藤東クリニックお悩み相談室~腟トレについて~
腟トレって何?安全なの?
腟トレとは、腟や子宮周辺にある骨盤底筋群を鍛えるトレーニングのことです。正しい腟トレを行うことで、健康や美容に関わる様々な効果が期待できます。
骨盤底筋群を鍛えるには、腟や肛門を意識しながら行う簡単な体操や、道具を用いたエクササイズなど、色々な方法があります。安全で正しい腟トレをするために、運動時の力の入れ方や器具の使い方を知っておきましょう。
腟トレにはどんな効果がある?
腟トレで骨盤底筋に刺激を与えることは、腟圧低下対策だけでなく、尿漏れや冷え性の改善にも繋がります。インナーマッスルが鍛えられるため、下腹部のシェイプアップ効果も期待できます。腟圧が高まることでフィット感が増し、感度や性行為の質が向上する可能性もあります。
もっと知りたい「腟トレ」について
「腟トレ」とは
腟トレ(腟圧トレーニング)とは
腟トレとは、子宮や膀胱、直腸などを下から支える「骨盤底筋群」というインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。腟圧トレーニングとも呼ばれており、加齢や出産などによって生じる腟圧低下の改善が期待できます。
さらに、尿漏れの解消や生理痛の軽減といった効果も期待できます。腟トレは、年齢や出産経験に関わらず、健康面や美容面を向上できるトレーニングなのです。
腟が緩む(腟圧が低下する)原因とは
腟内にある粘膜の弾力低下や骨盤底筋群の筋力低下などが、腟圧の低下に繋がるとされています。具体的に、腟が緩む原因を見てみましょう。
~腟が緩む主な原因~
- 経腟分娩による出産
- 運動不足
- 加齢
- 腹部に圧力がかかる動作が多い(重い物を持ち上げる動作や、慢性的な便秘でいきむ機会が多いなど)
- 外科手術(子宮摘出術など)の際に生じる損傷
特に骨盤底筋群の機能低下は、腟圧低下だけでなく、尿漏れや子宮脱などに繋がる可能性があります。腟圧の低下が気になるのであれば、早めの対策がおすすめです。
腟トレがおすすめな人の特徴
腟圧トレーニングで鍛える骨盤底筋群は、体幹を支えるインナーマッスルの一部です。腟トレを行うことで体幹が鍛えられ、腟の緩みだけでなく、立ち姿や代謝も改善すると考えられます。腟トレは、特に次のような方におすすめです。
~特に腟トレがおすすめの人とは~
- 出産経験がある
- 尿漏れを予防したい/改善したい
- お風呂のお湯が腟に入りやすい
- 生理痛がある
- 姿勢が悪い
- デスクワークが多い
- 下腹部を引き締めたい
- 腟を引き締めたい
- 挿入時の感度を上げたい
- 便秘やむくみを改善したい
腟トレで骨盤底筋群を鍛えることは、腟圧アップだけでなく、美容や健康にも様々な効果が期待できるのです。
腟トレのメリットや効果
効果(1)尿漏れや子宮脱の予防
腟トレを行うことで、尿漏れや子宮脱が予防できます。尿漏れの主な原因は、出産や肥満、ストレスの蓄積です。排尿をコントロールする骨盤底筋群を腟トレで鍛えることが、尿漏れの予防や改善に繋がります。
また、外陰部から子宮の一部または全部が出てくる子宮脱は、出産や加齢による骨盤底筋へのダメージや、筋力の低下が原因です。子宮脱予防や初期の子宮脱にも、腟トレが有効であると考えられています。
藤東クリニックお悩み相談室~尿漏れについて~ 質問者 最近、くしゃみをしたときや重いものを持った瞬間など、尿漏れをするようになってしまいました。尿漏れなんてもっと先の高齢者になってからの事だと思っていたのに、30~40代で尿[…]
効果(2)冷え性や生理痛の改善
骨盤底筋を鍛えることで、子宮内や骨盤周辺の血行が良くなり、冷え性改善が期待できます。つまり、血行不良や冷えが原因とされている生理痛の改善にも繋がるのです。
さらに、生理痛の原因として、下垂した臓器に子宮が圧迫されている可能性も考えられます。腟トレによって子宮周辺にある臓器の下垂を防ぐことも、生理痛改善の鍵となるでしょう。冷えや生理痛に悩んでいる方は、ぜひ腟トレを取り入れてみましょう。
効果(3)シェイプアップ効果
腹筋トレーニングを頑張っても下腹がすっきりしない原因の1つに、内蔵の下垂が挙げられます。骨盤底筋を鍛えることで内臓の下垂が収まれば、下腹部のシェイプアップが期待できます。
また、骨盤底筋には骨盤の傾きを整える役割もあります。腟トレで骨盤底筋の強度が上がれば、姿勢が良くなる可能性もあるのです。
効果(4)セックスの質の向上
腟トレで腟の締まりが良くなったことにより、強い快感を得られるのは男性側だけではありません。
骨盤底筋が発達して腟圧が上がると、挿入時に男性器と擦れる腟壁の面が増えます。すると結果的に、女性側の感度も上がる場合があるのです。また、骨盤底筋の発達により腟周辺の血行が良くなるため、濡れやすくなるとも言われています。
藤東クリニックお悩み相談室~濡れない悩みについて~ 質問者 夫とのセックスでなかなか濡れないため、挿入の際に痛みがあります。前戯が気持ちよくない訳ではないのに濡れないのは、体がおかしいのでしょうか。治療する方法はありますか?[…]
腟トレの簡単なやり方
方法(1)お尻の穴に力を入れる
まずは基本的な腟トレの方法を解説します。道具を用意する必要がなく、どこでも気軽に行えるトレーニングです。
~立ったまま行う基本の腟トレ~
- STEP1.両脚を揃えて真っ直ぐ立つ。
- STEP2.お尻の穴を意識しながら、腟と肛門をゆっくり締める。締めたり緩めたりを2~3回繰り返す。
- STEP3.息を吐きながら、腟と肛門を強い力で10秒間締める。
- STEP4.息を吸いながら、10秒間でゆっくりと力を緩める。締めたり緩めたりを2~3回繰り返す。
最初は10秒間締めた状態を維持できなくても、腟トレを続けているうちに時間を延ばせるようになるでしょう。
また、排尿中に尿を途中で一度止める方法もあります。尿意が収まってしまわないよう、排尿を止める時間は数秒程度に留めます。膀胱炎予防のため、腟トレ目的での排尿コントロールは、1日1回を目安に行いましょう。
方法(2)腟トレエクササイズを行う
腟トレだけでなく、内ももの引き締め効果も同時に期待できるエクササイズであれば、さらにモチベーションを維持できるでしょう。太ももにも効果が望める、タオルやペットボトルを使って行う腟エクササイズを2種類ご紹介します。
~立って行う腟トレエクササイズ~
- STEP1.ひざを軽く曲げて立つ。
- STEP2.水が入った500mlのペットボトルや丸めたタオルを内もものひざ上部分に挟む。
- STEP3.ひざを伸ばしながら、ペットボトルやタオルの後ろ側を内ももで潰し、5秒キープする。
ペットボトルを活用する場合、入れる水の量で負荷を調整することができます。膝の曲げ伸ばし10回を3セットできるようになることを目標にしましょう。
~座って行う腟トレエクササイズ~
- STEP1.椅子に座り、足裏は床につける。背筋を伸ばして肛門を締める。
- STEP2.水が入った500mlのペットボトルや丸めたタオルを膝の少し上の内ももに挟む。
- STEP3.内ももでペットボトルやタオルを締め付けるように力を入れて、8秒間キープ。
まずは3セットを目標に行いましょう。慣れてきたら足裏を床から浮かせると、トレーニングの強度が上がります。
方法(3)インナーボールを活用する
小さなボールが繋がったような形状の「インナーボール」と呼ばれるグッズを使って、腟トレを行う方法もあります。
~インナーボールを使用する腟トレの方法~
- STEP1.全身の力を抜き、インナーボールをまずは1つ腟に挿入する。
- STEP2.挿入感に慣れてきたら2つ目を挿入する。
- STEP3.ボールの存在を感じながら、下腹部に力を入れて腟を締める。
初めてインナーボールを使う際は、仰向けで横になった状態で挿入するとスムーズです。慣れてくると、インナーボールを入れたまま座ったり動き回ったりもできるようになります。
インナーボールを使用する時間の目安は10~15分です。挿入時に潤滑ジェルやローションを用いることにより、摩擦や違和感を軽減できます。痛みを感じる場合は決して無理をせず、少しずつゆっくり挑戦してみましょう。
おすすめの腟トレグッズ
インナーボール(ケーゲルボール)
腟トレの定番グッズと言えば、インナーボールです。インナーボールを腟に挿入した状態で腟トレをすることで、腟を締める感覚が掴みやすくなります。シリコン素材で作られている商品が多く、お手入れしやすい点も特長です。
インナーボールの大きさは、商品によって差があります。初めて使う方は、直径35mm以下の日本人女性向けに作られたアイテムがおすすめです。インナーボールでの腟トレに慣れてきたら、より重量のある上級者向けアイテムに移行する方法もあります。
ガイダンス機能付きインナーボール
「説明通りに腟トレをしようと思っても、正直合っているのかよくわからない」という方もいるようです。腟トレの手順に自信がない方は、ガイダンス機能付きのインナーボールを活用すれば、スムーズにトレーニングを行えるでしょう。
スマートフォンに専用のアプリをインストールすると、腟トレのやり方動画に従ってインナーボールが振動し、効果的にエクササイズができます。
使用後のインナーボールは清潔に
振動機能がないインナーボールは、水洗いできるものが大半です。腟に入れるアイテムは、たとえコンドームを着けて挿入していたとしても、使用後は洗って清潔に保ちましょう。
振動機能がついていて丸洗いできないアイテムは、除菌やカビ予防の効果がある、ラブグッズ用のクリーナーを使ったお手入れがおすすめです。
正しい腟トレで、健康も美容も感度も磨こう
腟圧トレーニングは、美容や健康、性行為の質の向上など、様々な効果が期待できるエクササイズです。最初は思うように腟を締められなくても、力を入れる部位を把握して正しいトレーニングを続ければ、きっと変化を感じられるようになるでしょう。
時間や道具がなくてもすぐに始められる、手軽なトレーニング方法もあります。無理のない範囲で、ぜひセルフケアの一環として取り入れてみてください。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。