藤東クリニックお悩み相談室~生理中の性行為について~
彼から生理中に性行為をしたいと言われました。生理中に性行為をすることは、健康上問題ないのでしょうか?
生理中の性行為は健康に影響はない?
生理中の性行為については、基本的には推奨していません。その主な理由は、子宮内膜症や細菌感染症など健康のリスクがあるためです。
子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が子宮の外側に存在し、増殖する症状のこと。生理中の性行為により、経血が逆流して腹腔内に入ることで、子宮内膜症を発生することがあります。子宮内膜症になることで激しい生理痛や、慢性的な骨盤痛を感じるほか、不妊症を引き起こす原因にもなりえます。
また、生理中は腟や子宮がデリケートな状態になっているため、性行為を行うことで細菌感染症のリスクも高まります。そのため基本的には、生理中の性行為を避けた方が良いと言われています。
ただし、生理中のスキンシップが必ずしもすべてNGというわけではありません。挿入やオーガズムを伴わない場合は、身体への負担は比較的少ないとされています。
中には生理中に性欲が強まる女性もいるため、挿入やオーガズムを避けて行うことも選択肢の一つです。適度な性行為が心身のリフレッシュになることもあるため、あくまで無理のない範囲で行うようにしましょう。
生理中の性行為は妊娠しないは本当?
「生理中は妊娠しない」というのは誤った認識です。生理中でも妊娠の可能性は十分にあります。この誤認識が生じる理由の一つは、通常の月経周期では生理開始から約14日後付近に排卵が起こるとされているためです。
しかし実際には、月経周期は個人差があり、必ずしもこのタイミングで排卵が起こるわけではありません。ストレスや体調の変化などで排卵が早まることがあります。それに加え、精子は体内で最大1週間ほど生存するため、生理中に性行為をした場合でも妊娠する可能性があるのです。
男性が生理中に性行為を求めることは問題ない?
前述の通り、挿入やオーガズムを伴う性行為は、子宮内膜症のリスクがあり、女性の健康に影響を及ぼす可能性があるため、慎重になる必要があります。
ただでさえ、生理中の女性の多くは体調不良に近い状態で、腹痛や頭痛、倦怠感など、さまざまな症状が現れています。女性器周辺に疼痛を感じることもあり、触れられなくても不快感があるため、無理に性行為を行うと女性にとって大きな負担となります。
また、生理中は出血があるため、普段であれば気にならない性行為でも、衛生面や精神面で不快になることも…。これらのことから、生理中に積極的に性行為をしたいと感じる女性は少数派です。
男性は、多くの女性が体調不良や不快感から性行為を避けたいと考えている点を理解し、無理に性行為を求めることは避けましょう。相手の気持ちを尊重し、「相手がしたいならこたえる」スタンスを取ると良いでしょう。もし相手が性行為を望んでいない場合は、別の方法で親密さを保つことが重要です。
ただし女性の中には、パートナーの男性が「本当は性行為を望んでいるのではないか」「我慢をさせて嫌われてしまうのではないか」と気持ちを深読みする女性もいます。ハグやキスなどのスキンシップを取りつつ、相手の様子を見ながら、挿入やオーガズムを伴わない性行為をする、もしくは軽いスキンシップやマッサージなど、リラックスできる方法を探り、性行為以外でお互いの親密さを深めるといいでしょう。
もっと知りたい「生理中の性行為」について
生理中の性行為を避けたほうがいい理由
子宮内膜症のリスクがある
前述のとおり生理中の性行為は、子宮内膜症のリスクを増加させる可能性があります。
子宮内膜症とは、経血が押し戻されることで、子宮内膜に似た組織がほかの部位に付着し、発生する病気です。生理痛がひどく感じたり、生理時期以外でも慢性的な骨盤痛を感じたりします。また、卵巣や卵管に影響を与えて受精を妨げ、不妊の原因となることもあります。
細菌感染症のリスクが高いため
性行為をするときに、手や性器に付着している細菌が腟や子宮に入り込むことがあります。通常であれば、腟内の自然な防御機構により細菌が排除されますが、生理期間中はその防御機構が弱まるため、細菌感染のリスクが高まります。さらに、経血は細菌の増殖に適した環境を提供するため、この時期は繁殖しやすいとされています。
生理中にかかわらず、より衛生的に愛撫をするために「フィンガーグローブ」というアイテムがあります。指にコンドームのようにかぶせて使う使い捨てのグローブで、指やつめに付着した汚れが入り込むことを防ぐだけでなく、爪などの刺激から保護することもできます。
生理前後の性行為でも、細菌感染症のリスクをおさえるために、挿入する場合はコンドームを着用することが重要です。最近は、女性も購入しやすい可愛いデザインのコンドームもあるので、女性側で準備しておくのもいいでしょう。
普段は感じない痛みや不快感がある人もいるため
生理中、子宮の内膜が剥がれ落ち、経血として排出される過程で、子宮や腟はデリケートな状態になります。そのため生理中の性行為では、普段は感じない痛みや不快さを感じる人もいます。
一度、性行為で痛みを感じると、それがトラウマとなり、生理中以外でも緊張して濡れにくくなることがあります。
衛生面の問題があるため
生理中の性行為は、経血が性器や体、シーツに付着することがあるため、性行為後の掃除やシーツの洗濯など、清潔を保つための手間が増えます。また、経血が体に付着することで快適さやリラックス感が失われ、性行為を純粋に楽しむことが難しくなる場合があります。
快感が減少することがあるため
生理中はホルモンバランスが大きく変動し、性欲や快感に影響を与えることがあります。具体的にはエストロゲンとプロゲステロンの値が低下することで、性欲が減少したり、性的な興奮を感じにくくなったりすることがあります。
また、生理中の体調不良が、性行為中の快感を妨げる要因となることも。さらに、パートナーに対する不安や緊張感が重なることでリラックスできず、快感に浸ることが難しくなります。
生理中のカップルの過ごし方
まったりとおうちデートを楽しむ
生理中のデートの定番といえばおうちデート。映画や撮りためたドラマを観たり、一緒にゲームをしたり、まったりと二人の時間が過ごせます。
家であれば、トイレに行きたくなってもすぐに行けるうえに、万が一服や下着を汚してしまっても、すぐに着替えられるため、生理中の女性にとっては嬉しい過ごし方といえるでしょう。
いつもより少し贅沢なデリバリーなどを楽しむ
デートに使う予定だった分のお金を、デリバリーやデパ地下でのちょっと高級なメニューに使ってみてはどうでしょうか。家でデリバリー先のウェブサイトを見ながら、2人でメニューを見比べながら相談するのも楽しいです。いつもより贅沢なデリバリーを楽しむことで、家にいても特別感が味わえそうです。
ショッピングモールにお出かけデート
ショッピングモールなどの大きな商業施設でのデートは、生理中の女性からも好印象。買い物で疲れたら、カフェや座れるスペースで休憩できるため、女性の体調を労わりながらデートを楽しむことができます。
また、施設内には広々としたトイレが多く、清掃が行き届いている点も、女性にとっては嬉しいポイントです。飲食店や雑貨店など幅広いお店を一度に回れるので、男性にとっても気分転換となり、互いにほどよくデートを楽しめそうです。
無理してデートしない
あまりにも生理痛がひどい場合や、女性の気分が乗らない場合は、無理せずデートを中止するのも選択の一つです。生理中は心身ともにセンシティブになるため、一人でゆっくりと過ごしたいと考える女性も少なくありません。カップルで互いに楽しく過ごせるよう、デートは万全の状態の日に改めるのも良いでしょう。
「性欲解消」は必須ではない
生理中のスキンシップとして性行為の代わりに、男性側がオーラルを強要するのはNGです。生理中の体調のすぐれない日は、それすら辛い時もあります。また、自分の体調よりも性欲を優先される経験は、相手に蔑ろにされていると感じ、傷つく女性もいます。
たとえ女性が希望に答えてくれたとしても、それは仕方なくしている可能性も…。この「仕方なく」が不満の蓄積につながって、その後の不和の原因にもなります。
男性は女性側の気持ちを尊重し、無理をさせないよう心掛けましょう。また女性も気が乗らないのであれば、彼の性欲を満たさなければいけない、という先入観を手放し、自分の心身の声に耳を傾けましょう。
どうしても性欲解消をしたいという男性は、自分で発散する方法を用意するのもいいでしょう。手軽に挿入気分を楽しめるシンクロカップや、女性の動きを繊細に表現した新型ホイールなどを取り入れるのも有効です。
女性が乗り気ならこんな楽しみ方も
もし生理中でも女性側が乗り気であれば、挿入やオーガズムを伴わない性行為であれば、しても問題はありません。
女性側が「手でするだけならOK」という場合は、ローションを取り入れるだけでも、通常のハンドマッサージよりも男性側は快感を得ることができます。特に温感タイプのローションであれば、手だけでも互いの体温を感じるような体験ができるはずです。
またハンドマッサージ用のラブグッズを活用するのも一つの方法です。
生理中の性行為は健康面のリスクもあるので無理はしない
生理中の性行為は、女性の健康面でのリスクがあるため無理は禁物です。カップルとしては、生理中は性行為を避け、他の方法で親密さを保つことが重要です。お互いの気持ちを尊重し、無理のない範囲で過ごすことで、幸せな関係を築くことができるでしょう。
女性が乗り気な場合については、挿入やオーガズムを伴わない性行為であれば問題はないので、工夫をしながら楽しんでください。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。