藤東クリニックお悩み相談室~女性器の構造について~
この間鏡で女性器を見たのですが、すごく変な形をしていて驚きました。びらびらがはみ出していたりするのは普通なのでしょうか。普通の女性器の構造をよく知らないので不安です。
女性器って何?
女性器は、大きく外性器と内性器の2つの部位に分類されます。外性器に含まれるのが、外から見える恥丘・大陰唇・小陰唇・クリトリス(陰核)などです。
一方、内性器には、腟・子宮・卵管・卵巣など体の中にあって外から見えない部位が含まれます。
女性器の見た目が変ではないか気になる
女性器の色や形などの見た目は個人差が大きく、一般的な色・形の指標はありません。どうしても黒ずみや皮膚の張りが気になる場合は、デリケートゾーンのケアを行うことで改善が期待できます。
また、手術で女性器の形や大きさなどの外見を整える方法もありますが、腫れ・痛みなどのリスクを伴います。気になる方は婦人科形成のある医療機関で相談し、メリット・デメリットをしっかり把握した上で手術を検討しましょう。
もっと知りたい「女性器の構造」について
女性器の構造
女性器の「外性器」部位の名称や形
~外性器にある部位~
- 恥丘
- 大陰唇
- 小陰唇
- クリトリス(陰核)
- 尿道口
- 腟口
- 処女膜
- バルトリン腺
- 会陰
- 肛門
恥丘は、恥骨の腹部側の盛り上がったアンダーヘアの生えている部位のことです。大陰唇は、女性器の一番外側の左右にあるふっくらした襞のことで、その内側にある左右の襞が小陰唇です。
小陰唇の前端にある小さな突起がクリトリス(陰核)で、包皮に覆われています。クリトリスの下にあるのが尿道口で、穴は小さくほとんど見えません。尿道口の下にあるのが腟口で、その周りにある薄い粘膜の襞が処女膜です。
腟口の左右に位置するのがバルトリン腺で、肉眼では見えない小さな開口部があります。腟口と肛門の間の、長さ3〜5cmの部位が会陰です。
女性器の「内性器」部位の名称や形
~内性器にある部位~
- 膣
- 子宮口
- 子宮頸部
- 子宮内腔
- 子宮内膜
- 子宮体部
- 漿膜
- 卵管
- 卵巣
腟は、腟口と子宮を繋ぐ筒状の器官です。腟に繋がる子宮の入口を子宮口と言います。腟に繋がる部分から子宮の下三分の一が子宮頸部で、上三分の二が子宮体部です。子宮の内側の空間を子宮内腔と言い、子宮内腔を囲む粘膜組織を子宮内膜と言います。 一方、子宮の外側を覆っているのが漿膜(しょうまく)です。子宮の左右両側からは管状の卵管が伸びており、左右に1つずつある卵巣に繋がっています。
主な内性器の部位の構造と役割
陰核(クリトリス)
クリトリスは、神経組織と血管が集まった海綿体構造で、男性の陰茎に相当します。クリトリスの役割は性的な刺激を受けることです。個人差はありますが、一般的なクリトリスの大きさは5〜7mm程。通常はクリトリスのほとんどを包皮が覆っており、性的興奮などで勃起すると包皮が剥けて露出します。
勃起しているにもかかわらずクリトリスが露出しない状態を、クリトリス(陰核)包茎と言います。ほとんどの場合、日常生活に支障はなく治療の必要はありません。気になる場合は、手術を受けて包皮の切除を行う手段もあります。
大陰唇
大陰唇は、女性器の一番外側の左右にある襞で、ふっくらしておりアンダーヘアが生えています。大陰唇の役割は、尿道口や腟口を保護することです。長さや色味・皮膚の張りなど、見た目には個人差があります。
大陰唇と小陰唇の間には、副皮と呼ばれる襞があります。副皮は全ての方の女性器にある訳ではなく、副皮がない方、片側だけにある方、数カ所ある方など個人差が大きいことが特徴です。衛生面や見た目が気になる場合、外科手術で副皮を除去できます。
小陰唇
小陰唇は、大陰唇の内側にある左右の襞で、俗に「びらびら」と呼ばれる部位のことです。大陰唇と同じく、尿道口や腟口を保護する役割があります。アンダーヘアは生えておらず、摩擦で黒ずみやすいことが特徴です。大陰唇に隠れて見えない方や、大陰唇からはみ出して見える方など、小陰唇の大きさにも個人差があります。 小陰唇が大きいと、座った時に違和感がある方や性交時に痛みがある方がいます。そういった場合は、小陰唇縮小手術で余分な襞の切除が可能です。
尿道口
尿道口は、クリトリスと腟口の間にある尿が出てくる穴のことです。直径1mmにも満たない小さな穴で、肉眼ではほとんど見えません。尿道口の付近には肛門があることから、大腸菌などの細菌が入りやすく、細菌が膀胱内に侵入して膀胱炎を起こすことがあります。
処女膜
処女膜は、腟口から1〜2cmの位置にある粘膜の襞のことで、形状はドーナツ型や半月型などです。「膜」ですが、腟口を完全に覆っている訳ではなく、中心には指1本分程度の穴が開いています。腟を細菌感染から守る役割とされていますが、医学的に解明されていません。
多くの場合、初めての性行為で処女膜が破れて出血しますが、必ずしも出血する訳ではありません。処女膜を改めて再生したい場合には、外科手術の処女膜再生術を受けられます。
主な外性器の部位の構造と役割
腟
腟は、腟口と子宮を繋ぐ筒状の器官で、直径は1〜2cm程、長さは6〜9cm程です。筋層で構成されており、内側の腟壁は粘膜で覆われています。伸縮性に優れているため、子宮からの月経血や粘液を排出したり、出産時の産道になったりするだけではなく、性交時に男性器を受け入れることも大切な役割です。
さらに、腟の働きには自浄作用もあります。腟粘膜の常在菌が腟内を酸性に保つことにより、外からの雑菌の侵入を防いでいるのです。
子宮(子宮口、頸部、体部、内腔)
子宮は、子宮口・頸部・体部・内腔の4つに分けられます。子宮口は、腟から繋がる子宮の入口で、子宮口も含めた子宮の下3分の1が頸部です。頸部は管状になっており、月経血の排出路や、精子や胎児の通り道の役割があります。
子宮の上3分の2が体部で、その内側の空間を内腔と言い、内膜という薄い膜に覆われているのが特徴です。排卵日には受精卵が着床しやすい環境に変化します。受精卵が着床すると妊娠が成立し、内腔で胎児が成長していくのです。
成人女性の子宮は鶏卵の大きさ程です。妊娠時、子宮は長さ30cm程、幅25cm程に広がり、出産後は収縮しながら4〜6週間で元の大きさに戻ります。
卵管・卵巣
子宮の左右両側から伸びる7〜12cm程の管が卵管です。子宮と卵巣を繋ぎ、精子や受精卵の通り道の役割をしています。左右に1つずつある卵巣は、通常2〜3cm程の大きさです。卵巣には、卵子の生成・排卵や、女性ホルモンを分泌する役割があります。
卵巣の病気に卵巣腫瘍がありますが、多くの場合は良性で無症状です。しかし、腫瘍に体液などが溜まって30cmを超える大きさになることがあります。腫瘍が大きくなって激しい痛みなどの症状が出た場合は、腫瘍を摘出する手術を行うことが一般的です。
主な女性器の外科手術(女性器形成)について
小陰唇縮小術、大陰唇縮小術
小陰唇や大陰唇が肥大していることで、溝に汚れが溜まりやすくなります。衛生面が気になる方や、色や形を整えたい方、下着との摩擦で痛みがある方などは、縮小術での改善が可能です。 手術では、皮膚の余った箇所や黒ずんだ箇所を切除し、形を整えて縫合します。術後は痛み・腫れ・出血を伴いますが、1ヶ月程度で痛みや違和感はなくなる場合がほとんどです。縮小術には、過剰に切除されたり、イメージした完成形と違ったりするリスクがあります。医師としっかり話し合い、納得した上で手術を受けましょう。
副皮切除術
小陰唇と大陰唇の間にある副皮は、手術で切除が可能です。衛生的に保ちたい方や、左右差を整えたい方、小陰唇縮小術と合わせて手術される方などがいます。
術後は、痛み・腫れ・出血を伴うことがありますが、1ヶ月程度で腫れがなくなって落ち着きます。副皮を小さくし過ぎたり、左右差が生じたりするリスクもあるため、納得した上で手術を受けましょう。
クリトリス包茎・縮小術
クリトリスを覆っている包皮を切除する手術で、衛生面や性交時の痛み・不感症の改善を目的に受ける方が多いです。クリトリスが2分の1〜3分の1程度露出するよう、手術で包皮を切除します。
術後は痛みや腫れを伴いますが、1か月程度で違和感はなくなることがほとんどです。手術により性交時の感度が上がるメリットがありますが、中には過敏になって痛みを感じる方もいます。包皮を切除し過ぎることが原因と考えられるため、医師としっかり話し合った上で手術を受けましょう。
腟縮小術
出産や加齢などで緩んだ腟を、手術で引き締めることが可能です。性交時の感度を上げたい方や、尿漏れのある方、また、お風呂のお湯が腟内に入りやすい方などが手術を受けます。
手術は、緩んで広がった腟の入口から奥までを縫い縮めます。術後は出産以前の腟の状態に戻り、効果は半永久的です。ただし、腟奥まで縫合するため、出産の予定がある方には不向きです。 外科手術以外に、レーザーや超音波の照射、ヒアルロン酸や脂肪の注入で腟を引き締める方法があります。医師の診察を受け、自分の腟の状態や生活に合った手術・治療法を選びましょう。
女性器の各部位の主なケア方法
外性器の汚れは低刺激の石鹸で落とす
女性器のクリトリスや小陰唇周辺には溝が多く、垢や古い角質が溜まりやすい構造になっています。これらの皮脂を含む汚れは水だけでは取れにくく、汚れを落とそうとして強くこすると、刺激が皮膚の黒ずみの原因となるため注意してください。デリケートゾーンの垢や古い角質は、石鹸の泡パックで優しく洗い流しましょう。日常のケアに泡パックを取り入れることで、臭いや古い角質による黒ずみの予防も期待できます。
外性器の乾燥は保湿ジェルで防止
デリケートゾーンの皮膚は非常に繊細で、摩擦や間違った洗浄方法などで乾燥してしまいます。乾燥は黒ずみの原因にもなるため、保湿ケアを行いましょう。肌に潤いやハリを与えることで、見た目の若々しさのケアにも繋がります。デリケートゾーンのケアには、肌に優しく、さらっとしたテクスチャの保湿剤がおすすめです。
女性器の形は人それぞれ!構造を知り、正しくケアしよう
女性器の中でも、特に外性器の見た目には大きな個人差があります。医療機関などの情報と見比べて、構造や配置が大きく異なっていなければ心配はありません。どうしても見た目が気になる場合は、洗い方を見直したり保湿をしたり、デイリーケアを取り入れましょう。また、外科手術の手段もあるため、まずは婦人科で相談してください。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。