藤東クリニックお悩み相談室~コンドームの種類について~
コンドームの種類を選ぶ時の基準って?
コンドームを使用する目的は、避妊と性感染症の予防です。まずは、その目的を満たせる安全性の高さを最重要視しましょう。
安全性を担保するためにも、国の規定を満たした「JISマーク」が掲示されていることが第一です。合わせて、抜けたり破損したりという事故がないよう、適切なサイズのコンドームを選ぶことも大切です。
一方で、様々なお悩みや好みに合わせた、様々な種類のコンドームが市販されています。安全性とサイズを担保した上で、自分たちに合うものを選びましょう。
どんな種類のコンドームがあるの?
コンドームの種類は、サイズ以外に、主に次の3つのポイントに違いがあります。
- 素材
- 形状
- ジェルのタイプ
それぞれの特徴を知った上で、2人に合うものを探してみましょう。好みの使用感のコンドームを選ぶことで、挿入時の潤い不足や装着時の手間など、性交時の悩みを改善できる場合があります。
もっと知りたい「コンドームの種類」について
コンドームの素材と特徴
ラテックス製
ラテックス製コンドームは、いわゆる天然ゴムで作られたコンドームです。現在販売されているコンドームでは、ラテックス製の商品が多くの割合を占めています。
ラテックス(天然ゴム)は、柔らかく伸縮性に優れており、薄い商品では特にフィット感や密着感が楽しめます。摩擦係数が高く滑りにくいため、抜けにくいことも特徴です。しかし、ゴム独特の臭いが気になるという理由から避ける方もいます。
なお、いずれかにラテックスアレルギーがある場合、ラテックス製コンドームは使用できません。ラテックスアレルギーの場合、かゆみやじんましんなどの皮膚障害や、まれに呼吸困難などのアナフィラキシーショックが起こる可能性があります。
パートナーに「ラテックスアレルギーでコンドームを使えない」と言われた時のために、ラテックスアレルギーの方でも使えるポリウレタン製やイソプレンラバー製のコンドームを用意しておくと良いでしょう。
また、ラテックス製コンドームと油性のローションやクリームを併用すると、コンドームが劣化し、破損しやすくなります。ローションなどを併用する際は、水性(ウォーターベース)のものを選びましょう。
ポリウレタン製
ポリウレタン製コンドームは、プラスチックで作られています。ラテックスのような伸縮性はないものの、非常に薄いコンドームを作ることができます。0.02mmや0.01mmといった薄さが特徴のコンドームは、ポリウレタンで作られていることが多いです。
透明感があり、薄いビニールのような手触りで、ゴム特有の臭いも感じにくいです。先述したラテックスアレルギーの方でも使用することができます。
しかし、伸縮性が低いため、サイズが合っていないと窮屈に感じる可能性が高いです。また、特に薄い商品の場合、ラテックス製コンドームよりも巻き下ろしにくいと感じるかもしれません。無理に引っ張ったり指で押したりすると破れてしまう可能性がありますので、慎重に装着しましょう。
インプレンラバー製
イソプレンラバーは、比較的新しい素材です。もっちりとした皮膚のような柔らかい感触で、装着時の違和感が少ないことが特徴です。ラテックスのような伸縮性がありながらも、ゴム特有の臭いはあまりありません。少々厚みがありますので、長く挿入を楽しみたい方は重宝しそうです。
イソプレンラバーとラテックスは、構造が似ています。しかし、イソプレンラバーは、アレルギーの原因となる天然ゴムが使われていない合成素材ですので、ラテックスアレルギーの方でも使用することができます。
ただ、現状ラテックス製のコンドームよりも種類が少なく、値段は高めです。
女性用コンドーム
上記までは、男性側に装着するコンドームについての解説でしたが、実は女性器に着用する「女性用コンドーム」も存在します。
腟の中に装着し、内壁を覆って使用する、柔らかいバリアー型の避妊具です。女性主体で避妊や性感染症の予防ができるので、男性が持っていない時に備えて用意しておくと良いかもしれません。
しかし、腟に入れ込んで使うため、男性用のコンドームと比べて装着が難しく、慣れが必要です。また、女性用コンドームと男性用コンドームを併用すると、摩擦によって破損やズレが生じることがあるので、併用は避けてください。
コンドームの形状と特徴
ストレートタイプ
ストレートタイプは、最もポピュラーなコンドームの形状です。文字通り、まっすぐでシンプルな形のコンドームです。
装着もしやすいので、初めて使う、または何が合うか分からない方は、まずはストレートタイプを選ぶと良いでしょう。
リアルフィットタイプ
男性器の形に沿った形で、トップの精液だまりがないのが「リアルフィットタイプ」です。
男性器の先端部分にも密着するので、フィット感や抜けにくさが期待できます。女性側も、自然な挿入感を楽しめるでしょう。
グリップ(段絞り)タイプ
「グリップ(段絞り)タイプ」のコンドームは、波型のうねりがあり、男性器のくびれの部分(カリ)より下に数か所の絞りがあります。
男性器全体を強めに締め付けるので、男性側は密着感や程よい圧迫感が楽しめるでしょう。フィット感が強く、外れにくさも期待できます。
つぶつぶ加工タイプ
コンドームの表面に、ボコボコとした多数の凹凸が加工されているコンドームもあります。この「つぶつぶ加工(ドット)タイプ」のコンドームは、女性の腟内を凹凸によって刺激できる利点があります。
ただ、ドット部分に違和感を覚える女性もいますので、女性側の好みに合わせて使い分けると良いでしょう。
ブリスターパックタイプ
プラスチック製の薄いコンドームに多いのが、「ブリスターパックタイプ」です。一般的なコンドームの個包装は袋タイプですが、ブリスターパックタイプのコンドームは小さな薄いカップ状の容器に入っています。
軽くコンパクトでありながら、カップ状でつぶれにくく、持ち運びしやすい点が特徴です。また、開封面が表(女性側)となっており、袋タイプよりも表裏の判別がしやすくなっています。開封したら、そのまま先端をつまんで男性器に装着するだけ、というシンプルさが便利です。
コンドームに塗布された潤滑剤の特徴
ゼリータイプ
先端ゼリー加工
表と裏の両面の先端にゼリーが塗布されています。空気抜きが不要で、スムーズに装着できます。女性側のゼリーはサラッとしているので、性交時の違和感が強い方は、潤いに物足りなさを感じるかもしれません。
ジェルトップ加工
コンドームの先端部分を反転させた内側に、潤滑ゼリーがたっぷり塗布されています。このゼリーが男性の装着により押し出され、女性側に広がり、腟内の潤いをサポートします。性交時の潤い不足を感じやすい女性に適したコンドームです。
ステルスゼリー加工
ジェクス社が開発した「ステルスゼリー」が塗布されています。コンドームの装着感が少なく、一体感や密着感を味わうことができます。
パウダータイプ
サラサラとしたパウダー状の潤滑剤が加工されたコンドームです。触った手がベタつかないことが最大の特徴です。ベタつかない分、ゼリーに比べて潤滑性は低めです。
温感と冷感タイプ
温感または冷感のジェルを塗布したコンドームで、挿入時の感覚にバリエーションをプラスすることができます。温感タイプは、お互いの体温を感じ合えるような、温かい挿入感が女性に人気です。一方冷感タイプは、スーッとした独特の刺激を味わえるでしょう。
香りや味付き、可愛いパッケージタイプ
香りや味付きのコンドームは、ゴム特有の臭いが苦手な方におすすめです。コンドームを装着してオーラルセックスを楽しみたい場合にも活躍します。果物やスイーツなど様々なフレーバーがありますので、好みや気分で選ぶと楽しさの幅が広がるでしょう。
お菓子の箱のような、可愛らしいパッケージのコンドームもあります。自分で買いにくい、インテリアに合わなくて部屋に置きたくないという女性でも、手に取りやすいかもしれません。
コンドームの種類選びについて、よくあるお悩み
(1)男性と女性、どちらが選ぶ?
コンドームは男性が装着するものと考え、男性が事前に1人で用意することが多い傾向にあります。しかし、装着するのは男性側ですが、コンドームは男女が一緒に使うものですので、どちらが選んでも構いません。
女性にとっては、挿入時の潤い不足など少々言い出しにくい悩みを軽減できるコンドームもあるため、女性自身が選ぶことも性行為の満足度向上に繋がります。さらに、自分で購入・保管していれば、使用期限切れや劣化などを自ら留意することができます。
もちろん、2人で一緒に選ぶのもおすすめです。コンドームを通して性に関するコミュニケーションを取ることで、より相互の満足度や信頼感が高まるでしょう。
(2)どこでコンドームの種類について知れば良いのか分からない
コンドームが今すぐに欲しいのであれば、コンビニやドラッグストアが便利です。しかし、店頭でじっくりパッケージを読んで選ぶのは、他人の目が気になって気が引ける方も少なくないでしょう。
事前にネットでコンドームの種類や特徴を確認しておき、必要なタイミングになったら店頭で購入すると良いでしょう。ネット通販の方が種類や在庫が豊富で、レジ対面の気恥ずかしさもありませんので、コンドームの種類にこだわりたい方や店頭で買うのが恥ずかしい方は、オンラインストアでの購入がおすすめです。
(3)ジェルたっぷりの種類でも潤い不足を感じる
ジェル付きコンドームも豊富な種類がありますが、濡れにくい方や乾きやすい方、または長時間挿入を楽しみたい方にとっては、コンドームのジェルでは足りない場合もあります。
潤い不足による挿入時の違和感や不快感に悩む方は、潤いをサポートしてくれる潤滑ジェルやローションを併用すると、よりスムーズさを感じられるでしょう。ラテックス製コンドームでも併用できる、ウォーターベースのアイテムがおすすめです。
ジェルを使うことをパートナーに伝えにくい方は、性行為の前に使用しても気づかれにくいタイプの潤滑剤を使用すると良いでしょう。
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(4)サイズ選びに失敗して脱落してしまった時はどうしたら?
コンドームのサイズや形状が合っていないと、途中で抜けたり破損したりすることがあります。必ず適切なサイズのコンドームを選び、正しく装着してください。
コンドームが脱落または破損し、避妊に失敗した場合は、すぐに病院を受診し「緊急避妊薬(アフターピル)」を処方してもらいましょう。避妊に失敗した性行為の72時間後までに服用すれば、約97%の確率で避妊できます。
しかし、土日など病院が休診となるタイミングもあるので、事前にお近くで入手できる病院を調べておくと良いでしょう。
緊急避妊薬は保険適用外で、実費となります。さらに、一時的に強いホルモンで刺激を与えるため、吐き気や腹痛・頭痛などの副作用が起こるケースもあります。身体的にも経済的にも負担が大きいので、緊急避妊薬はあくまで最終手段として捉え、普段から適切な避妊をすることが重要です。
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種類豊富なコンドーム。様々な種類を試して自分に合ったものを選ぼう
コンドームには沢山の種類がありますが、一番の目的である避妊と性感染症予防のため、適切なサイズと品質を特に重視して選ぶ必要があります。自分の身を守るために、女性主体で用意することも大切です。
コンドームは、パートナーと2人で使うものです。女性が使ってみたいものを積極的に選ぶことは、潤い不足やゴム独特の臭いなど、女性側の悩みや不快感の軽減にも繋がります。色々な種類のコンドームを試し、2人に合ったコンドームを選ぶことで、お互いの満足感の向上が期待できるでしょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。