藤東クリニックお悩み相談室~おりものについて~
おりものって何?どこから出てきているの?
おりものとは医学的に「帯下(たいげ)」と呼び、子宮内膜や子宮頸管、腟壁から分泌された粘液や古い細胞、また皮脂腺や汗腺、バルトリン腺からの分泌液などが混ざったものを指します。
おりものの量が増えるのは変?
おりものは女性ホルモンの変化に反応するため、年齢や生理周期によって量や状態が変わります。おりものの状態は、自分の体の健康を確認するサインになるのです。
もしおりものの量が急に増えたり、いつもと異なるおりものが出たりした場合、健康状態に変化がある可能性があります。思わぬ病気が隠れているかもしれませんので、量や形状、臭いに不自然な変化があったときは、病院を受診しましょう。
おりものの量はふつうはどのくらい?正常な量とは
他人のおりものを見ることがないので、自分のおりものの量が正常かどうかを判断するのは難しいかもしれません。実際に個人差があるため、「普通はこのくらい」という規定はありません。
ただ、一般的な判断基準として、パンティライナー(おりものシート)を使用してショーツを汚すことがなければ、正常の範囲内といえるでしょう。もし生理用ナプキンでないと間に合わない、おりものシートでも数時間で下着が汚れてしまうようであれば、要注意です。
おりものの量が増える排卵期以外に多くなる、または常に量が多いようであれば、婦人科で相談されることをおすすめします。
これは注意!病院を受診すべきおりものの異変
「排卵期以外におりものの量が増えたときは、病院の受診を」とおすすめしましたが、おりものの量以外にも気を付けたいのが、色と形状、そして臭いです。
通常、おりものの色は無色透明で、時間が経つとクリーム色に変化します。もし白くぽろぽろした状態や、黄緑色のおりものが出る場合は、性感染症などの病気に罹っているかもしれません。色以外に、泡立ちのあるおりものも病気が疑われます。
また、茶褐色など血の混じったおりものの場合も、病気による不正出血の可能性があるため注意が必要です。 そして、正常なおりものは、ほとんど無臭です。おりものは酸性なので、酸っぱい臭いがすることもありますが、明らかな悪臭を感じなければ問題はありません。おりものから腐敗臭のような強い悪臭を感じたときは、すみやかに病院を受診しましょう。
もっと知りたい!「おりもの」について
女性の「おりもの」は何のためにある?おりものの役割
おりものには、下着を汚すなどのマイナスイメージを持つ方が多いかもしれませんが、そもそもは腟の潤いを保って粘膜を守ったり、細菌の侵入を防いだりと、自浄作用を促す役割があります。
また、排卵期におりものが増えるのは、セックスの際に腟内の精子を子宮内へスムーズに移動させ、受精の手助けをするためです。さらにおりものが、酸性の腟内でアルカリ性の精子を守ってくれる作用もあります。
おりものは、女性の健康と妊娠のために欠かせない存在なのです。
おりものの異変チェックシート!
自分のおりものの状態をチェックしてみてください。下記のチェックリストに当てはまる場合は、念のため病院を受診しましょう。
~おりものの状態チェックシート~
- 色
- 膿のように黄緑色っぽい
- 濃い黄色
-
茶褐色など血が混ざっている
- 臭い
- イカのように生臭い
- その他
- 酒粕やカッテージチーズのように塊っぽい
- 泡状のおりもの
- 大量の水っぽいおりもの
チェックリストにある項目以外に、腹痛や陰部のかゆみ・痛みなどが伴う場合は、より病気による異変の可能性が高いです。なるべく早く受診されることをおすすめします。
年齢、生理周期によるおりものの量の変化
おりものの変化は、女性にとって体調を探るサイン。通常、女性ホルモンの分泌によって、量に変化が表れます。
今の自分の体を知るためにも、おりもの量の変化についてよく知っておきましょう。
年齢による変化
おりものの量は女性ホルモンの量と深い関わりがあるため、年齢によって変化します。初潮が始まる10代の頃から女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が高まり、おりものが徐々に増えます。20~30代前半頃にピークを迎え、30代後半にかけてエストロゲンの分泌が徐々に減り始めます。
そして40代後半になると、エストロゲンが一気に減り、更年期に入ります。おりものの量は減り、生理やおりものの周期も不規則になりやすくなります。 50代で閉経を迎え、数年後にはほとんどおりものが分泌されなくなります。
生理周期による変化
生理周期によるおりものの変化としては、生理が終わると排卵期にかけておりものが増え、サラッとした形状になります。量が最も多くなるのが排卵期で、透明でとろみのある卵の白身状のおりものになります。排卵期を過ぎると徐々に量が減り、状態もドロッとした粘度が強いものになります。
人によっては、排卵の時期に血液の混ざった茶色っぽいおりものになったり、生理直前に量が増えたりといった変化のある女性もおり、多少の個人差もあります。
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おりものが多くて気になる時のケア方法
おりものの量が多いと、不快さを感じたり、服装や下着の汚れを気にしたりと、困りごとが多いでしょう。そこで、おりものの量が多い場合のケア方法をご紹介します。
パンティライナーを使う
すぐに取り入れられるおりもの対策が、パンティライナーを使用する方法です。生理用ナプキンのように、ショーツに張り付けるだけでおりものの不快さをケアできるので、手軽に使えて衛生的です。
ただし、使用するときは、トイレに行くたびにこまめに交換するように気を付けましょう。下着の中は密閉されています。同じパンティライナーを1日使い続けると、おりものや汗、皮脂によってデリケートゾーンが蒸れ、発生した雑菌による臭いやかぶれといったトラブルの原因に繋がります。
きちんと毎回交換すれば、いつでもショーツはさっぱりします。清潔感のあるデリケートゾーンを保てるでしょう。
ウェットシートやムースで拭きとる
外出先や旅先でおりものの不快感をケアしたいときは、携帯できるウェットシートやふき取り用のムースを使用すると良いでしょう。
ウェットシートはアルコールの含まれないもので、できればデリケートゾーン用のウェットシートがベストです。トイレでサッと拭けば、いつでもすぐにさっぱり清潔な状態にできます。
ムースも、トイレットペーパーに吹き付けて陰部を拭ける、デリケートゾーン用の低刺激のものがあります。拭き取ることで清潔感だけでなく、臭いもすぐにケアできるので、家のトイレに常備しておくのもおすすめです。
低刺激性の石鹸やデリケートゾーンのパック
日常的なおりもののケアとして、毎日のお風呂の際に、デリケートゾーン用の石鹸やパックですっきり洗い流す方法もあります。デリケートゾーンを日頃から清潔にしておくことで、下着に汚れが付く前にケアができるため、よりすっきり感を保てます。
おりもののケア方法は、お風呂で体を洗うときに、同時にデリケートゾーン用の石鹸を泡立て、陰部に泡を置いて約3分パックします。ジェルのパックも同様に、数分デリケートゾーンに塗り込んで洗い流すだけです。おりものや気になる汚れや臭いの元を洗い流すことで、お風呂後もしばらく清潔感を感じながら過ごすことができます。
おりもののデイリーケアを習慣化して、より快適なデリケートゾーンへ
おりものの量は年齢や生理周期によって変化しますが、急な変化や常に多い場合は注意が必要です。また、量だけでなく、形状や臭い、色にも明らかな変化があるときは、クリニックを受診しましょう。
おりものは女性の健康と妊娠のために欠かせないものですが、不快さがあるのも事実です。汚れた下着のまま過ごすのは、衛生的にも良いことではありません。おりものが気になるときは、デリケートゾーンのデイリーケアや、パンティライナー、拭き取りアイテムなどを上手に使い、気持ちよく過ごす工夫をしてみましょう。
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※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。