藤東クリニックお悩み相談室~頭皮の乾燥について~
毎日しっかりお風呂に入って洗っているのに、頭皮のフケが気になります。これは頭皮の乾燥が原因でしょうか?頭皮が乾燥しないようにするためにはどのようにしたらいいでしょうか?
フケが出るのは頭皮の乾燥が原因?
フケは、頭皮が乾燥してしまい、古い角質が剥がれ落ちることで発生します。
頭皮の表面に白い粉状の小さな欠片がみられ、フケがひどい場合、かゆみや炎症が生じることもあります。
フケの主な原因は乾燥ですが、以下のようなものがあります。
~頭皮のフケの主な原因~
- 脂漏性皮膚炎:頭皮の油分分泌が過剰になることで、皮膚が赤くなりフケが発生します。
- マラセチア菌感染:頭皮にカビの一種であるマラセチア菌が繁殖することで、炎症が起こり、フケが発生します。
- アレルギー性皮膚炎:ヘアケア製品に含まれる特定の物質に対して、アレルギー反応を起こすことで、かゆみとフケが発生します。
頭皮が乾燥する原因は?
頭皮の乾燥を引き起こす原因は生活の中に沢山あります。主な原因には下記のようなものが挙げられます。
~頭皮の乾燥を引き起こす原因~
- 過度な洗浄
- 頭皮の水分不足
- 外部刺激
- 内因性要因
頭皮の乾燥が気になるときは、生活の中から可能な限り乾燥の原因を取り除いていくことが大切です。
もっと知りたい「頭皮の乾燥」について
頭皮の乾燥を引き起こす原因やメカニズム
(1)過度な洗浄
過度な洗浄は、洗浄力の強いシャンプーや、熱いお湯を使った洗髪が挙げられます。頭皮の皮脂が過剰に取り除かれ、頭皮の乾燥が進むことがあります。また、洗浄の頻度によっても乾燥が生じることがあります。基本的には1日1回の洗浄が一般的です。1日2回シャワーを浴びる場合は、洗浄力が弱めのシャンプーを使ったり1回はお湯で洗い流すだけにするなどの工夫をしましょう。皮脂には頭皮のうるおいを保つ役割があるため、ある程度は残しておくことが大切です。
(2)頭皮の水分不足
頭皮の水分不足は、空気の乾燥や湿度の低下も関係しています。湿度が低い環境下では、頭皮の水分も蒸発しやすくなり、頭皮の乾燥につながることがあります。特に冬場や乾燥した地域では注意が必要で、意識的に頭皮の保湿をする必要があります。
(3)紫外線
紫外線も頭皮の乾燥の原因となります。紫外線には波長の長い「UV-A」と、波長の短い「UV-B」の2種類があり、そのうち頭皮への影響が大きいのが「UV-A」です。
この「UV-A」が頭皮の健康や毛髪の成長にかかわる毛根内の毛母細胞にまで到達し、正常な成長を妨げる一因になります。同時に、皮膚の表面に存在するバリア機能の皮脂膜にもダメージを与えるため、頭皮の水分が逃げやすくなり、乾燥を引き起こします。バリア機能が低下した状態では、ちょっとした刺激がかゆみやフケの原因にも繋がります。
(4)外部刺激
外部刺激には、頭皮を引っ張り傷つけるようなヘアスタイル、帽子などによる締め付け、ヘアカラーやパーマの薬剤などが挙げられます。
例えば、髪をきつく縛るポニーテールや帽子の着用は、頭皮周囲の血行を悪化させ、酸素や栄養の適切な循環を妨げることがあります。その結果、皮脂分泌が乱れ、頭皮が乾燥しやすくなります。さらに、ポニーテールや帽子の摩擦によって頭皮の表面が傷つき、保湿能力が低下し、乾燥が引き起こされることもあります。
また、ヘアカラーやパーマの薬剤による頭皮の乾燥も考えられます。薬剤に含まれる特定の成分が頭皮に付着することで、アレルギー反応が起こり、皮膚のバリア機能が傷つけられ、乾燥やかゆみ、フケを引き起こすことがあるためです。
(5)ストレスやホルモンバランスの変化
ストレス、ホルモンバランスの変化といった内因性要因からも、頭皮の乾燥に影響を与えることがあります。例えば、ストレスが増加すると、交感神経が興奮し、皮脂の分泌が抑制され、頭皮の乾燥が生じることがあります。
加えて、加齢によるホルモンバランスの変化で、頭皮の角質層が薄くなることがあります。角質層は外部刺激や水分蒸発を防ぐバリアの役割を果たしており、その薄さによって頭皮の水分が逃げやすくなり、乾燥が進行する可能性があります。
頭皮の乾燥を防ぐ方法
(1)適切なシャンプー選び
頭皮の乾燥を防ぐには、洗浄力の強すぎないマイルドなシャンプーを選ぶようにしてください。洗浄力が強すぎると油分や保湿成分が取り除かれ、頭皮のバリア機能が損なわれることで、頭皮の乾燥に繋がります。
髪質はもちろん、整髪料やヘアオイルを使用しているか、アレルギーの有無など、暮らしている環境特性によっても、マッチするシャンプーは変わってきます。自分に合った適切なシャンプーを選ぶよう心掛けましょう。
ただし整髪料やヘアオイルを使用していると、洗浄力の弱いシャンプーでは落とし切れず、頭皮や髪に残ったままになってしまうことがあります。その結果、頭皮の毛穴が詰まりやすくなり、皮脂汚れが溜まり、頭皮や髪の健康に影響を与える可能性があります。それを防ぐためには、適切な洗浄力を持つシャンプーや、プレシャンプーを取り入れるといいでしょう。
(2)シャンプー時のお湯の温度調整
45度近くの熱いお湯を使った洗浄は、頭皮の皮脂を過剰に取り除いてしまうため、頭皮の乾燥を引き起こす原因となります。シャンプー時は、38〜40度程度のお湯を使いましょう。熱めの温度が好きな方でも40度ほどに留めるようにしてください。
(3)正しいドライヤー方法
高温の風は頭皮を乾燥させる原因となるので、できるだけ低温で乾かすようにしましょう。
また、ドライヤーの風を直接頭皮に当てないよう、頭皮から約15〜20センチ離し、適度な距離を保って乾かすようにしてください。
一定時間、同じ箇所にドライヤーを当てて乾かすと、一部だけ高温になる可能性があります。できるだけ一か所に集中しないように、こまめにドライヤーを動かし、髪全体を乾かすようにしてください。
また、最近のドライヤーは自動で温風と冷風を交互に出すタイプの頭皮に配慮した機能がついているものもあります。こういった高機能ドライヤーの機能を活用するのも一つの方法です。
(4)頭皮の保湿を行う
顔と同じように、頭皮も皮膚の一部です。しっかり洗浄して汚れを洗い流した後に、保湿してキメを整えることで、頭皮を健やかに保つことができます。頭皮専用の保湿ローションやヘアトニックを頭皮に塗布し、マッサージするように全体になじませましょう。頭皮に潤いを与えることができます。
(5)紫外線対策
紫外線による頭皮ダメージは赤み、フケ、乾燥を引き起こします。紫外線から頭皮を守るためには、日頃から帽子をかぶることがおすすめです。日差しの強い夏だけでなく、外で過ごす際は帽子をかぶりましょう。
また、顔や身体と同じく、頭皮用の日焼け止めも販売されているので、シーンに合わせて取り入れましょう。
(6)ワックスやヘアオイルの付け方に気を付ける
ワックスやヘアオイルを付けすぎてしまうと、それを落とすために洗浄料の強いシャンプーで何回も洗わなければいけなくなります。その結果、過剰な洗浄による頭皮の乾燥を引き起こす可能性があります。
また、ワックスやヘアオイルなどには、油分や界面活性剤が含まれており、これらが頭皮に付くことで、皮脂や汚れと吸着して固体化。毛穴詰まりの原因にもなりえます。
できるだけワックスやヘアオイルを使用する際は、頭皮には付着しないように毛先につけるよう心掛けてください。
正しいシャンプー方法とスカルプケア
Step(1)入浴前にブラッシングをする
入浴する前に乾いた状態で、ブラシやコームなどで髪をとかしましょう。頭皮を軽くマッサージするように、そして髪の絡まりをほどくようにブラッシングしてください。頭皮や髪に付着した汚れや古い角質を取り除くことができ、シャンプーの効果が高まります。
ただし力をいれてブラッシングをすると、髪が引っ張られて抜ける・頭皮にダメージを与える恐れがあるため、髪の絡まりを確認しながら少しずつブラッシングをするようにしてください。
Step(2)予洗いをする
シャンプーをする前に、まずはぬるま湯で軽く頭皮や髪全体を洗い流しましょう。入浴前のブラッシングで残った汚れをサッと洗い流すイメージです。また、頭全体に水が行き渡り、シャンプーの泡立ちを良くします。
Step(3)プレシャンプーをする
ワックスやヘアオイルをしている方は、シャンプーがうまく泡立たないことがあります。これは整髪料などに油分が多く含まれているためです。そんなときはプレシャンプーを行い、整髪料の油分を事前に落とすことで、2度目のシャンプーの効果を高められます。
ただし洗浄力の強いシャンプーで何度も洗浄をしてしまうと、洗いすぎによる乾燥を引き起こす原因になることがあります。通常のシャンプーで2度洗いするのではなく、プレシャンプー専用のものを使用してください。
プレシャンプーは美容室などでも取り入れられています。
Step(4)シャンプーをしっかりと泡立る
シャンプー液をそのまま頭皮や髪につけてから泡立てる方がいると思います。しかし液をそのまま頭皮につけると洗浄力が強すぎることがあるので、手のひらでしっかりと泡立ててから、頭皮や髪につけるようにしてください。
泡立てる時は、少量のお湯を加えることで泡立ちやすくなります。
Step(5)頭皮を中心に洗う
シャンプーをする時は髪だけではなく、頭皮をしっかり洗うことを心掛けましょう。また爪を立てるのは。頭皮を傷つけ、トラブルが起こりやすくなるため指の腹で洗うように注意しましょう。
髪を強くこすり合わせるように洗うのもNGです。濡れた髪は、キューティクルが開いた状態のため、摩擦により髪内部の成分が流出してしまいます。その結果、髪の乾燥や枝毛、切れ毛などの原因となります。
Step(6)十分にすすぐ
髪にシャンプー液が残らないように、十分に洗い流しましょう。シャンプーが髪や頭皮に残ったままでは、強い刺激となるため、乾燥やフケの原因になります。
特にすすぎ忘れの多い、生え際や襟足、耳の後ろなどを重点的に、満遍なくすすぐようにしてください。
そのほかにも!頭皮の乾燥防止に役立つケアアイテム
(1)頭皮用クレンザー
髪ではなく、頭皮の洗浄に特化したスカルプアイテムを使うことで、頭皮に付着した余分な皮脂や汚れをしっかりと洗い流すことができ、健やかな頭皮環境を目指せます。
洗い上りがさっぱりとした使用感のものが多く、フケやかゆみ、毛穴の詰まり、頭皮の臭いといった症状が気になる方におすすめです。
(2)頭皮用トリートメント
一般的に髪の毛の1本1本をコーティングし、なめらかな指通りへと導くイメージのトリートメントですが、頭皮専用のものもあります。
合成界面活性剤や添加物が含まれておらず、敏感な頭皮や肌にも使用できる低刺激の処方の頭皮用トリートメントを探しましょう。
パックをする要領で、頭皮全体に頭皮用トリートメントを塗り込み、少しおいてから洗い流します。頭皮にしっかりとうるおいを与えることで、キメの整った状態へと導きます。
ラブコスメのクリームバストリートメントは、頭皮をうるおいで包み込むアルファゲル構造を用いており、しっとりと頭皮全体をカバーするようなイメージで、乾燥対策が出来ます。
(3)軽いテクスチャーのヘアオイル
ヘアオイルは髪に塗布するために開発されていますが、ヘアオイルの成分と、ワックスなどの整髪料や頭皮の皮脂が吸着することで固体化し、頭皮に残ってしまうことがあります。その結果、頭皮の毛穴詰まりによる不快感を感じ、それを落とすためにシャンプーで洗い過ぎてしまうことがあります。
頭皮がべたつきやすい方、整髪料を常用する方が、重たいテクスチャーのヘアオイルを選んでしまうと、頭皮に付着した際に残りやすくなってしまいます。できるだけ軽いテクスチャーのヘアオイルを選ぶようにしましょう。
またヘアオイルをつけるときは、できるだけ頭皮に付かないよう髪の中間から毛先に向けてなじませるようにしてください。
頭皮の乾燥は、セルフケアで健やかな状態を目指せる
頭皮の乾燥は過度な洗浄や頭皮の水分不足、外部刺激が主な原因として挙げられます。そのため正しいシャンプー方法やヘアケア製品の選び方に注意し、頭皮の過度な洗浄や刺激を避けましょう。
また、顔のスキンケア同様、頭皮専用の保湿剤やヘアオイルを上手に取り入れることで、健やかな頭皮と美しい髪を保つことが出来ます。頭皮も肌であるという基本に返り、丁寧なセルフケアを取り入れて健やかな状態を目指していきましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。