藤東クリニックお悩み相談室~我慢汁について~
我慢汁とは?
我慢汁はカウパー腺液と呼ばれる、男性器から出る分泌液の一種です。一般的に無色透明のぬるっとした液体です。カウパー腺液の主な役割は「精子の保護」です。興奮して勃起した際に分泌されることから「先走り液」と呼ばれることもあります。
「我慢汁で妊娠する」とは?
我慢汁と精液は異なります。しかし、我慢汁の中に精子が微量に混在することがあります。その結果精液が腟内に入ったわけではなくても我慢汁が腟に付着してそこから精子が腟内に入ることで妊娠が成立することがあります。 そのため、「我慢汁で妊娠する」と言われます。
「我慢汁」での妊娠を防ぐには?
我慢汁が腟の中に入らなければ妊娠には至りません。手やペニスに我慢汁が付着した状態で、その我慢汁が腟内に入らないようにすることが必要です。
もっと知りたい「我慢汁」について
我慢汁が腟内に入りやすいNG行為とは
(1)外出し
最も我慢汁で妊娠するリスクのある行為が「外出し」です。「射精だけ外で行えば、それまでペニスをそのまま腟内に入れていても妊娠しない」と考える人が未だ一定数入るようです。しかし我慢汁(カウパー腺液)にも精子が混入していることがあるため、望まない妊娠をしてしまう可能性があります。
(2)途中からコンドームを付ける
外出しと似ていますが、勃起した状態で少しだけ腟内に挿入し、そのあとコンドームを付けて通常通りの性交を行う行為です。コンドームをしていない「生」の状態でペニスを腟内に入れた段階で、我慢汁が腟内に付着し、妊娠につながる可能性が生まれます。
そのため、「途中からコンドームを付ける」というのはコンドーム装着の意味がありません。腟内にペニスを挿入する際には必ずコンドームを着用して、我慢汁が腟内に入らないようにする必要があります。
(3)素股・疑似セックス
前戯の際に挿入をせずに太ももでペニスをこすったり、性器を女性器にこすりつけたりする行為があります。射精どころか挿入もしていないのだから、妊娠をするはずがないと思う人もいるようです。しかし太ももは非常に女性器に近いので我慢汁が何かのタイミングで腟口に付着する可能性はあります。女性器に男性器をこすりつける行為はさらに腟に我慢汁が付着する危険性が高い行為です。
こういった行為も、必ずコンドームをした状態でないと、妊娠につながる可能性があります。
(4)手マン
男性が女性の腟内に指を入れて愛撫する行為を「手マン」と呼びます。この行為の際に男性が自分のペニスを触った後で、手に我慢汁が付着していれば、女性の腟に指を入れた際に妊娠の原因となる可能性は否定できません。 男性器を触ってから女性の腟内に指を入れるというような行為は避けましょう。
カウパー腺液の正体と役割
カウパー腺液はどこから出る?
カウパー腺液は「尿道球」という場所で作られ、尿道を通り、ペニスの先端から排出されます。このカウパー腺液は弱アルカリ性の性質を持っています。 尿道は通常時、尿が弱酸性であることからやや酸性の状態です。しかし精子は酸に弱い性質を持っています。精子が尿道を通って排出される際に減少してしまわないように、射精の前にカウパー腺液を分泌して尿道を弱アルカリ性にして、精子が弱まるのを防ぐという仕組みになっているのです。
精子の保護以外の、カウパー腺液の役割
カウパー腺液は、精子の保護以外に「性行為の際の潤滑剤」という役割を持っています。カウパー腺液が分泌され亀頭が濡れることで、挿入がスムーズになります。また、腟がより潤った状態の方が精子が腟の奥へ侵入しやすくなるため、その腟内への精子の侵入をサポートする役割もあるといわれています。
我慢汁による妊娠を防ぎながら快適に性行為する方法
コンドームを使用する
先ほども解説した通り、我慢汁での妊娠の原因は腟に精子が混入した我慢汁が腟内に入ることです。コンドームを正しく着用することで、この腟内への侵入を高確率で防ぐことができます。我慢汁での妊娠が不安な場合は、男性が勃起したタイミングでコンドームを着用し、射精するまで外さないことが一番大切です。
また、我慢汁は潤滑剤の役割を持っていることも解説しました。そのため我慢汁を遮ると潤滑が不足することがあります。基本的にはコンドームには挿入しやすいようにトップにジェルが塗布されていますが、足りないようであればジェルがたっぷりついたタイプのコンドームを選ぶといいでしょう。
潤滑ジェルを用意する
最初の挿入はコンドームのジェルによって問題なく行えても、挿入中に乾いて潤滑が足りなくなってしまうカップルもいます。それを防ぐには、潤滑ジェルを用意しておくことをお勧めします。
油性ローションはラテックス製のコンドームを劣化させ破損させる恐れがあります。必ず、水溶性の潤滑剤を選ぶようにしましょう。
我慢汁を正しく知って、安心して行為をしよう
我慢汁について正しく知って、危険な行為を避ければ、我慢汁での妊娠のリスクは大きく減少させることができます。我慢汁が腟内に入りやすいNG行動をしっかり把握し、妊娠につながらないように注意しましょう。
もし正しいやり方に変えることで潤い不足などを感じる場合は、アイテムを取り入れると改善できることがほとんどです。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。