藤東クリニックお悩み相談～早漏について～
早漏とは
早漏とは、男性が性行為の際に射精をコントロールすることができず、挿入してすぐに射精してしまうことを言います。
ただし射精のタイミングは心理的・肉体的条件によって変わります。1回射精が早かったからと言って「早漏」と判断するのは早計です。ほぼ毎回コントロールできない場合は、早漏に該当します。
また、挿入して「すぐ」というのは、医学的な定義が存在しています。
早漏の定義
早漏は、2008年5月に開催された国際性医学会議では下記のように定義されています。
- 腟への挿入の前または約1分以内に、常に（または、ほぼ常に）射精が発生する
- 毎回（または、ほぼ毎回）の腟への挿入で射精を遅らせることができない
- そのことによる苦痛、煩わしさ、欲求不満、性行為の回避が生じている
参考文献：生涯早漏のエビデンスに基づく定義:早漏の定義に関する国際性医学会特別委員会の報告
ただしラブコスメのアンケートによれば、1分未満の射精を「早漏」と感じる女性は20％なのに対し、1分を超えていても3分未満であれば「早漏」だと感じる女性は31％、さらに3分を超えていても5分未満なら「早漏」だと感じる女性が35％もいることが分かっています。
定義上の早漏に該当しなければ女性が早漏と感じないかというと、そうとは言えないようです。
早漏の問題点
理想的な腟の挿入時間は、一般的に5～7分といわれています。
一方で先ほどの定義に「射精が早いことによる苦痛や煩わしさ、欲求不満、性行為の回避」などのネガティブな影響が取り上げられていたように、射精が1分以内でも、男女ともに問題を感じていなければ特に対処する必要はありません。
一方で定義となる1分を超えていても互いに満足できていないケースもあります。早漏の一番の問題点は、性行為の満足度が低いことで漠然とした消化不良のような気持ちを抱え、一緒にいる心地よさが減ってしまうことにあります。
もちろん性行為で大切なことは互いへの思いやりや心のつながりの再確認であり、性的快感だけではありません。しかしそういった「煮え切らない気持ち」がある場合は、何かしらの対処をした方が二人の関係性は良好に保たれることでしょう。
もっと知りたい！早漏とその対策について
早漏の原因
早漏は先天的な要因だけではなく、実は後天的な要因もあります。
（１）刺激に対して敏感すぎる（過敏性早漏）
射精は主に亀頭の刺激により起こります。亀頭が敏感すぎると、少ない刺激でも射精に達してしまいます。特に仮性包茎の男性は、普段包皮に亀頭が守られていることにより、勃起して亀頭が露出した際に刺激を強く感じやすい傾向にあります。
（２）セックスのトラウマやコンプレックス（ストレス性早漏）
後天的な早漏に多い原因の一つが「ストレス性早漏」です。
人は不安感が強いと、交感神経が活発になり興奮状態になります。そのためセックスに対してトラウマやコンプレックスを抱いていると、興奮しやすくなり射精までの時間が短くなってしまうのです。
一度「自分はもしかしたら早漏かもしれない」という体験をすることで、次から不安感が高まり、より射精しやすくなってしまうという悪循環に入ってしまう人もいます。
（３）加齢（衰弱性早漏）
射精には、実は「筋力」が大きく関係しています。射精はPC筋という筋肉でコントロールされているのです。
しかし加齢とともにほかの筋肉と同じようにこのPC筋も衰えます。すると、うまくコントロールできずに、射精時間が短くなってしまうのです。
このPC筋は筋トレによって鍛えることができるといわれています。
早漏の改善方法
（１）マスターベーションで刺激に慣れる
過敏性早漏の場合、刺激に慣れていないことが主な原因のため、日ごろのマスターベーションでなるべく刺激になれるようにすると、改善する可能性があります。
特に包茎の男性は包皮をかぶせたままのマスターベーションを避け、直接亀頭を刺激する方法にしましょう。少しずつ直接的な亀頭への刺激に慣れることで、性行為で腟内に挿入したときの刺激で敏感に感じすぎるのを防ぐことができるでしょう。
（２）厚めのコンドームを使用する
こちらも過敏性早漏の場合の改善策となりますが、ペニスへの刺激を低減するために厚くて刺激の伝わりにくいコンドームを使用する方法があります。
マスターベーションの改善は女性側からアプローチすることはできませんが、厚いコンドームを使用する早漏対策であれば女性にも対応可能です。
厚手のコンドームは通販なので購入できます。場合によっては「私がつけてあげる」と女性が装着してあげるのもいいでしょう。
（３）セマンズ法・スクイーズ法を実施する
早漏改善に役立つより適切な刺激方法として、「セマンズ法」「スクイーズ法」と呼ばれる方法があります。セマンズ法は、パートナーが協力して実施します。
～セマンズ法のやり方（第一段階）～
- 女性が男性のペニスを手でしごいて刺激します
- 射精感が発生したら、男性はサインを出して女性に刺激を止めてもらいます
- 射精感が去ったら、再び１）に戻り女性がペニスを刺激します
- これを4回繰り返し、4回目は止めずにそのまま射精します
第一段階のトレーニングで徐々に射精までの時間が伸びてきたら、次は女性の腟で同様のトレーニングを行います。
～セマンズ法のやり方（第二段階）～
- 騎乗位の姿勢で挿入し、女性が腰を動かします
- 男性は射精感を感じたらサインを出し、女性は腰を動かすのを止めます
- 射精感が去ったら、再び１）に戻り腰を動かします
- これを4回繰り返し、4回目で射精します
さらにこの方法でも射精までの時間が長くなったら、今度は「側臥位」の姿勢で同じようにトレーニングを行い、最終的には「正常位」の姿勢で男性主導でこのトレーニングを実施します。
～スクイーズ法のやり方～
スクイーズ法のやり方 セマンズ法と同じく「寸止め」によって射精をコントロールする力を養う方法ですが、スクイーズ法は亀頭を押さえつけて射精を我慢します。射精寸前になったら、親指と中指で亀頭の付け根（陰茎との間）を挟むようにして、３～４秒圧迫しましょう。 こちらは男性がマスターベーションで行ってもいいですし、パートナーが手でしごいたりオーラルセックスで刺激しても問題ありません。いずれの場合も射精直前に亀頭を圧迫して、射精感を我慢しましょう。
（４）病院で治療を受ける
早漏を改善するのに最も確実なのは病院で治療を受けることです。
例えば包茎が原因の過敏性早漏であれば、包皮切除手術を受けることで早漏を改善することができます。衰弱性早漏であれば投薬治療を受ける方法もあります。
原因によって適切な治療方法を医師が提案してくれます。ただし、こちらも彼の意思が大切な改善方法になります。
男性によっては早漏で通院をすることに大きな抵抗を感じる人もいます。通院を進める際は、強引にならないよう注意しましょう。
早漏の彼との性行為満足度を上げるためのアイテム
（１）ローション
男性が刺激に慣れるための亀頭でのマスターベーションやセマンズ法の際にはローションを使用するのがおすすめです。より腟内に近い、潤いのある状態での刺激を再現することができます。
（２）挿入タイプのラブグッズ
早漏でのセックスの物足りなさは、腟内の刺激量の物足りなさが原因であることが多いです。つまり先に腟内をラブグッズで十分に刺激してから挿入することで、セックス終了後の満足度をプラスすることができます。
特にGスポットを的確に刺激することができると、女性もオーガズムしやすくなります。Gスポットの刺激に特化したラブグッズを選ぶといいでしょう。
ラブグッズはパートナーと一緒に使ってもいいですが、一人で使うこともできます。「心の満足はパートナーとの営みで、体の満足（オーガズム）はラブグッズで」と割り切ることで、二人での時間に抱える不完全燃焼のような気持ちを解消することができるかもしれません。
それもまた、ひとつの解決策です。
「満たされない気持ち」が早漏対策のサイン
冒頭でも述べた通り、早漏の一番の問題点があるとすれば、それは互いの「満たされきれない気持ち」です。互いに満足しているのであれば、無理に対策をする必要はありません。
一方で早漏の定義に満たなくても、パートナーとの性行為で「もう少し満足感を得たい」を感じるのであれば、それは互いに歩み寄って解決すべきサインです。
紹介した改善方法を試して、自分達にあった方法を探してみてくださいね。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
