藤東クリニックお悩み相談～避妊方法について～
避妊とは
避妊とは性行為の際に妊娠を避ける方法です。最も有名なのはコンドームを使用した避妊法ですが、そのほかにも経口避妊薬（ピル）を服用する方法や、近年認知度が高まってきた子宮内にホルモンを放出する器具「ミレーナ」を設置するなどの方法があります。
一方で中には確率が下がってしまう間違った避妊方法や、実際には妊娠を防ぐことのできない方法が避妊方法として広まっているケースもあります。望まない妊娠を避けるためには、正しい避妊方法を知っている必要があります。
間違った避妊方法とは？
最も間違った情報である避妊方法は「外出し（腟外射精）」です。とあるデータでは、望まない妊娠をした女性の４割は腟外射精を避妊法として実施していたという報告もあります。その他にも「安全日」「危険日」を最終生理日から計算し、妊娠しやすい日の性行為を避ける方法（オギノ式）も間違った避妊方法の一つです。
もっと知りたい！避妊方法について
避妊方法の種類
（１）コンドーム
コンドーム（男性用コンドーム）は、最も手軽で負担の少ない避妊方法だといわれています。ゴムやポリウレタンでできた薄いカバーを男性器に被せ、精子が腟内に入るのを防ぐ方法です。コンドームはドラッグストアやコンビニ、通販などで購入することができます。
コンドームを正しく着用したときの避妊率は98％、全体での避妊率は85％ほどです。着脱のタイミングが間違っていたり破損があったりすると避妊確率が大きく下がってしまうので注意が必要です。特にコンドームを着用せずに挿入し、射精直前に装着する行為は大きく避妊確率が下がります。こういった場合も「コンドームを使用して避妊していた」という記録に含まれています。
さらに詳しいコンドームの付け方は下記で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
（２）経口避妊薬（ピル）
コンドームを使用した避妊方法は男性の協力が必要になります。一方で、女性が主体的に実施できる避妊方法に「低用量ピル」があります。低用量ピルは正しく服用することで99.7％もの高い避妊効果があるといわれています。
ただし40歳以上になると血栓症のリスクが高まるため、使用は推奨されていません。別の避妊方法を選んだ方がいいでしょう。
（３）ミレーナ（子宮内避妊用具）
ミレーナは、子宮内に設置することで黄体ホルモンが維持される器具です。一度設置すると、脱落しなければ５年間避妊効果が持続します。低用量ピルと同じく、生理痛や生理不順にも効果があるとされています。一方で低用量ピルのような、飲み忘れや血栓症のリスクが無いというメリットがあります。ミレーナを抜去すれば避妊効果がなくなり、妊娠が可能になります。
（４）その他
このほかの避妊方法として殺精子剤、ペッサリー、IUD（避妊リング）などがあります。
殺精子剤は腟内で精子を死滅させる効果がある薬剤をあらかじめ腟内に入れてから性交する方法です。ゼリーやフィルム、錠剤といった形状です。
ペッサリーは子宮の入り口に精子が入ってこないようにする蓋を設置する方法です。性交前に自分のサイズに合ったゴム状のペッサリーを殺精子剤を塗ってから装着します。性交後は、射精後8時間以上たってから自分で取り外します。
IUDはミレーナ（IUS）と似ていて婦人科で子宮内に器具を設置するタイプの避妊方法です。精子の運動を阻害し受精を阻止します。
避妊法はどれか一つではなく、ピルとコンドーム、ミレーナとコンドームなど併用することで避妊確率を上げることができます。
間違った避妊方法の種類
世間で一般的に「避妊方法」と呼ばれているものの、実際には避妊効果のない「誤った避妊方法」があります。誤った情報を信じてその避妊方法を試してしまうと望まない妊娠につながるので、注意が必要です。
間違った避妊方法（１）安全日・危険日（オギノ式）
安全日は俗に「セックスをしても妊娠しない日」として認識されています。しかし、女性の身体には確実な「安全日」というものはありません。
オギノ式と呼ばれる方法では、安全日の定義は「次回生理予定日の7日前」として計算します。例えば28日周期であれば、前回生理開始から21日～28日が安全日となります。この計算方法で安全日が判断できるという根拠は、卵子が排卵されるというタイミングにあります。
卵子は一般的に前回生理開始日から14日前後に排卵します。そして卵子は排卵後24時間しか生存しません。このことから、排卵から24時間過ぎてしまえば、妊娠する恐れはないと判断しているのです。
しかしあくまで生理予定日は「予定日」。排卵が14日より遅れ、「安全日」といわれる21日以降に起こることもあります。その場合排卵したタイミングの前後で性行為をすれば、当然妊娠する確率は高いです。しかし女性が日常生活で自分がいつ排卵したかを察知することは、非常に困難です。このことから女性に「安全日」は存在せず、妊娠を望まない場合は常に避妊に気を配る必要があるといえます。
一方で妊娠確率の高い「危険日」という考え方は妊娠をしたいときには多少効果を発揮します。排卵予定日である前回生理後の10～17日が危険日にあたり、性行為をした際妊娠をする可能性が高いといえます。避妊効果を高めたい場合、別の避妊方法をと併用して、この危険日を避けて性行為をするという人もいるようです。
間違った避妊方法（２）外出し
「外出し」は全く効果のない間違った避妊方法です。しかし未だに「外出し」を避妊方法として実施しているカップルもいるようです。射精をする瞬間に腟外にペニスを抜き去っても、精液の一部が腟に放出されてしまう危険は大きいです。
また射精をしなくても、男性のペニスからはカウパー腺液（先走り液）などが分泌されます。その中に精子が含まれており、受精して妊娠する可能性は十分にあります。
間違った避妊方法（３）射精の前だけコンドームを着ける
同じ理由で避妊効果が得られないのが「射精の前だけコンドームを着ける」という方法です。射精前だけコンドームを着けても、ペニスをそのまま腟内に挿入した時点で分泌液に含まれた精子から妊娠するリスクは避けられません。
単にコンドームを着けるといっても、射精の時だけではなく最初の挿入から射精後の最後まで、一度も直に挿入しないことが重要です。
間違った避妊方法（４）その他
その他にも「射精後すぐに腟を洗う」「腟をコーラで洗う」「逆立ちをする」なども避妊効果のない都市伝説的な話です。一度精子が腟に入るとすぐに腟の奥に侵入し、取り除くことは困難です。そのため、最初から精子が腟の中に入らないようにすることが大切です。
避妊に役立つアイテム
（１）コンドーム
コンドームを自分で持つのが恥ずかしいという理由から、相手に準備をゆだねてしまうケースもあるようです。しかし、コンドームは女性の身体を守る大切なものです。
女性がコンドームを購入すること、持ち歩くことは恥ずかしいことではありません。見た目がコンドームだとわかりにくい、かわいいデザインのパッケージのものもあります。コンドームを保護してくれるコンドームケースに入れて持ち歩いてもいいでしょう。
（２）潤滑ジェル
コンドームを使うとこすれるような違和感を感じる女性もいるようです。その場合はコンドームと一緒に潤滑ジェルを使用すると、よりスムーズな感覚に近づくことができます。ただし、油性のローション（潤滑ジェル）はコンドームを溶かし破損しやすくしてしまう恐れがあります。必ず水溶性の潤滑ジェルを使用するようにしましょう。
安全日は間違った避妊法！確実な避妊方法を知ろう
世間で話題に上る避妊法には「安全日」など間違ったものも含まれています。しっかり避妊率の高い確実な避妊方法を知って実施しましょう。
さらにひとつだけでなく「コンドーム」と「ピル」の併用など、複数の方法を組み合わせることでより確実に避妊することができます。そして女性だけでなくパートナーとともに、確実避妊の知識を身につけましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
