藤東クリニックお悩み相談室~EDとは~
EDとは何?
ED(Erectile Dysfunction)とは、満足な性行為を行うほどの勃起が得られない、または維持できない状態を指します。「勃起不全」「インポテンツ」と表現される場合もあります。挿入に至らない場合だけでなく、性行為を最後まで行えない場合も含むため、行為中に勃起を維持できなくなる「中折れ」もEDの一種とされています。
藤東クリニックお悩み相談室~中折れについて~ 相談者 性行為中に起こる、パートナーの中折れが気になります。私のせいなのではと不安です。中折れの原因は何ですか?また、対策方法はありますか? 藤東先生 今回は中折れについて解[…]
思うように勃起できない日があったり、勃起に不安を覚えたりするなど、本人が勃起に満足していない場合もEDとみなされます。
EDは病気なの?
EDは、治療を要する病気の一種です。年齢や精神的な問題以外にも、使用している薬や身体機能の低下など、EDの原因は人によって異なります。相談することを恥ずかしく感じて放置する方もいますが、EDを治すためには早めの治療が重要です。EDは、原因によって治療法が異なります。EDと思われる症状が気になり始めたら、病院を受診しましょう。
もっと知りたい「ED」について
EDの種類と原因、治療方法
心因性ED
性交の失敗経験だけでなく、仕事や家庭でのストレスやプレッシャーなどの心理的な問題が原因となっているEDを「心因性ED」と呼びます。強いストレスにより脳内の神経伝達物質が減少し、性的刺激が脳から陰茎に十分に伝わらなくなることが原因です。
心因性EDは年齢に関わらず生じ、血管や他の身体的機能に損傷が見られないという特徴があります。症状を改善するためには、まずはストレスやプレッシャーの原因の特定が必要です。
~心因性EDの治療法~
- ストレスやプレッシャーの軽減
- カウンセリング
- パートナーとの触れ合い
- ED治療薬の使用
パートナーと一緒にカウンセリングを受けたり、挿入や射精をゴールとしないスキンシップを楽しんだりして、勃起に対する焦りや不安を解消することが重要です。カウンセリングと並行し、ED治療薬を使用して性行為の成功体験を増やすことで、性行為に対する不安を改善することもできます。
器質性ED
病気や怪我などによる身体的機能の低下によって生じるEDは、「器質性ED」と呼ばれます。器質性EDの主な原因は、生活習慣病や事故による血管の損傷、脳卒中やパーキンソン病による神経障害、内分泌系の機能低下によるテストステロン減少などです。原因となる怪我・疾患の治療や生活習慣の改善と並行して、ED治療を進める必要があります。
~器質性EDの治療法~
- 怪我・疾患の治療
- 生活習慣の改善
- ED治療薬の使用
ED治療薬による勃起を繰り返すと、陰茎に流入する血液量が増えていき、ED症状の改善に繋がります。治療薬を使用しても効果が得られないケースや、疾患によって薬の使用が難しい場合は、血管再生治療を行う方法もあります。
混合性ED
「混合性ED」とは、心因性EDと器質性EDが複合したEDです。ストレスや性行為の失敗によるプレッシャーなどの心理的な問題と、血管や神経への障害を引き起こす怪我・疾患が同時期に重なることで生じます。
~混合性EDの治療法~
- カウンセリングを受ける
- 怪我・疾患の治療
- 生活習慣の見直し
- ED治療薬の使用
混合性EDの場合、生活習慣病の罹患が強いストレスに繋がっている場合もあります。複数の要因が組み合わさった混合性EDは、原因の特定が難しいため、気になる症状が現れたら早めに病院で相談しましょう。
薬剤性ED
精神安定剤や抗うつ薬、男性ホルモン抑制剤など、薬の副作用によって生じるEDを「薬剤性ED」と呼びます。
~薬剤性EDの治療法~
- EDを引き起こさない薬への変更
- 減薬
- 休薬日の設定
- ED治療薬の使用
薬剤性EDの原因となる薬の中には、ED治療薬との飲み合わせに注意が必要なものもあります。処方されている薬がある場合は、自己判断で服用を中止したり、ED治療薬を購入・服用したりせず、必ずかかりつけ医の判断に基づき減薬・休薬などを行いましょう。
血流の悪化によるもの
加齢や喫煙、睡眠不足などの不規則な生活習慣による血流の悪化が、EDの原因となる場合もあります。血液の流れがスムーズでなく、勃起に必要な血液が陰茎に十分に流れ込まないために、EDの症状が生じます。
~血流を改善する方法~
- 食事療法
- 運動療法
- ストレスの軽減
- 禁煙
塩分・糖質・脂質を抑えた、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
有酸素運動や骨盤底筋群を鍛えるトレーニングを行うことで、血流と勃起力の向上が期待できます。
ストレスにより血管が収縮し、血行に悪影響を及ぼします。カウンセリングを受けたり、没頭できる趣味を見つけたりすることは、ストレスの軽減に繋がります。
禁煙して2~3週間で、体の血液循環が改善すると言われています。
生活習慣の改善とともにED治療薬を用いると、さらにED症状改善が期待できます。
EDの治療薬
(1)バイアグラ
「バイアグラ」は、日本で一番早く厚生労働省に承認されたED治療薬です。効果が出始めるまでの時間は30分~1時間程で、性行為の1時間前に飲むことが推奨されています。効果の持続時間は3~5時間です。空腹状態で飲まなければならない点や、副作用が出やすい点がデメリットととして挙げられます。
狭心症や心筋梗塞の薬など併用できない薬があるため、必ず病院で診察を受けてから使用を始めましょう。バイアグラには、複数のジェネリック医薬品や、水なしで飲めるフィルムタイプもあります。作用の強さや効果持続時間だけでなく、価格や使い勝手も含めて、自身に合う治療薬を比較検討することがおすすめです。
(2)レビトラ
バイアグラと比べて副作用が出にくいED治療薬として、「レビトラ」が挙げられます。効果が出始めるまで15~30分、使用後45分程度でピークを迎えるため、性行為の1時間ほど前に飲むと良いでしょう。効果の持続時間はレビトラ10mgで5~6時間、レビトラ20mgで8~10時間です。
食事やアルコールの影響を受けにくいと言われていますが、洋菓子や焼肉、揚げ物などの高脂肪食はレビトラの効果を減少させるという報告があります。
(3)シアリス
「シアリス」は、副作用が少なく緩やかな効果が期待できるED治療薬です。効果が出るまでに1~3時間かかり、効果の持続時間はシアリス10mgで24時間、シアリス20mgで30~36時間と言われています。
作用の持続時間が長いため、1日に複数回の性行為をしたい方におすすめです。使用前後の食事の影響をほとんど受けない点も魅力と言えます。
ED治療薬の副作用や注意点
(1)ED治療薬の副作用
ED治療薬は、血管拡張作用・血行改善効果によって勃起を促す薬です。ED治療薬の副作用は、この血管拡張作用によって生じます。一過性の症状が多く、薬の効果持続時間が終わると副作用も消える場合がほとんどです。個人差はありますが、ED治療薬の中で最も副作用が現れやすい治療薬がバイアグラ、最も副作用が表れにくい治療薬がシアリスです。
~ED治療薬で生じる副作用~
- 顔のほてり
- 目の充血
- 頭痛
- 鼻詰まり
- 血管拡張による低血圧
ED治療を行っている病院では複数のED治療薬を取り扱っている場合が多いため、医師と相談しながら自分に合った薬を探すことができます。インターネットで流通しているED治療薬は偽造薬の報告も多いため、安易な個人輸入は避けましょう。
(2)ED治療薬の注意点
ED治療薬によって長時間勃起が続くようになることで、性行為の回数が増えたり、挿入時間が長くなったりする可能性があります。
しかし、複数回・長時間の性行為で腟内の潤いが不足すると、摩擦によって腟に痛みや出血が生じたり、男性器も摩擦で傷ができたりする場合があります。潤いを補うために、あらかじめ潤滑ジェルを用いるのがおすすめです。潤い不足による違和感や不快感が軽減され、長時間・複数回の性行為を楽しめるでしょう。
ED治療薬には、性感染症や他の疾患に対する効果はないため、コンドームの使用は必須です。ウォーターベースで作られた潤滑ジェルであれば、併用してもコンドームを劣化させる恐れはありません。
藤東クリニックお悩み相談室~性交痛について~ 相談者 彼氏と初めてセックスをしてからしばらく経つのですが、正直痛いです。何回か経験を積めば自然と痛くなくなるのかと思ったのですが、あとどのくらい我慢すれば痛くなくなるのでしょう[…]
ED改善のために一緒にできる工夫
(1)スキンシップを楽しむ、機会を増やす
として捉え、挿入や射精にこだわらないよう心がけましょう。
大切な人とスキンシップを行うと、精神を安定させる「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。オキシトシンにはストレスの軽減作用があると考えられており、ED治療の一環としても効果が期待できます。湯船のお湯をローションに変える入浴剤を用いて、お互いの愛情を感じ合うことができるようなスキンシップの時間を作るのもおすすめです。
(2)オーラルにチャレンジする
今までオーラルに挑戦する機会がなかったカップルであれば、この機会にオーラルによる新たな快感を見出すのもおすすめです。オーラル時の味や臭いに抵抗がある場合は、食品素材で作られた食べられるローションを試してみても良いでしょう。美味しそうな香りと優しい甘さで、オーラルへの抵抗感が薄れるはずです。
(3)ラブグッズを取り入れる
EDを抱える男性の中には、女性を満足させられないことに悩む方もいます。男性器を挿入せずに女性の性的満足度を高めるためには、ラブグッズが有効です。男性がスキンシップとともにラブグッズで刺激を行うことで、パートナーの快感を外側からも内側からも高められるでしょう。
カップルでラブグッズを初めて試す際は、手に取りやすいソフトな見た目のアイテムを選ぶのがおすすめです。優しい色合いやデザイン、肌に優しい素材で作られているかなどにも注目して、ラブグッズを選びましょう。
彼がラブグッズの使用に消極的であったり、自分から「使ってみたい」と言い出しづらかったりする女性もいらっしゃるはず。そのような場合は、快感を高めるだけでなく、腟トレーニングにも使用できるラブグッズを1人で試してみると良いかもしれません。
「さくらの恋猫NukuNuku」は、動画や音声が再生できるアプリと連動して振動する、新発想のラブグッズ。刺激的なマスターベーションと同時に、腟トレーニングによる腟圧改善も目指せる画期的なアイテムです。
EDの原因を知り、改善しよう
EDは年齢に関わらず発症する可能性があり、早期に治療を始めるほど改善に向かう可能性が高い病気です。原因によって治療法が異なるため、病院で相談することが改善への一番の近道です。受診が恥ずかしいからと放置したり、インターネットに流通している薬に安易に頼ったりせず、まずは病院でEDの原因を見つけることから始めてみてください。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。