風疹予防対策をおこなっています

昨年から国内の風疹患者さんが増え、同時に先天性風しん症候群(CRS)の報告が増えました。
風疹の流行と先天性風疹症候群の発生は、風疹ワクチンで予防できます。
藤東クリニックでは、スタッフ全員が風疹抗体価を調べ、ワクチン接種を行なっています。

風疹とは?

風疹は、風疹ウイルスによるウイルス感染症です。集団生活に入る1〜9才の子供に多く発生し、発しん、発熱、リンパ節の張れなどが主な症状です。症状は比較的軽く三日で良くなるので「三日はしか」とも言われ、15〜30%の人は症状も出ません。

また大部分の人は、一度かかると二度とかかることはありません(終生免疫といいます)。

風しんの潜伏期間は2〜3週間で、飛まつ感染によって人から人に移ります。このため、風しんに感染したら学校へは行けません。学校保健法によって、発しんがなくなるまで出席停止が義務付けられています。

このように軽い症状ですむことが多い風しんですが、なかには脳炎や血小板減少性紫斑病などの重い合併症が出ることがあったり(確率は2000〜5000分の1)、大人になってからかかると症状がひどくなることがあります。

さらに、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、胎盤を介しておなかの赤ちゃんも感染し、赤ちゃんが難聴・眼異常・心疾患などの障害を持つ先天性風しん症候群になることがあります。

風疹の歴史

風しんはもともと毎年散発的に発生する感染症で、約5年周期で春から初夏にかけて流行していました。
1964年に米国、続いて1965年に沖縄で風しんが大流行し、その後沖縄では400名近い先天性風しん症候群の発生がありました。

これを受けて、1969年以降世界は風しんワクチン時代に入り、小児全員にワクチンを開始した米国はその後の風しん流行と先天性風しん症候群を制圧しました。英国と日本は妊娠可能になる中学生女子だけを対象としたところ、ワクチン開始後も5年周期の風しん流行が続きました。

1994年、日本は予防接種法を改正し、ワクチンを接種する対象を1〜7歳半の男女に変更しました。その後風しんの大流行はなくなりましたが、昨年から流行が見られています。

予防接種法改正によってその後の風疹大流行はありませんが、1994年当時7才半を越え中学生までの女性は、定期接種を受ける機会が少ない「谷間世代」となってしまいました。
厚生労働省は、この谷間世代(1979〜1987年生まれ)に対して、2003年9月まで一部公費負担にして接種を呼びかけました。
しかし全国の20〜39歳の約520万人(うち女性は約70万人)が風疹に対する免疫を持っていないと推計されています。
「谷間世代」は、2004年で26〜34才になり、現在子供を産む年齢を迎えています。

風疹に対する免疫のない人の割合が増えると必ず地域的な流行が起こります。先天性風疹症候群については、報告制度ができてから毎年0〜1例だったのが、2004年は1年間で10件もの報告があり、2012年から現在までで10件もの報告があります。

風疹ワクチンの予防接種

風疹ワクチンは、風疹ウイルスを弱毒化した生ワクチンです。ワクチンの中でも風疹ワクチンは副反応が少なく、あっても軽微と言われています。
また、風疹ワクチンは95%以上の効果があるとされています。

風しんの予防注射の目的は、おもに次の3つです

  • 妊婦さんが感染することによる、「先天性風しん症候群」の発生を防ぐ。
  • 脳炎などの重い合併症が比較的多いと言われる「自然感染」を防ぐ。
  • 症状が重くなることが多い「大人の感染」を防ぐ。

妊娠する可能性のあるみなさんへ・・・

妊娠する前に風疹の抗体価を調べましょう。予防注射のあと2〜3ヶ月は避妊が必要です。妊娠中の接種を避けるためには、生理直後に接種すると良いでしょう。
また、その家族のみなさんも妊婦への感染波及を防ぐためにも、抗体価を調べましょう。

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