藤東クリニックお悩み相談室~セックスできない悩みについて~
今回はセックスができない悩みについて解説しましょう!
セックスができないのはおかしい?
元々セックスは挿入に限定したものではないので、成功や失敗という定義はありません。しかし、何かしらの嫌悪感によって途中で行為を中断してしまったり、最後まで実施したい意思はあるものの挿入や射精に至らずに行為が終わってしまったりすることを「失敗」「セックスができない」と表現することが多いようです。
セックスができないという悩みは、特に初体験の時や新しいパートナーとの性行為の際に生じることが多いです。緊張や勝手の違いからスムーズに挿入できない、彼がうまく勃起しないといったことが起きやすいのです。
実はアンケートによれば初体験で「セックスが成功する」確率は、51%という結果となっています(ラブコスメアンケート調べ)。つまり半数以上は”セックスができない”という経験をしていることになり、初体験がすぐに成功しないのは珍しいことではなく、特に気に病む必要はありません。
セックスができない原因は?
スムーズに挿入できない原因としては、腟の潤い不足や伸縮不足、彼が痛がる彼女に遠慮して途中でやめてしまうなど、いくつかの理由があります。セックスができない悩みは、それぞれのケースに合ったアイテムを取り入れて徐々に慣らしていくなどの対処法で解決できることも多いです。
セックスができない原因は病気?
セックスができないのは、子宮内膜症などの病気による場合も考えられます。ほかにも、処女膜強靭症などの身体的特徴によるものや、精神的な恐怖心や抵抗感から引き起こされる「性交障害」も考えられるでしょう。そういったケースでは適切な治療をしないと、「セックスができない」問題を解決できない可能性が出てきます。
一方で、緊張や慣らし不足でセックスができないケースも多々あります。そのため、どういった理由でセックスができないのかを判断して、対策を考えていくことが大切です。
もっと知りたい「セックスできない悩み」について
セックスで挿入できない原因
(1)腟の萎縮
セックスでうまく挿入ができない場合は、腟の萎縮が考えられます。腟の萎縮は、主に緊張によって生じます。婦人科検診では何も問題がなくても、ペニスを挿入しようとした場合のみ引き起こることもあります。
初体験や久しぶりに挿入をする時など、セックスに慣れていない方に多く見られます。
(2)潤い不足
セックスの際は、性的興奮などによって腟粘膜から潤滑液が分泌され、腟が濡れた状態になります。この潤滑液によって、ペニスをスムーズに受け入れ、挿入時の摩擦を軽減させることができるのです。
逆にいうと、腟が濡れていないと痛みを感じて、挿入ができません。何らかの原因によって、潤滑液の分泌が不十分だった場合には、挿入の妨げになることが考えられます。このことも、セックスができない要因の1つになるでしょう。
(3)処女膜強靭症など先天的なものによる
先天的な腟の構造が原因となり、物理的に挿入が難しいケースも考えられます。腟の入り口にある処女膜には穴が開いていて、性交時にはこの穴にペニスが挿入されます。通常は、処女膜が伸び縮みします。伸び縮みの度合いには個人差があり、先天的に処女膜が硬くて挿入ができない場合は、処女膜強靱症と呼びます。
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(4)男性の硬度不足
ペニスの硬度不足(勃起障害)で、物理的に挿入ができず、セックスができない場合もあります。
勃起障害は、若い男性や普段から健康に気を使っている方には起こりにくく、加齢に伴う動脈硬化やストレス、乱れた生活習慣などによって生じると考えられます。
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セックスのときに潤い不足や痛みが生じる原因
(1)セックスに恐怖感・嫌悪感がある
性行為に対して「不潔なこと」「恥ずかしいこと」「はしたないこと」というマイナスの価値観を持ち、嫌悪感や罪悪感を抱いてしまっていることも、セックスができない原因の1つと考えられます。
性反応とは、性的な刺激を受けて体に現れる様々な反応のことです。具体的には、クリトリス・小陰唇の膨張や、腟粘膜からの体液(潤滑液)の分泌などを指し、セックスに対してマイナスの気持ちがあると、性反応が正しく起こらず、挿入ができないことに繋がってしまうのです。
(2)ホルモンバランスの影響
加齢や更年期、生理周期などホルモンバランスの影響によってセックスができなくなることもあります。更年期障害は閉経前後の10年間ほど(45歳~55歳くらい)に起こりますが、症状のひどい方は腟の潤い不足や性交痛を生じることもあり、それによってセックスができなくなるのです。
さらに、閉経後はホルモンバランスの影響によって、性交痛が強くなることもあります。痛いと感じる経験をしてしまうと、痛みへの恐怖心から精神的にセックスができない状況に追い込まれてしまう可能性もあります。
(3)体位が適切でない
挿入がしづらい体位でセックスを行うことによって、女性器に痛みが生じる場合もあります。比較的挿入しやすいと言われているのは、正常位です。正常位では、女性が仰向けになるため、体の力が抜けて腟がペニスを受け入れやすくなります。
しかし、腟の形や位置は人それぞれ違います。自分がリラックスできて男性を受け入れやすい体位を見つけることも、セックスができない悩みの解決に繋がるでしょう。
(4)婦人科系の病気や手術の後遺症
婦人科手術の後、合併症として生じた性交時の痛みや出血などをきっかけに、挿入障害が起こることがあります。婦人科手術とは、腹圧性尿失禁による機能再建手術、子宮頸がんの円錐切除術、子宮の全摘出、筋腫核手術など様々です。
ごくまれなケースですが、産後の処置による後遺症で腟の入り口が狭くなり、挿入が困難になることもあります。また、乳がんを患った方が薬物療法を行った結果、卵巣機能が低下して性交痛が生じる場合も考えられます。
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セックスがうまくできないときの対処法
(1)マスターベーションで練習する
マスターベーション(自慰行為)を行って練習をし、自分が気持ちいいと感じる場所を知っておくことが、セックスでの潤い不足の改善や緊張をほぐすヒントになります。性感帯は刺激を行うことによって磨かれるため、セックスの時にも感じやすくなるというメリットがあるのです。
マスターベーションならば、自分のタイミングやペースで挿入にチャレンジできるので、恐怖心も少ないでしょう。あらかじめ挿入の練習をしておくことが、腟口の伸縮性の改善につながり、セックス時の痛みを軽減にもつながります。また、実際のセックスとは異なり、妊娠や性感染症の心配もなく、自分の快感だけに集中しやすいのもマスターベーションのメリットの1つです。
(2)リラックスする
十分にリラックスすることで、処女膜が伸び縮みしやすくなり、挿入時の痛みを緩和できる可能性があります。セックスの時にリラックスするためには、普段からパートナーとよく話し合ったり、事前にお互いの愛情確認をしっかりしておいたりすると良いでしょう。
(3)愛撫や挿入を丁寧に行う
じっくり丁寧に時間をかけて愛撫や挿入をすることが、セックスを成功させる上でとても大切です。特に初めての挿入は、不安や恐怖から緊張しやすくなります。緊張すると、腟分泌液も出にくくなる上に、体がこわばり腟内も締まって挿入がしづらくなってしまいます。
パートナーの協力が必要ですが、愛撫の時間を長く取って、潤いの準備ができるまでじっくりと前戯を行うようにしましょう。また、無理に挿入してしまうと激しい痛みが走り、痙攣を起こしてペニスが抜けなくなることもあるので、ゆっくりと時間をかけて挿入してもらうようにしましょう。
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(4)ジェルやローションを活用する
性行為への緊張や不安、快感がなかなか得られないなどの理由で、潤い不足になり、挿入時に痛みが生じる場合があります。
性交痛を緩和するためには、挿入時の濡れにくさをケアする潤滑ジェルやローションを活用するのがおすすめです。挿入時に痛みがあったことを思い出すと、さらに恐怖や不安が増してしまいます。潤滑ジェルなどを使ってスムーズなセックスができるように対処しておきましょう。
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さらに、潤滑ジェルやローションのように直接塗布するだけでなく、ジェルがたっぷり塗布してあるタイプのコンドームを併用すると、よりスムーズな挿入が期待できます。
避妊や性感染症予防の観点からも、コンドームを着けることは大切です。妊娠を希望していない場合には、必ずコンドームを装着しましょう。
(5)婦人科に相談する
前述した通り、セックスができないという、性交障害の悩みを抱える方は少なくありません。相談しづらい悩みですが、何か不安なことや気になることがある場合には、婦人科に相談しましょう。
処女膜強靭症や処女膜閉鎖症、子宮筋腫などの場合は、性交時に痛みを感じたり、挿入自体が困難であったりします。セックスの回数を重ねても痛みや出血などが続く場合には、病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診してください。
(6)腟ダイレーターを使う
「腟ダイレーター」とは、性交障害や性交痛に対する、腟周囲筋のリラクゼーション方法を習得するために使われる医療器具です。中でも、婦人科がんや腟欠損症、性同一性障害の治療のために腟形成術を受けた後などは腟の幅が狭くなり(腟狭窄)ます。そのため、性交時や婦人科内診の際に苦痛を生じます。
腟ダイレーターを使うことで、腟内部の幅と深さを保つことができ、結果的に性交時や婦人科内診の際の痛みを軽減してくれるのです。その他にも、腟痙攣の防止や筋緊張が原因の性交痛を緩和するために、腟ダイレーターを使用して挿入の練習を行うこともできます。
セックスがうまくできない女性は多い。原因を知って、不安を解消しよう
セックスで挿入がうまくできずに、断念してしまうケースは珍しいことではありません。性交障害の原因には、精神的理由と身体的理由があります。しかし、マスターベーションでの挿入の練習や、アイテムを使った潤いケアなどを試してみると、セックスができない悩みの解消に繋がる可能性があります。
また、挿入時に痛みや出血が伴う場合は、手術や治療が必要な病気などの可能性もあるため、無理はせずに婦人科に相談しましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。