浮かび上がってきます。
特に、従業員30~99人の企業では、休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」を導入しない理由として、27.1%が「制度そのものを知らなかった」と回答しています。
人手不足や情報格差が、働く人を守るはずのセーフティネットの整備を阻んでいるのです。
これからの時代、知識はあなたを守る「お守り」です
今回ご紹介したデータは、私たちが置かれている厳しい現実を示しています。
しかし、絶望する必要はありません。大切なのは、会社の制度だけに頼り切るのではなく、私たち一人ひとりが「正しい知識」を身につけ、自分の心と体を守る意識を持つことです。
今後の動画シリーズでは、
- 年に一度のチャンスを逃さない「ストレスチェック活用術」
- 泣き寝入りしないための「ハラスメント対策」
- 「治療」や「育児・介護」と仕事を両立するための支援制度
など、すぐに役立つ具体的な知識を、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
ぜひYouTubeチャンネルを登録して、ご自身のキャリアと人生を守るための「お守り」を手に入れてください。
そして、もし今あなたが一人で悩みを抱えているなら、決して抱え込まずに、私たち専門家にご相談ください。