藤東クリニックお悩み相談室~アフターピルについて~
先日アフターピルが必要になったのですが、家の近くの産婦人科が休みでとても困りました。今は、アフターピルが薬局で市販されているというのは本当なのでしょうか。
アフターピルとは?薬局で市販されている?
アフターピル(緊急避妊薬)とは、避妊に失敗した際や予期せぬ性交渉の後に、望まない妊娠を防ぐために服用する薬です。性交後「72時間(3日)以内」に服用することで、排卵を抑制したり遅らせたりして一定の確率で妊娠を阻止する働きがあります。
日本では長らく医師の処方箋が必要でしたが、2026年2月2日より、全国の要件を満たす一部の薬局・ドラッグストアでの市販(OTC化)が本格的に開始されました。
これにより、処方箋がなくても薬剤師の対面説明を受けることで、その場で購入・服用が可能になっています。ただし、すべての薬局で取り扱っているわけではなく、厚生労働省の研修を修了した薬剤師が在籍する店舗に限定されています。緊急時に慌てないよう、あらかじめ最寄りの取扱店を確認しておくことが重要です。
取扱店舗は、ノルレボの公式サイトで検索することができます。
アフターピルの価格や購入可能な時間は?
薬局で市販されるアフターピル(ノルレボ)の希望小売価格は、1錠7,480円(税込)に設定されています。これまでの医療機関での処方が数千円〜2万円程度と幅広かったのに比べ、価格の目安が明確になりました。
さらに2026年3月9日からはジェネリック医薬品(レソエル72)の市販も開始され、こちらは1錠6,930円(税込)となっています。
購入可能な時間は、各薬局の営業時間に準じますが、薬剤師の対面販売が必須のため、深夜帯などは対応できないケースもあります。ただし薬剤師が土日祝日に勤務しているドラッグストアであれば休日でも入手可能です。緊急時に備え、夜間・休日対応の店舗を事前にリストで確認しておくといいでしょう。
これまでのアフターピルの購入方法
2026年2月の市販化(OTC化)以前は、アフターピルを入手するには必ず医師の診察を受け、処方箋を出してもらう必要がありました。主に産婦人科や婦人科を受診し、対面での診察を経て薬を受け取るのが一般的な流れでした。
市販化が進んだ現在においても、これまで通り婦人科を受診して処方してもらうことは全く問題ありません。医師による診察を受けることで、避妊の失敗だけでなく、性感染症の不安や今後の避妊計画(低用量ピルの相談など)について専門的なアドバイスをもらえるという大きなメリットがあります。
しかし、クリニックの診療時間は日中に限られていることが多く、夜間や休日のトラブルに対応しきれない、あるいは近くにクリニックがないといったアクセス面での大きな課題がありました。迅速な対応を求められるアフターピルの服用において、薬局での購入が可能になったことにより、こうしたアクセス面の課題の改善が見込まれています。
年齢制限や身分証明書はいる?
アフターピルの薬局での購入に年齢制限はなく、身分証明書(マイナンバーカードや保険証)も必要ありません。未成年であっても購入可能で、親やパートナーの同意も不要です。
ただし、転売や誤用を防ぐため、必ず「服用する本人が来局すること」と、「薬剤師の目の前でその場ですぐに服用すること」が必須のルールとなっています。薬を持ち帰って後で飲むことはできません。
もっと知りたい!アフターピルの薬局での購入について
薬局でのアフターピル購入の簡単な流れ
(1)公式サイトでセルフチェックし、店舗を探す
薬局でアフターピル(ノルレボ)を購入できる可能性があるかは、まず公式サイトのセルフチェックを受けることから始めます。その後、公式サイト内のマップで、近くの取り扱い店舗を探しましょう。その際場所だけでなく、開局時間(営業時間)にも注意しましょう。また「※ご来店の前に、お電話にて在庫の確認および来店時間のご相談をお願いいたします。」と記載がある店舗に関しては、事前に電話連絡をするようにしましょう。
(2)店舗で購入希望を伝える
店舗に到着したら、スタッフまたは薬剤師にアフターピルの購入希望を伝えましょう。言葉で言いにくい人のために、公式サイトには画面を見せるだけで伝える手段も用意されています。
(3)薬剤師によるチェック
アフターピルの購入の条件に当てはまるかどうかを、緊急避妊薬に関する研修を修了した薬剤師がチェックシートに基づきチェックしていきます。問題なく該当すると判断された場合、アフターピルを購入することができます。
(4)面前服用
購入したアフターピルは必ずその場で薬剤師の目の前で服用します。もともと乗り物酔いしやすい方などは、購入時にあらかじめ薬剤師へ相談し、吐き気止めを併用できるか確認しておくとより安心です。
(5)服用3週間後に、妊娠検査薬で検査を行う
アフターピルは妊娠を100%防ぐことができる薬ではありません。そのため、三週間後に必ず妊娠検査薬で結果を確認する必要があります。
薬局でアフターピルを購入した際に、一緒に妊娠検査薬を購入しておくとスムーズです。
また、できればスマホアプリのスケジュール帳などに予定を記載しておくと確認漏れを防ぐことができます。

アフターピルを服用するべき場面
(1)避妊具のトラブルがあった場合
妊娠を希望せず、避妊具を使用していたとしても、避妊具の破損や脱落などのトラブルで十分な効果が得られない状況になってしまうことがあります。
- コンドームが外れた
- コンドームが破れた
といった場合は、アフターピルを服用するようにしましょう。
ただし、普段から適切に低用量ピルを服用している場合は、コンドームが破損した際に性感染症のリスクはありますが妊娠に関する心配をする必要はありません。
また、潤いが不足していると摩擦によって避妊具が破損しやすくなります。以後破損が起こりにくくするために、潤滑ジェルを使用するなどの工夫をするといいでしょう。

(2)避妊なしの性交渉や、低用量ピルの飲み忘れがあった場合
避妊具のトラブル以外でアフターピルの服用を検討すべき重要な場面は、避妊をしないまま性交渉に至った場合や、常用している低用量ピルの服用を忘れてしまった場合です。パートナーの要求を断り切れずに応じたものの、後から不安になるという女性は多いです。
また普段低用量ピルを服用していても、数日間の飲み忘れがあると排卵が抑制されず、妊娠の可能性が生じることがあります。まずは普段艇用量ピルを処方してもらっているクリニックに状況を説明して、アフターピルを服用する必要があるか判断を仰ぎましょう。
(3)性被害を受けた場合は?
不本意な性交渉や性被害に遭った場合、一人で抱え込まずに専門の支援を受けることが重要です。2026年2月2日からの市販化により薬局でも入手可能になりましたが、性被害のケースでは警察や「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)」への相談を強く推奨します。
警察に通報、あるいは相談窓口を利用した場合、産婦人科での受診や緊急避妊薬(アフターピル)の処方が速やかに案内されます。この際、診察料や薬代は公的公費により無料となる制度が整っています。薬局で購入する場合は全額自己負担(約7,000円〜)となりますが、医療機関であれば、妊娠阻止だけでなく性感染症の検査や心のケアも同時に受けることができます。プライバシーは厳守されますので、勇気を持って公的な支援を頼ってください。

アフターピルの注意点
(1)なるべく早く(遅くとも72時間以内)に服用する
アフターピルの避妊成功率において、最も重要な鍵を握るのは「服用までの時間」です。2026年2月2日から薬局での市販(OTC化)が開始された最大の意義も、このタイムリミット内に薬を手に入れやすくすることにあります。一般的に、性交後72時間(3日)以内に服用する必要がありますが、早ければ早いほど避妊阻止率は高まります。
具体的には、24時間以内に服用した場合の避妊率は極めて高い一方、時間が経過するにつれてその効果は緩やかに低下していきます。72時間を過ぎてしまうと、効果は著しく落ちるため注意が必要です。
(2)嘔吐した場合は、処方を受けた薬局に連絡
アフターピルを服用した後に最も注意すべき副作用の一つが「吐き気」です。せっかく薬を飲んでも、成分が体に吸収される前に吐き戻してしまうと、避妊効果が得られない可能性があります。一般的に、服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、速やかに購入した薬局の薬剤師に連絡し、指示を仰ぐ必要があります。
(3)身体の負担が大きいので、頻繁に使用しない
アフターピルは身体の負担が大きく、妊娠阻止率も100%ではないため、頻繁に服用することは決してお勧めできません。もし頻繁にそういった機会がある場合は、普段から低用量ピルを服用することを選択しましょう。
また、最も確実に避妊効果が得られるのは低用量ピルとコンドームの併用です。コンドームには沢山の種類があり、ジェルがたっぷり塗布されたものや新しい素材で作られたものは「付けていないよりも気持ちいい」と評判のものもあります。「コンドームをつけると心地よくない」という先入観がある場合はそれを捨て、二人で相性のいいコンドームを見つけましょう。



アフターピルは薬局でも購入できることを知っておこう
これまでアフターピルを入手するには、主に病院の受診かオンライン診療が必要であり、地理的・時間的な理由で迅速にアクセスできないことが大きな課題でした。しかし、薬局やドラッグストアでの市販化により、以前よりも素早く服用できる環境が整いつつあります。
アフターピルには「72時間以内」という厳格なタイムリミットがあり、正しい知識を持っていないと、いざという時に適切な行動がとれない可能性もあります。まずは一人でも多くの方に「アフターピルは薬局でも購入できる」という新しい選択肢を知っていただき、自分や大切な人の体を守る一助としていただければ幸いです。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。





