脇の臭いの原因とは?脇臭の対策と予防ケア方法

  • 2022年6月14日
  • 2023年7月26日
  • におい

藤東クリニックお悩み相談室~脇の臭いについて~

 
質問者
脇のツンとするような臭いが気になっています。脇が臭くなる原因を教えてください。 
 
藤東先生
今回は脇の臭いについて解説しましょう!

脇の酸っぱい臭いの原因は?

脇の酸っぱい臭いは、肌の常在菌が汗の分解を行うことが原因で発生します。汗そのものの臭いではなく、常在菌が汗を分解した後の排泄物の臭いです。ホルモンバランスや生活習慣の乱れ、体質などによって酸っぱい臭いが強くなると考えられます。

脇の臭いの対策方法は?病院で治療するべき?

脇の臭いは、こまめに汗を拭く、ストレスを解消する、生活習慣の見直しを行うなどで改善できる可能性があります。これらのセルフケアの他にも、脇の臭いを病院で治療することも可能です。病院では、脇の汗を抑える治療を行うのが一般的です。

もっと知りたい「脇の臭い」について

脇の臭いが生じる原因

原因(1)脇の汗が残っている

脇の臭いは、皮膚の常在菌が汗の分解を行うことで発生します。しかし、全ての汗に強い臭いが生じる訳ではありません。

汗には、エクリン腺から出る汗とアポクリン腺から出る汗の2種類があります。全身に分布するエクリン腺から出る汗が無臭である一方、脇の下に多く分布するアポクリン腺の汗は、脂質やタンパク質など臭いの元となる成分を多く含んでいます。

脇の臭いが強い方はアポクリン腺が多い傾向にあり、極度の緊張や強いストレスもアポクリン腺からの発汗が増加する要因になります。アポクリン腺からの汗が脇に残っていると、常在菌による分解が進み、臭いを発生させる原因となるのです。

原因(2)体質

汗腺の数や汗のかきやすさなどは、体質に由来する部分が大きいと考えられます。

臭いの元となるアポクリン腺の数は、遺伝によって決まるとされています。「ワキガ体質は遺伝傾向が強い」と言われるのは、ワキガとアポクリン腺が密接な関係にあるからです。

両親がワキガである場合、高い確率で遺伝するとされていますが、必ずしも遺伝する訳ではありません。反対に、両親がワキガではない場合でも、ワキガになる可能性はあります。生まれつきの汗腺の数など体質は変えられませんが、生活習慣の見直しなどにより、ある程度脇の臭いを軽減させることは可能です。

原因(3)ホルモンバランス

脇の臭いの強さは、ホルモンバランスにも影響されます。

男性ホルモンだけでなく、女性ホルモンも脇の臭いを悪化させる要素です。排卵や生理、妊娠、更年期などのホルモンバランスの変化により、アポクリン腺の働きが活発になり、臭いが悪化する原因となるのです。

また、生理周期に応じて嗅覚が敏感になり、自分の体臭をより強く感じてしまうことも、脇の臭いが気になる原因の1つであると考えられます。

原因(4)生活習慣

食事・運動・喫煙などの生活習慣も、脇の臭いの原因です。肉類や乳製品など動物性の脂質を多く含む食べ物や、ニンニク・香辛料など刺激の強い食べ物を多く摂取すると、アポクリン腺が活発になって汗の量が増えたり、体臭そのものが強くなったりします。

また、煙草に含まれるニコチンは、アポクリン腺と同時にエクリン腺から出る汗も増加させ、アポクリン腺から出た汗を広げてしまいます。煙草の他には、緊張や精神的ストレスも、アポクリン腺を刺激する要因です。

さらに、洋服の素材も脇の臭いの原因となります。レーヨンやポリエステルなどの化学繊維は、綿などの自然繊維に比べて通気性や吸収性が悪く、汗が蒸れることで雑菌が繁殖しやすい環境となる傾向があります。また、化学繊維は臭いが染み付きやすい性質があるため、染み付いた臭いを放ち続け、脇の臭いを強く感じさせる原因となるのです。

脇が臭くなる病気

病気(1)腋臭症・アポクリン臭汗症

「腋臭症」「アポクリン臭汗症」とは、いわゆるワキガのことです。アポクリン腺が大きい、または数が多いことが臭いの原因です。家族がワキガの方や、耳垢が湿っている方に多い傾向があり、通常思春期に発症し、高齢になると症状は軽減するとされています。

欧米などでは、ワキガ体質の方が70〜80%と多いため、体臭があるのは自然なことで、治療すべき疾患として認識されていません。

一方、ワキガ体質の日本人は10%程度です。ワキガが少数派であり、ワキガの臭いが不快だと捉えられることが多いため、疾患名が付き治療の対象となっています。

病気(2)多汗症

日常生活に支障が出るほど大量の汗をかく症状のことを、多汗症と言います。全身の汗の量が多い「全身性多汗症」と、部分的に汗の量が多い「局所性多汗症」に分けられます。

多汗症の中でも、特に症状が脇に集中するものを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と呼びます。体温の上昇や精神的な緊張により、発汗の症状が顕著になるのが特徴です。

多汗症により出る汗はエクリン腺から分泌される無臭の汗ですが、同時にアポクリン腺からの発汗も増えます。エクリン腺からの大量の汗が、臭いの強いアポクリン腺からの汗を希釈し、蒸発する際に臭いを拡散してしまうのです。なお、エクリン腺から出る汗であっても、放置すると雑菌が繁殖して汗臭さの原因となります。

病気(3)粉瘤

粉瘤は、表皮が皮膚の中に入り込んで袋を形成し、その中に老廃物や垢などが蓄積する良性の皮下腫瘍です。全身で発症する可能性がありますが、頭・顔・脇・背中・お尻などに比較的多く見られます。しこりを強く圧迫すると、ドロドロとした老廃物が体外に出てきて、強い臭いを発するのが特徴です。

通常の粉瘤は、痛みなどの症状を伴いません。しかし細菌が侵入して細菌感染を起こすと、赤く腫れて痛みを感じることがあります。このように炎症を起こしている場合には、粉瘤内の老廃物が体外に出ていなくても臭いを発するため、それが脇の臭いの原因となっている可能性があるのです。

病気(4)脇が臭いと感じる病気も

実際に臭いがある訳ではないのに、心の病気が原因で、脇が臭いと感じてしまうことがあります。これは「自臭症(自己臭恐怖症)」と呼ばれる病気で、過去の臭いに関する体験がトラウマとなって発症するとされています。実際には存在しない臭いを感じる、周囲に臭いと思われていると感じ強い不安を持つなど、日常生活に支障をきたします。

また、統合失調症などの病気でも、臭わないはずのものが臭う「幻嗅」の症状が現れることがあります。ワキガ体質の特徴に当てはまらない、臭い対策をしても臭いが消えない場合は、心の病気である可能性もあります。これらの病気が疑われる場合は、一度精神科や心療内科へ相談してみましょう。

脇の臭いの対策方法

対策(1)脇の汗をこまめに拭く

脇の臭いの発生を抑えるためには、汗が常在菌に分解されることを防ぐ必要があります。汗をかいた後すぐにシャワーを浴びたり、ウェットシートやハンカチなどでこまめに拭いたりするだけでも、脇の臭いを軽減できます。

ウェットシートやハンカチで強く擦ると、脇の黒ずみの原因になります。脇を押さえるように、優しく汗を拭ってください。

また、アルコール配合のシートは刺激が強く、肌荒れや乾燥を引き起こす可能性があります。脇の肌が乾燥すると、皮膚が過剰に皮脂を分泌し、かえって臭いが強くなるのです。敏感肌でも使える肌に優しいウェットシートを選びましょう。

デリケートゾーンにも使えるウェットシート
デリケートゾーンにも使えるウェットシートの例。画像はLC’sジャムウ・デリケートウェット(ラブコスメ)

対策(2)エチケットアイテムを活用する

制汗剤やデオドラント商品など、エチケットアイテムを活用する方法もおすすめです。スプレータイプ・シートタイプ・ロールオンタイプ・スティックタイプ・クリームタイプなど様々な種類がありますので、自分の肌やライフスタイルに合ったものを選びましょう。エチケットアイテムは、汗を拭き取った後の清潔な肌に使うようにしてください。

ただし、デオドラント商品を過剰に使いすぎると、脇が乾燥して過剰な皮脂分泌を起こし、臭いや肌トラブルの原因となることがあります。必ず目安の用量を守って使いましょう。

ロールオンタイプのエチケットアイテム
ロールオンタイプのエチケットアイテムの例。画像はLCジャムウ・ハーバルロール(ラブコスメ)

対策(3)医療機関で治療する

病院での脇の臭いの治療には、いくつかの方法があります。

まずは、内服薬・外用薬・ボトックス注射などで発汗を抑える治療方法です。根本治療ではなく対症療法であるため、永続的な効果はありませんが、症状が比較的軽度で手軽に治療を受けたい方に向いています。

また、レーザーを照射して汗腺を破壊する治療もあります。レーザー治療はアポクリン腺とエクリン腺の両方に作用するため、多汗症の治療としても有効です。効果は半永久的に持続し、手術に比べてダウンタイムが少なく傷跡が残りにくい点も特徴です。

重度のワキガである場合、手術でアポクリン腺を取り除く治療が一般的です。アポクリン腺を目視して除去する剪除法(せんじょほう)や、吸引器で吸い出す吸引法など、いくつかの手術方法があります。傷跡の大きさや確実性など、それぞれにメリット・デメリットがあります。

脇の臭いを治療したい方は、美容外科・整形外科・皮膚科などで診察を受け、最適な治療方法を相談してみましょう。

脇の臭いの予防方法

予防方法(1)脇を衛生的に保つ

日常的にできる一番の臭いの予防方法は、毎日のお風呂やシャワーで丁寧に洗浄することです。臭いの元となる汗や皮脂などの汚れを洗い流し、脇を清潔に保つことが臭いの予防に繋がります。

ただし、ゴシゴシと擦ったり洗浄成分の刺激が強過ぎたりすると、肌の乾燥により皮脂分泌が過剰になり、かえって臭いの原因になる可能性もあります。肌に優しいボディソープや石鹸を選び、強く擦らず丁寧に洗い流しましょう。

臭いの元を洗い流せる石鹸
臭いの元を洗い流せる石鹸の例。画像はジャムウ・ハーバルソープ(ラブコスメ)

予防方法(2)生活習慣を見直す

食生活・飲酒・喫煙・ストレス・衣類など、生活習慣を見直すことも臭いの予防に繋がります。発汗を促すお酒や煙草は、特に極力控えることをおすすめします。

食生活では、動物性の脂質や刺激の強い食べ物を減らすことが大切です。さらに、体臭を抑える効果があるお酢・梅干し・海藻類などのアルカリ性食品を、積極的に摂ると良いでしょう。

また、強い緊張やストレスを感じると、発汗量が増えてしまいます。深呼吸やストレッチをする、アロマを嗅ぐ、コーヒーを飲むなど、自分がリラックスできる方法を見つけておくと良いでしょう。

その他にも、衣類は合成繊維を避け、通気性や吸収性の高いコットン・リネン・ウールなどの自然繊維を選ぶと良いでしょう。化学繊維との混紡ではなく、肌にストレスをかけない100%自然繊維がよりおすすめです。

生活習慣の見直しで、脇の臭いを改善しよう

脇の臭いは、脇の汗をこまめに拭き取って清潔に保ったり、食事や嗜好品など生活習慣を見直したりする身体的なケアだけでなく、衣類の素材を選ぶだけでも改善が期待できます。自分でできる正しいケア方法を知り、まずは習慣として取り入れてみましょう。

脇の臭い対策として、エチケットケアアイテムや、臭いの元を洗い流せる石鹸などのアイテムを活用する方法もあります。脇の臭いは医療機関での治療も可能ですので、なかなか改善できず悩んでいる場合は、一度医療機関に相談してみてください。

ジャムウのケアにプラスしたい!インナーケアの新習慣
sponserd by ラブコスメ

※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。

今、おすすめの記事

藤東クリニックお悩み相談~デリケートゾーンの黒ずみ~ 相談者 デリケートゾーンの黒ずみが気になります。特に女性器のIゾーンの部分の肌が黒ずんでいる印象です。市販のクリームなども売っていますが、黒ずみを消すことはできるのでしょうか?[…]


今、おすすめの記事

藤東クリニックお悩み相談 ~デリケートゾーンのにおいについて~ 質問者 こんにちは。デリケートゾーンのにおいについて質問です。この間お風呂に入る時に下着を脱いだら、デリケートゾーンのにおいが漂ってきて気になりました。 最近彼氏ができた[…]

>女性のライフサイクルを応援します

女性のライフサイクルを応援します

産科・婦人科 藤東クリニック
〒735-0029 広島県安芸郡府中町茂陰1丁目1-1
TEL: 082-284-2410
FAX: 082-284-2411
MAIL: MAIL: mail@fujito.clinic

電話でのお問い合わせご相談は、受付時間内にお願いいたします。
受付時間: 午前 9:00〜午後 17:30(日曜・祝日、休診日を除く)

CTR IMG