藤東クリニックお悩み相談室～素股について～
彼氏から素股をしたいと言われました。「素股なら生で大丈夫」と言われたのですが、本当でしょうか？
素股とは
素股とは、もともとは太ももの内側で男性器を挟んでこすったり、手を添えて太ももやお尻に押し付けて男性器を刺激したりする行為を指します。しかし、現在では女性器で男性器をこする行為として認識されることもあります。もともとはこの行為は俗に「マンズリ」と呼ばれ、区別されていました。
素股では妊娠しないは本当？
どちらのやり方の場合も、行為の過程で男性の精子が女性の体内に入るリスクや性病感染の可能性があるので、「素股なら生で大丈夫」というパートナーの発言は大きな誤りです。素股は挿入を伴わないことが前提の行為ではありますが、コンドームは必ず装着しましょう。
素股で妊娠しないというのは誤解です。素股中に射精された精子が、女性器に触れることで、妊娠につながる可能性があります。さらに、先走り液（カウパー液）にも精子が含まれていることがあり、それが女性器に付着することでも妊娠することもあります。
「素股だけ」を信用するのも危険
性器付近をこすり合わせる素股では、いつでも腟挿入ができる状態と言っても良いでしょう。そのため、挿入を伴う性行為を望まない相手とは、素股自体を行うべきではありません。
特に、男性が主体で動く「正常位素股」や「後背位素股」は、男性側が性器の位置を少しずらすだけで挿入が可能になってしまうため、リスクが高い体位です。また、その際にコンドームをこっそり外して挿入する「ステルシング」の被害も考えられます。
挿入を伴わない行為であってもリスクは少なからず存在するため、性行為をしてもよいと思える相手とだけ素股を行うようすると良いでしょう。
もっと知りたい「素股」について
安全な素股のやり方
（１）男性器を勃起した状態にする
まずは、男性器を勃起させるため、手や口での愛撫を行いましょう。男性器をしっかりと勃起させることで、コンドームがつけやすくなります。勃起が不十分では、コンドームが脱落しやすく、避妊効果が薄れてしまう可能性があるため気を付けてください。
また勃起させる際に、男性器を触った手で女性器を触ることは避けましょう。手に付着した先走り液（カウパー液）や精液が、女性の体内に入る可能性があるためです。
（２）コンドームを装着する
行為の直前ではなく、まずはじめに男性器を勃起させた状態にして、コンドームを装着しましょう。中には、素股であればコンドームの着用は不要と思い、コンドームを用意しない男性もいます。
自分の身を守るためにも、あらかじめ女性側でコンドームを準備しておくと安心です。
（３）女性が衣服を脱ぐ
女性側が衣服や下着を脱ぐタイミングも重要です。男性にコンドームを装着してから、下着を脱ぐことで、粘膜や体液との接触を抑えられ、妊娠リスクを減らすことができます。
衣服や下着を脱いだ後、仰向けに寝た男性の上にまたがりましょう。素股では女性が男性の上になり、女性主体で動けるようにしておくと、より安全です。
（４）ローションをつける
男性の上に跨った状態で、男性器にローションをつけ、何度か手でなじませましょう。ローションをつけることで、摩擦による不快感と、コンドームの破損リスクを減らせます。
みずみずしいテクスチャーのローションであれば、自然なうるおいが持続し、なめらかな使用感を楽しめます。
（５）女性の体で男性器を刺激する
基本的には女性主体の「騎乗位素股」で動き、男性器を刺激するようにしましょう。女性が男性にまたがり、お尻の割れ目に男性器を挟みこむようにして、手や体を上下に動かしながら刺激します。この方法が、男性から一方的に挿入をされるリスクが最も低いといえます。
男性主体の「正常位素股」では、女性の足をそろえた状態で持ち上げ太腿の間に男性器を差し込みます。その際、女性は男性器を片手で握って刺激をすることで、実際の性行為に近い感覚を得られます。
男性主体の「後背位素股」は女性が四つん這いになった状態のため、男性から腟挿入をしやすい体位でもあります。挿入に抵抗がある相手の場合は、求められても断るようにしましょう。
素股の注意点
（１）挿入する場合は、コンドームを変える
前戯として素股をした後に腟挿入をする場合は、必ず新しいコンドームに付け替えるようにしてください。素股で使ったコンドームは摩擦などの刺激を受け、破損しやすい状態になっているためです。
素股でコンドームを使用するのは、精子の付着を防ぐことが目的です。挿入時に使用するコンドームと異なり、温感ゼリーや潤いたっぷりなどの特別な機能性が備わっている必要はありません。素股終了後には交換することを考慮して、シンプルな機能性の安価なコンドームを購入するのも一つの方法です。
（２）妊娠だけでなく性感染症にも注意
ピルなどを飲んでいて妊娠リスクが低いとしても、コンドームなしの素股では性感染症に感染するリスクがあります。自分は患っていなくても相手が性感染症に感染していた場合、性器や体液の接触によって性病が移ることがあります。
避妊だけでなく性感染症予防のためにも、素股を行う際は必ずコンドームを着用しましょう。
（３）女性が主動で行うこと
前述した通り避妊や性感染症予防のため、より安全に素股を楽しむためにも大事なのは、女性主動で素股を行うことです。もし相手がリードをしたがる場合は、すぐに素股を中断し、そのほかのスキンシップに切り替えるなど、自分の体を守ることを優先しましょう。
安全に楽しめる素股を
素股は腟挿入をせずに、挿入に劣らない気持ち良さを得られる行為の１つです。ただし、挿入がない場合でも妊娠のリスクや、性感染症に感染するリスクはあるため、「素股なら生でも大丈夫」は大きな誤認識です。必ずコンドームを装着することが重要です。
また、男性主体の素股では、コンドームをこっそり外して挿入するステルシング被害もあるため、なるべく女性主体の体位を選んで行うようにしましょう。
これらの知識を頭に入れた上で、相手に素股を誘われた場合もしっかりと正しい安全面の対策をして素股を行うようにしましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
