藤東クリニックお悩み相談室～処女膜について～
今回は処女膜について解説しましょう！
処女膜って何？
処女膜とは、腟の入り口にある、厚さ1ミリ程度の非常に薄い粘膜のヒダのことです。
処女膜の「膜」という字面により、腟の入り口全てを膜が塞いでいるかのようにイメージされる方も多いかもしれません。しかし、腟が完全に塞がれている訳ではなく、処女膜の中央部には指1本が入るくらいの小さな穴が開いています。この穴から、月経時の経血やおりものが排出されます。
処女膜が破れると血が出るの？
処女膜に物理的な裂傷（避けるなどしてできる傷）が生じることを、「処女膜裂傷」と言います。
処女膜が傷付くと、少量の出血や痛みを伴うことがありますが、出血の量や痛みの強さには個人差があります。処女膜裂傷による痛みは比較的短期間で治まり、出血も自然と止まることが多いので、過剰に心配する必要はありません。
もし、初めての性行為をしてから時間が経っても、痛みや出血が収まらずに続いているのであれば、婦人科を受診してください。
藤東クリニックお悩み相談室～処女と初体験について～ 質問者 私は現在処女なのですが、好きな人ができました。いつかは性行為もしてみたいと思っています。しかし「処女は初体験が痛い、血が出る」という話を聞いて不安にも思っています。痛みや出血[…]
処女膜は再生できるの？
処女膜が破れる原因は、性行為以外にもいくつかあります。例えば、激しいスポーツ、マスターベーションでの異物の挿入、タンポンの使用などです。処女膜は非常に薄く脆弱な組織ですので、激しく動くスポーツや外部刺激などで損傷することもあります。
パートナーの「処女膜がない=性行為を経験したことがある」という誤解を解きたいと悩んでいたり、初体験の痛みや出血する感覚をパートナーと味わいたいと願ったりしている方は、処女膜を再生する「処女膜再生手術」を受ける方法があります。
もっと知りたい「処女膜」について
処女膜とは
処女膜の役割
処女膜の主な役割は、まだ免疫機能が低い少女期の腟を、細菌感染から守ることです。しかし、処女膜に関する医学的な解明は、未だはっきりとなされていません。中には処女膜には主な役割はなく、ただ腟の中に存在しているだけ、と唱える研究者もいます。
処女膜の形
処女膜は、三日月形やヒダの形をしているといわれています。しかし、処女膜の形や厚さには、個人差があります。非常に小さいものや、2つ、3つと複数の穴が開いていることもあり、人によってその形は様々です。
処女膜の位置
処女膜がある位置は、腟の入り口から1～2cmほどの、ごく浅い場所です。前述のとおり、人によって形や厚さが違うので、処女膜を見つけるのは難しいかもしれません。もし、処女膜を観察してみたいという方は、綺麗に手を洗って清潔にしてから、優しく行ってください。
処女膜が破れる原因
処女膜が破れる主な原因は、初めての性行為での挿入です。しかし、処女膜が破れる原因は、複数あり、性行為以外でも処女膜は破れます。マスターベーションによる異物挿入などによる外傷や、激しいスポーツなどで破れる場合も多いです。
初体験に影響が出る処女膜の症状
前述のとおり、多くの場合、初体験の際の挿入によって処女膜は破れます。しかし、場合によっては、処女膜があることが要因となって、初体験自体が上手くできない方もいるのです。
処女膜によって初体験に影響が出るのは、主に2つの先天的な理由があります。それは「処女膜強靭症」と、「処女膜閉鎖症」です。これらの先天性要因を持つ方は、婦人科やクリニックで治療が必要となることもあります。
処女膜強靭症とは
処女膜強靭症の原因
処女膜強靭症とは、処女膜が厚い・伸び縮みがしにくい・硬いなどの症状を指します。また、処女膜強靭症の原因は、先天的なものが多数です。
処女膜強靭症は、心理的なことが原因で生じる場合もあります。これは、初体験に対する過度の不安感や恐怖心によって、腟が力んでしまうなどしてしまうためです。
処女膜強靭症の症状と治療方法
処女膜強靭症の症状の代表的なものとして、性行為のときの無理な挿入によって引き起こされる、腟からの大量出血が挙げられます。または、性行為のたびに痛みを感じたり、少量の出血をしたりすることもあります。
これらの要因が重なることによって、性交恐怖症が引き起こされてしまうことがあります。また、症例によっては、挿入すら困難なこともあります。中には、不妊症の遠因や難産の要因になってしまいます。なお、処女膜強靭症の治療法には、クリニックでの処女膜切開手術があります。
藤東クリニックお悩み相談室～性交痛について～ 相談者 彼氏と初めてセックスをしてからしばらく経つのですが、正直痛いです。何回か経験を積めば自然と痛くなくなるのかと思ったのですが、あとどのくらい我慢すれば痛くなくなるのでしょう[…]
処女膜閉鎖症とは
処女膜閉鎖症の原因
処女膜閉鎖症は、分化異常が性器に生じたことが原因で起こります。
人間の体の各器官は、出生前の胎児の時期に徐々に作られ、産まれる準備を進めていきます。しかし、その途中段階で正常な作りがなされなかった場合、体の器官の一部に異常を持った状態で産まれてくる可能性もあるのです。
処女膜閉鎖症の症状と治療方法
処女膜閉鎖症は、産まれる前の胎児期に生じる何らかの異常によって、本来開いているはずの処女膜の中央部に穴が開いていない状態を指します。なお、処女膜閉鎖症で産まれてくる方の割合は、およそ2,000人に1人くらいと、比較的まれな病気です。
処女膜の中央部にあるはずの穴が開いていないため、月経時の経血を体外に排出できず、腟や子宮に血種が生じてしまいます。処女膜閉鎖症を治療するためには、クリニックで処女膜切開手術を受ける必要があります。
処女膜の治療
（１）処女膜再生手術
処女膜再生手術は、腟の入り口の薄い粘膜のヒダを縫い合わせる治療です。性行為などによって、一度破れてしまった処女膜を縫い合わせて、再成形ができるのです。
なお、処女膜再生手術をした後の初めての性行為の際には、まるで初体験のような出血や痛みを伴います。また、これにより初体験に似た感覚を得ることができます。処女膜再生手術を希望する方は、クリニックにご相談ください。
（２）処女膜切開手術
処女膜切開手術とは、挿入の際に痛みの原因となっている、処女膜にある靭帯の硬い部分を切除する治療方法です。硬い部分にあるつっぱりを切除することによって、性行為の際の挿入がしやすくなり、性交痛が緩和されます。
腟の入り口にある処女膜部分だけでなく、腟の奥の方にまで痛みがある場合は、腟粘膜が弱くなっている可能性があります。そういった方には、インテイマレーザーなどの腟内環境を整えるためのレーザー治療が適していることがあるので、クリニックに相談をしてみましょう。
処女の初体験に役立つアイテム
（１）潤滑ジェル
初体験の際にどうしても恐怖心が拭えないと、腟内が潤いにくくなります。そのまま挿入すると伸縮性が足りず、挿入の痛みが大きくなってしまいます。そういった方は、潤滑ジェルを活用して、ジェルの潤いによって腟の伸縮性をサポートしましょう。潤滑ジェルはなめらかな滑りもプラスしてくれるので、性行為の際の挿入の負担を軽減できます。
また、初めての性行為で「潤滑ジェルを使いたい」と言い出すことが恥ずかしい方もいるかもしれません。そのような場合には、彼に伝えることなく内緒で使えるタイプの潤滑アイテムを用いる方法もあります。
（２）ジェルが多く塗布されたコンドーム
性行為の際の挿入で違和感や痛みがある方の中には、コンドームが腟壁に引っかかっている場合もあるかもしれません。性行為の回数を重ねても、どうしても挿入の違和感が消えない方は、ジェルがたっぷりと塗布されたタイプのコンドームを使うことも方法です。
ジェルが多く塗布されたコンドームを使用することで、違和感や痛みが緩和され、スムーズな挿入が期待できます。
（３）ラブグッズ
初体験に強い恐怖心がある方は、処女でも使うことが可能なラブグッズで、体と心を慣らしておきましょう。処女用ラブグッズは、外から当てるローターなどが一般的ですが、タンポンサイズで腟内に挿入しても処女膜を傷つけることがない、細身のバイブもあります。1人でラブグッズを使うことに慣れておくことで、初体験の際に挿入への抵抗感や恐怖心が緩和するケースもあります。
処女膜が破れる正しい原因を知り、上手に付き合おう
処女膜が破れる原因は、性行為だけとは限りません。激しいスポーツや外傷などによって、初体験の際には処女膜が既にない方も存在します。処女膜が破れるときに出血するかどうかも、個人差によるものです。
なお、初体験のように処女膜が破れる感覚を味わいたいという場合など、手術によって処女膜を再生することができます。また、病気が疑われる方は、クリニックでの手術が必要となる場合があります。
初めての性行為から回数を重ねても、出血や痛みなどの違和感が続く場合は、一度クリニックに相談してみましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
