藤東クリニックお悩み相談室~足が臭い悩みについて~
足が臭くなる原因は?
足の臭いの原因は、足から出る汗や皮脂、垢や古い角質などを足の皮膚にいる常在菌が分解することで発生する「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」や「酢酸」などの物質です。
中でも、納豆のような独特の臭いを持つイソ吉草酸は、「悪臭防止法」によって法律で規制されているほど、人に不快感を与える悪臭の1つです。
洗っても足が臭いのは病気なの?
毎日きちんと足を洗い、清潔な状態を保っていても臭いが気になる場合は、水虫や足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)などの病気が原因である可能性もあります。
足の皮が剥けていたり、ひび割れやかゆみがあったりなど、足に気になる症状がある方は皮膚科を受診しましょう。臭いの原因が病気であれば、治療によって改善が見込めます。
もっと知りたい「足が臭い悩み」について
足の臭いの原因とは
原因(1)雑菌の繁殖
足の皮膚の常在菌(雑菌)が足の汗や皮脂、垢、古い角質などの分解を行うと、「イソ吉草酸」や「酢酸」が発生します。これらの物質が、足の嫌な臭いの原因です。
足は、全身の中でも特に汗をかきやすい部位です。足の裏には1平方センチメートルあたり約300個もの汗腺があり、多い日には1日に両足でおよそコップ1杯分もの汗が出ます。大量の汗を雑菌が分解することで、足の臭いの原因物質が発生するのです。
また、足はこまめに汗を拭きとることが難しい上に、靴や靴下で覆われているため、非常に蒸れやすいことも特徴です。足の汗は、雑菌が繁殖しやすい高温多湿な環境を作り出す要因にもなります。
さらに、足は汗や古い角質などの汚れが溜まりやすい構造となっています。指の間や爪の隙間は汚れを落としにくい形状で、特に雑菌が繁殖しやすい部位です。
原因(2)水虫や多汗症などの病気
足を清潔に保っても臭いが改善しない場合は、水虫や足の多汗症などの病気が原因である可能性もあります。
水虫とは、「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビが、足などの皮膚に感染して起こる病気です。水虫に感染している方とのバスマットの共有や、公共施設のスリッパなどが主な感染源となります。白癬菌は高温多湿の環境で繁殖するため、足を綺麗に洗い、蒸れを防ぐことで、感染を予防できます。
水虫の主な症状は、足の指の間や足の裏の皮が剥ける、水泡やかゆみ、皮膚の乾燥やひび割れなどです。周囲にうつさないためにも、皮膚の異常やかゆみがある場合はすぐに皮膚科を受診し、治療を開始しましょう。
~水虫の主な症状~
- 皮が剥ける、白くふやける
- 水泡ができる
- 強い痒みを生じる
- 乾燥、ひび割れ
- 爪が変色する、ボロボロ崩れる
「足蹠多汗症」と呼ばれる足の多汗症は、季節や体調などに関係なく、足の裏から大量の汗が出る病気です。多量の汗により靴や靴下内部が高温多湿になり、雑菌の繁殖を促進してしまいます。
足蹠多汗症の原因は明らかになっていませんが、自律神経や精神的緊張などによるものであると考えられています。内服薬や外用薬、自律訓練法、神経ブロック療法などでの治療が可能です。
常に靴下が湿るほど足に汗をかき、日常生活に支障が出るほど臭いが気になる方は、一度皮膚科で相談してみましょう。
足が臭い人の特徴と対処法
特徴(1)通気性の悪い靴や靴下を長時間履く
通気性の悪い靴や靴下を長時間履くと、足が蒸れて高温多湿状態になり、雑菌が繁殖しやすくなります。特に、革靴やパンプス、ブーツや長靴などは通気性が悪く、長時間履くことで臭いを生じる可能性が高いです。ストッキングやタイツなども通気性が悪いため、長時間履いていると足が蒸れてしまいます。
素足にサンダルを履いたり、メッシュ素材など通気性の良い靴を選んだりすることで、足の蒸れの改善が期待できます。オフィスで靴や靴下を履き替えるのもおすすめです。
ストッキングやタイツを履く必要がある場合は、抗菌対応の商品を選ぶと良いでしょう。5本指に分かれた靴下も、指の間の汗を吸い取る効果があり、足の臭い対策として有効です。
特徴(2)足に汗をかきやすい
気温が高い季節や、緊張や体質などで足に汗をかきやすい方は、足が蒸れて臭いが発生しやすいです。こまめに足の汗を拭き取ったり、靴下を履き替えたりすると良いでしょう。
足用の制汗剤や、デオドラント剤を使う方法もあります。脇用ではなく足用の商品を使うことで、イソ吉草菌を原因とした足独特の臭いをケアできます。
なお、スプレータイプよりもクリームタイプの方が、足の指の間など細かい部分にも直接塗り込め、より効果が高いとされています。足用の制汗剤は、お風呂上がりなど、足が清潔なときに使用してください。
特徴(3)毎日同じ靴を履く
同じ靴を連続して長時間履けば履くほど、雑菌が蓄積・繁殖していきます。
靴自体に雑菌が繁殖する可能性もあるため、同じ靴を履き続けず、可能であれば3足以上をローテーションするように心がけましょう。
靴を履く前と履いた後には、靴専用の消臭グッズでケアするのがおすすめです。スプレータイプの消臭剤や、袋タイプの脱臭乾燥剤など、様々なタイプの商品があります。自分や靴に合った、使いやすいアイテムを選んでください。
足が臭い時の対策方法
対策(1)足用のソープで洗う
足の臭いが気になるときには、足用のソープでケアしましょう。雑菌の繁殖や臭いの原因物質の発生を防ぐために、汗や皮脂、垢や古い角質を綺麗に洗い流すことが重要です。
特に、スクラブによる角質ケアは、臭いの原因となる古い角質や垢をしっかりと洗い流すことが出来るため、足の臭いの改善に効果が期待できます。
対策(2)足の爪を短く切る
足の爪の間は、特に垢や汚れが溜まりやすい場所です。足の爪を長いままにしておくと、爪と指の間に汚れが溜まって雑菌が繁殖してしまいます。足の爪は短く切り揃えて、清潔を保ちましょう。
さらに、爪用のブラシを使って足の爪の間まできちんと洗うことも、臭い対策に非常に効果的です。
対策(3)靴や靴下を消臭する
足の臭いがついてしまった靴や靴下は、スプレーや脱臭乾燥材などの消臭グッズでケアしましょう。週1回以上を目安に、靴や靴下を日光に当てて殺菌する方法も、手軽でおすすめです。
消臭グッズでケアしたり、日光に当てたりしても臭いが取れない場合は、既に雑菌の温床になっていると考えられます。靴のクリーニングに出すか、廃棄して新しい物を購入しましょう。
対策(4)足の汗をこまめに拭く
特に足に汗をかきやすい方は、タオルハンカチやウェットシートなどで、足の汗や汚れをこまめに拭き取りましょう。
靴下が湿るほど足に汗をかいた場合は、足の汗を拭くタイミングで、靴下も履き替えるのがおすすめです。足を汗で湿ったまま放置し、高温多湿な環境にならないよう心掛けてください。
足の臭いの予防方法
予防方法(1)足裏の角質をケアする
足の裏に溜まった角質は、雑菌の餌となり、足の臭いを引き起こします。雑菌が好む汚れや古い角質のケアが、足の臭いの予防に繋がります。
古い角質が気になる方は、ピーリング剤やスクラブ、軽石やかかと用のやすりなどで除去しておきましょう。サンダルやストッキングを履く際に気になるザラザラ感もケアできます。
予防方法(2)靴箱を除湿・消臭する
靴そのものだけでなく、靴箱を除湿・消臭しておくことも、足の臭いの予防に繋がります。除湿剤や消臭グッズを活用し、靴箱の扉を開けて定期的に換気を行いましょう。
また、1日履いていた靴を、すぐに靴箱にしまってはいけません。脱いだばかりの靴は、汗や雨などを吸収し、湿気と汚れが付いた状態です。除湿・消臭のケアを済ませ、1晩程度玄関で乾かし、土や砂などの汚れを払ってから靴箱に入れるのがベストです。
予防方法(3)通気性の良い靴や靴下を選ぶ
通気性が良く蒸れにくい靴や靴下を選ぶことも、足の臭い予防として有効です。サンダルやメッシュ素材の靴、コットンやシルク素材の靴下、5本指ソックスなどがおすすめです。
また、足の蒸れを予防する靴のインソールや、抗菌対応のストッキングやタイツなどを活用する方法もあります。靴下やストッキングを脱いだ後は、長時間放っておかずに、なるべく早く洗濯しましょう。
予防方法(4)素足で過ごす時間を増やす
靴や靴下を履いていると、どうしても足は蒸れ、雑菌が繁殖してしまいます。意識的に素足で過ごし、足を乾燥させる時間を増やすことで、足の臭いを予防できます。「自宅にいるときには素足で過ごす」など、靴や靴下を履かない習慣を作ってみましょう。
足や靴を清潔に保ち、臭いを予防しよう
足の嫌な臭いの原因は、汗や皮脂、垢や古い角質などの汚れを雑菌が分解することで発生する、イソ吉草酸や酢酸などの物質です。高温多湿による雑菌の繁殖や、汗や古い角質などの蓄積が、足の臭いに繋がります。足や靴を清潔に保つように心掛けることが、一番重要な臭い対策です。
ケアをしても足の臭いが改善されない場合や、皮が剥けたりかゆみを感じたりなどの異常がある方は、水虫などの病気が潜んでいる可能性があります。症状の悪化や周囲への感染を防ぐ為にも、なるべく早く皮膚科に相談しましょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。