藤東クリニックお悩み相談室～コンドームが破れたお悩みについて～
コンドームが破れやすくなる条件
避妊方法の1つなのが、コンドームを装着することです。ですが、コンドームを装着しても100％の避妊効果を得られるわけではありません。コンドームは環境や状況によって、破損することがあります。
破れやすくなる主な原因として、コンドームを正しく保管できていない場合や品質の良くないものを使用しているといったことが挙げられます。さらに、使用する前に爪などで傷をつけてしまう、油性のローションと併用するといった誤った使い方やミスによって、破損することもあります。
コンドームが破れると生じるリスク
コンドームが破れてしまうと、その隙間から精子が腟内に侵入し妊娠する可能性が高まります。また、粘膜に体液が付着することで、性感染症に感染するリスクが大きくなります。
破損によって、大きな2つのリスクが生じるので、コンドームは最大限破損の確率が低くなるように正しく使用することが大切です。
もっと知りたい！「コンドームの破損」について
コンドームが破れる原因と予防策
（１）使用期限が過ぎていた
コンドームには使用期間があります。外装箱や個包装に記載されているので、しっかり確認しておきましょう。できるだけ使用期限が迫っているものから早く使用するようにしましょう。
個包装に期限が記載されていない場合、外装箱から出して保存するといつまでか分からなくなります。製造からおよそ3～5年が一般的な使用期限とされているので、購入から3年経ったコンドームは使用を控えて破棄しましょう。購入時期も分からない場合は、使用しないようにしましょう。
ちなみに、個包装に使用期限を油性ペンで書くのは、破損の要因になります。もし、期限を書くのであれば、付箋などに記載して貼るといった対策をしましょう。
（２）保管方法が良くなかった
コンドームを保管する環境も、劣化の原因になります。
外出先で使用する時など、財布やコスメポーチに入れて持参するのは、避けましょう。衝撃や一緒に入れている物の刺激で破損する可能性があります。持ち歩く際は、缶やプラスチックなどの硬い箱に入れるようにするなどの注意が必要です。
また、直射日光や高温多湿な場所も劣化を進めます。寝室の引き出しなど、暗く涼しい場所に保存しましょう。
ただ、タンスやクローゼットは防虫剤の影響で劣化する可能性があります。防虫剤には防虫のための成分を拡散するガスが入っており、コンドームを劣化させる可能性があります。
コンドームは硬い箱に入れて保管し、近くに衝撃を与えるような細かい物や防虫剤を置かないように気を付けましょう。
（３）品質が良くなかった
海外のお土産などでコンドームを購入する方もいるかもしれませんが、海外製は日本の品質基準を満たしていないことが多いため、十分な避妊効果を得られない可能性があります。
海外製品はアダルトグッズを衛生的に使用するためや、オーラルセックスの性感染症予防として使用し、より強い刺激が加わる挿入時の避妊にはできるだけ日本製のコンドームを使用するようにしましょう。
（４）摩擦や爪などで傷を付けた
多くのコンドームは薄く繊細に作られていることが多いので、ちょっとした傷だけでも、破損の原因になります。
装着する時に爪やアクセサリーなどが当たったことでできた小さな傷も、使用中に圧がかかると破れる可能性があります。また、コンドームを取り出す際も、個包装のギザギザした部分に引っかかると、傷がつくかもしれません。装着時や取り出す際は、慎重に扱うようにしましょう。
そして挿入中も、腟内の摩擦により破れることがあります。潤いが足りない状態で使用すると、腟内で擦られて引っ張られてしまったり、体位によっては腟の入り口に当たってひっかかったりといった状況が考えられます。
もし挿入中に引っかかりなどの違和感を覚えた時は、体位を変える、ジェルなどで潤いをプラスするといった対処が必要です。
（５）正しく装着していなかった
コンドームの装着方法が誤っていると、使用中に破損する原因となります。
コンドームの正しい装着手順の一つに「先端の精液だまりをつまみ、空気を抜いてペニスにのせて被せる」という工程があります。この空気を抜く作業を抜かしたり上手くできていないと、使用中にピストンの圧力でコンドームが破裂する可能性があります。最後まで装着した後も、精液だまりの空気が抜けているかしっかり確認しましょう。
ほかにも、より高い避妊効果を得ようと「コンドームを2枚重ねにする」というのも、誤った装着方法です。かえって破損につながり、正しい避妊効果が得られなくなってしまうため厳禁です。
また、コンドームは一度装着したら劣化するため、1回きりの使用とし再利用は絶対にしないようにしてください。
（６）サイズが合っていなかった
ペニスに対してコンドームのサイズが小さい場合、伸びて破損しやすくなります。小さい風船にたくさんの空気を入れすぎると破裂するイメージと同じですね。
逆にサイズが大きいコンドームを使用すると、使用中にコンドームがはずれてしまう可能性があります。気づかずにピストンを続けると、妊娠のリスクだけでなく、腟の奥にコンドームが入って自身で取れなくなり、病院を受診する必要が出てきます。違和感があったらすぐにペニスを抜き、確認するようにしましょう。
このようにコンドームの適切なサイズ選びができていないと、破損しやすくなるだけでなく、途中で抜けるといったトラブルの要因にもなります。サイズを確認し、適したものを選ぶようにしましょう。
（７）油性のローションやクリームを併用した
ゴムでできたラテックス製コンドームは、油に弱いという特徴があります。油性のローションやクリームを併用すると、コンドームを溶かしてしまう可能性があるので、ローションを使う時は水溶性のものを使うようにしましょう。
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また、化粧品には油が使われていることが多いため、化粧品のついた指でコンドームを触るのも避けたいもの。セックスを始める前には、しっかり手指を洗い、油分を落としておきましょう。
コンドームが破れた時の対処法
（１）緊急避妊薬の服用
もしコンドームが破れた時は、すぐに病院を受診し、緊急避妊薬（アフターピル）を服用するようにしましょう。性行為から72時間以内であれば、妊娠を防ぐ対処が可能です。
2022年現在、緊急避妊薬は薬局やドラッグストアでは購入できないため、必ず病院の受診が必要です。
服用するタイミングが遅くなれば、それだけ妊娠を防げる確率は低下してしまいます。まずはできるだけ早く病院を受診し、医師に相談してください。
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（２）銅付加IUDを用いる
緊急避妊薬の他に、銅付加IUDという避妊具を子宮内に装着する方法もあります。避妊リングとも呼ばれ、120時間（5日）以内に実施すれば、避妊効果が期待できます。
銅付加IUDはT字型で、銅イオンを放出するプラスチックでできています。子宮内膜に設置することで、着床を防いだり、精子の機能をなくしたりする効果があります。
病院で医師により装着し、処置の時間は2～3分ほどです。はずす際もすぐに実施できます。
一度装着しておけば、長期間高い避妊率で避妊が可能ですが、出産経験のない女性は装着時に痛みを伴う可能性があります。
（３）性感染症の検査
コンドームには妊娠を防ぐ以外にも、性感染症予防の役割があります。コンドームが破れた時は、性感染症のリスクもあることを理解しておきましょう。
自覚症状のない性感染症もあるので、念のため病院で検査をすることをおすすめします。
コンドームの破損以外に注意すべきこと
（１）精液漏れに気を付ける
コンドームが破損しなくても、性行為が終わった後の処理によっては妊娠のリスクが高まることがあります。
射精をした後のペニスは、徐々に小さくなります。コンドームとの隙間ができて、精液が漏れることで、腟内へ精子が侵入する可能性があるのです。
性行為が終わったらコンドームの装着されたペニスの根元を押さえてから、速やかに腟内からペニスを抜きましょう。
（２）安全日でも避妊する
古くから妊娠のタイミングを計る方法として、オギノ式がありますが、排卵日数日後から生理までの期間を、妊娠しにくい期間としています。避妊法の一種として広まっており、この時期は「安全日」と呼ばれます。
しかし実際は、排卵日は基礎体温や病院で検査をしない限り確実ではなく、人の体は状況によって周期が不安定になることもあり、絶対的な「安全日」というのは存在しません。つまりオギノ式を使った避妊は間違った避妊法です。
避妊せずに性行為をすれば妊娠する可能性はありますので、妊娠を望まないのであれば、必ず避妊をするようにしましょう。
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（３）緊急避妊薬として低用量ピルを代用しない
低用量ピルを日常的に正しく服用していれば、コンドームを使用しなくても妊娠を防ぐことができます。また、日常的に服用しない人で生理日をずらすために服用することもあります。
ただ低用量ピルは、同じピルでも緊急避妊薬とは妊娠を防ぐ仕組みが異なります。コンドームが破れて避妊に失敗したからと言って、低用量ピルでアフターピルの代用はできません。以前もらった低用量ピルを多量に飲んだり、医師の指示とは異なる服用をしたりといったことは、絶対にやめましょう。
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コンドームが破れる原因を知り、正しく対策をしよう
コンドームが破れるのを避けるためには、正しい使用と保管が大切です。使用方法を守れば、破損の確率を大きく下げることができます。まずは破損しにくくするための知識を身につけ、正しい方法での使用を徹底しましょう。
もしコンドームが破れてしまった時は、できるだけ早く病院を受診してください。緊急避妊は対処のスピードが重要です。困った時にすぐに行動できるよう、事前に病院を調べておくと良いでしょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
