藤東クリニックお悩み相談室~スローセックスについて~
現在妊活中で、1年ちょっとになります。スローセックスが妊活に効果的だと言われていると聞きましたが本当ですか?
スローセックスとは?
スローセックスとは、一般的な性行為のように「挿入や絶頂(ゴール)」だけを目的とするのではなく、時間をかけて互いの肌に触れ合い、心と体のコミュニケーションを深く楽しむ行為のことです。
快楽を急ぐのではなく、丁寧な愛撫や目線を合わせること、やさしい声かけなどを通して、お互いの心地よさや愛されている感覚をじっくりと味わいます。結果や達成感に捉われないため、性生活に対するプレッシャーや義務感を和らげることができるのが大きな特徴です。
スローセックスは妊活におすすめ?
結論から言うと、スローセックスは妊活中の方にとてもおすすめです。
妊活を続けていると、「排卵日に合わせて行為をしなければならない」という義務感から、営みが作業的になってしまいストレスを感じるご夫婦は少なくありません。スローセックスを取り入れることでプレッシャーから解放され、夫婦間の精神的な満足度や安心感が大きく高まります。
また、心地よい触れ合いによって「幸福ホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌され、自律神経やホルモンバランスが整いやすくなるという嬉しいメリットも期待できます。
スローセックスで妊娠率は上がる?
スローセックスそのものによって「直接的に妊娠率が上がる」という医学的なエビデンスはありません。
しかし、精神的なリラックスやスキンシップは、女性の体を受け入れやすい状態に整え、子宮や卵巣の血流を促す助けになります。一番のメリットは「排卵日だけの作業的な性交渉」から抜け出せる点です。夫婦の愛情や満足感が高まり、普段から無理なく性交渉の頻度(タイミング)を保ちやすくなることが、結果として妊娠の可能性を高めることにつながります。
もっと知りたい!スローセックスのやり方と注意点
妊活に役立つスローセックスのやり方
【準備】リラックスできる部屋環境を作る
心身ともに緊張をほぐして深いリラックス状態に入るためには、事前にお互いが快適だと感じられる環境を整えておくことが欠かせません。部屋の照明は間接照明などで少し暗めに落とし、室温も快適な状態に保ちましょう。
日常の忙しさや不安を忘れられるようなプライベート空間を作ることで、自然と副交感神経が優位になり、心地よく没頭しやすくなります。
【前戯】言葉とスキンシップでじっくり心を通わせる
行為に入る前の「心を通わせる時間」をしっかりと確保することが重要です。
まずはベッドの上でお互いの目を見つめ合いながら、日頃の感謝や素直な気持ちを言葉にして伝え合いましょう。「大好きだよ」「一緒にいると落ち着くね」といった声を掛け合い、優しく抱きしめ合うことで、お互いの緊張がほぐれ、身体の受入態勢を整える第一歩となります。
【愛撫】性器以外の全身を時間をかけて撫でる
触れ合う際は、最初から性器などの敏感な部分を触るのではなく、髪、耳たぶ、首すじ、背中、手足など、全身の肌を時間をかけて優しく撫でていきましょう。触れるスピードを意識的に遅くし、ソフトなタッチを心がけるのがコツです。
皮膚をゆっくり丁寧になぞることで、オキシトシンが豊富に分泌され、心身ともに深い安心感に包まれます。
【行為】互いの呼吸や体温を感じながらゆったり過ごす
挿入やつながりを持つ段階に至っても、快楽の到達や射精といった結果を急ぐ必要はありません。お互いの呼吸のペースを合わせ、体温や鼓動を感じ取りながらゆったりと動きを重ねていきましょう。
「今、大切なパートナーと繋がっている心地よさ」そのものを分かち合う姿勢を持つことで、お互いにプレッシャーから解放され、夫婦の絆が深まります。

一般的なセックスとスローセックスの違い
スローセックスと一般的なセックス(性行為)では、「前戯」や「行為全体」にかける時間、そして「前戯と挿入の時間配分」に大きな差があります。
一般的なセックスとスローセックスにおける時間や配分の主な違いは以下の通りです。
時間と配分の比較
一般的なセックス
- 前戯の時間
約5〜15分 - 挿入の時間
約5〜15分 - 行為全体の時間
約15〜30分程度 - 特徴
性器への直接的な刺激や、射精・絶頂(ゴール)に至ることを目的とするため、前戯は「挿入のための準備作業」として短時間で済ませるケースが多くみられます。
スローセックス
- 前戯の時間
約30〜60分以上(※全体の8割以上を占める) - 挿入の時間
約5〜10分程度(あるいは挿入を行わない場合もある) - 行為全体の時間
約45〜90分以上 - 特徴
前戯(言葉の交わし、全身へのソフトタッチ、マッサージなど)そのものをメインの目的とします。射精や絶頂に捉われないため、挿入自体はごく短時間でゆったり行うか、お互いの満足度によっては挿入を省略することもあります。
このように、一般的なセックスでは「前戯:挿入 = 1:1」ほどの時間配分が多いのに対し、スローセックスでは「前戯:挿入 = 8:2」以上と、前戯に圧倒的な時間をかける点に大きな差があります。
行為内容の比較
普段5~15分しかかけていない前戯時間を、いきなり倍以上にしようといわれても何をすればいいのかわからない人も多いかもしれません。一般的なセックスの前戯と、スローセックスの前戯でやることの違いとしては下記のような形になります。
~一般的なセックスでの前戯(具体例)~
普通のセックスにおける前戯は、主に「身体を性的に興奮させること(挿入の準備)」を目的として行われます。
- リップキスや短いハグ
行為のスタートサインとして、唇同士のキスや軽い抱擁を行います。 - 性帯線への直接的な刺激
胸やデリケートゾーンなど、快感を得やすいポイントを中心に指や口で直接刺激します。 - 速めのテンポ・強めの刺激
早く興奮を高めるために、撫でる速度が速くなったり、刺激を強くしたりしがちです。
~スローセックスにおける前戯(具体例)~
スローセックスの前戯は、性器以外の「全身の感覚」をひらき、心と身体をじんわり解きほぐすために行います。性的な興奮を急ぐ必要はありません。
(1)「性器以外」の身体のあちこちにキスやハグをする
- パーツごとの丁寧なキス
おでこ、まぶた、ほっぺた、耳たぶ、首すじ、鎖骨、手の甲、足の指先など、普段キスしないような場所にやさしく唇を落としていきます。 - 体重をあずける包み込むようなハグ
ギュッと力を込めるハグではなく、お互いの体温や心臓の鼓動を感じながら、数分間静かに抱き合い、お互いに体重を預けて全身の力を抜いていきます。
(2)羽で撫でるような「フェザータッチ」で全身を愛撫する
- 手のひらや指先でのソフトタッチ
爪を立てず、手のひら全体や指の腹を使い、羽毛で撫でられているかのような超ソフトな力加減で、腕・背中・お腹・太ももの内側などをスーッとゆっくり這わせます。 - 髪の毛や呼吸を愛でる
相手の髪にそっと指を通したり、頬を手で包み込んだりしながら、呼吸のペースを相手に合わせていきます。
(3)目を見つめ合いながら「心の会話」をする
- アイコンタクト
触れ合いながら、じっと相手の目を見つめ返します。 - 言葉のプレゼント
「ここ触られると気持ちいい?」「肌がモチモチしていて気持ちいいね」「一緒にいられてすごく幸せ」など、愛おしさや感謝を素直に言葉にして伝え合います。
(4)マッサージやオイルを使ったスキンシップ
アロマオイルなどを手に広げ、手のひらの温もりを伝えながら肩や背中、脚のラインをゆっくり揉みほぐします。マッサージの心地よさから徐々に愛撫へとグラデーションのように変化させていきます。手や背中、太ももなどを優しくほぐしながら「いつもありがとう」と感謝を伝えることで、心の緊張が解け、相手への思いやりや愛おしさがより深く伝わります。急がず時間をかけること自体が、最高の思いやりであり、愛の表現になります。
マッサージをする際は、より甘いひと時を過ごせるように香りとテクスチャにこだわったアロマオイルやジェル、ローションを選ぶのもおすすめです。

このように、スローセックスの前戯は「性器に触れるまでの時間」を楽しむ工夫がたくさん詰まっています。急いで脱がせたり性器に触れたりせず、まずは服の上からや全身の素肌へ優しくアプローチしていくのが大きな違いです。
スローセックスを行う際の注意点
挿入や達成感(ゴール)にこだわりすぎない
射精や絶頂に囚われすぎると、「うまくできなかったらどうしよう」という焦りを生んでしまいます。もし途中でどちらかの集中が切れてしまったり、挿入や射精に至らなかったりしても全く問題ありません。
結果を気にせず、肌を重ねる時間そのものを楽しむ姿勢を持つことで、心から満たされる豊かな時間を共有できるようになります。
パートナーへの無理強いやプレッシャーを避ける
どちらか一方が「妊活のためにスローセックスをやろう」と意気込みすぎると、相手にとってはかえって新しいプレッシャーになってしまうことがあります。
まずは「今日はゆっくり話しながらマッサージしようか」などと提案し、相手の体調や気分を最優先に尊重しましょう。お互いのペースを合わせ、焦らず進めていくことが大切です。

妊活のスローセックスの質を上げる工夫
雰囲気を高める「香り」を取り入れる
よりリラックスしてムードを高めたい時は、五感に働きかけるアロマや「セクシーな印象の香水」を取り入れるのがおすすめです。
官能的な香りは脳へダイレクトに働きかけ、日常の忙しさや緊張から解放してくれます。毎回同じ香りを使うことで、特定の香りが特別な感情や記憶を呼び起こす「プルースト効果」も期待できます。

デリケートゾーンの潤い不足や痛みに配慮する
時間をかけて触れ合うスローセックスでは、行為が長くなる分、デリケートゾーンの乾燥や摩擦による痛みが生じやすくなります。痛みを我慢しながらの行為はストレスになってしまうため、少しでも不快感を感じたら無理をせず「潤滑ゼリー(ローション)」などを積極利用しましょう。
お互いに痛みや負担のない状態を保つことが、継続的な質の高い妊活へと繋がります。

妊活中はスローセックスを通じて絆を育む時間も大切に
「排卵日にタイミングを合わせなきゃ」という義務感に追われると、せっかくの夫婦の営みがストレスの原因になってしまうことがあります。そんな時こそスローセックスを取り入れて、時間を気にせずお互いの肌や心に触れ合ってみてください。
プレッシャーを手放し、パートナーと愛し合う時間を純粋に楽しむことが、精神的なゆとりを生み、結果として身体にとっても良い循環をもたらします。妊活中の夫婦関係や性生活について不安や悩みがある方は、一人で抱え込まずに、ぜひクリニックに相談してみましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。





