藤東クリニックお悩み相談~射精量について~
射精量はどのくらいが適切?
そもそも、妊娠の可能性と射精量(精液量)は必ずしも相関関係はありません。というのも、1回の射精当たりの精液量が多くても、中に含まれる精子自体の数が少なかったり運動率が低ければ妊娠確率は低下します。単純に射精量だけを妊娠確率と結びつけて考えるのは適切ではありません。
男性の1回の射精量は個人差がありますが、一般的には2~5ml程度です。ただし、加齢によって減少したり、健康状態や性的興奮度、射精感覚などによっても変動します。
WHOの基準では1.4ml以上が正常値と定められています。
参考文献:WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen(第6版)
射精量を増やすことはできる?
射精量は生活習慣や食生活の乱れによって減少するといわれています。そのため、ストレスのかかる生活や睡眠不足を解消し、栄養バランスの整った食事を摂ることで射精量を改善することができる可能性があります。
射精量減少の妊娠以外のデメリットはある?
射精量を気にする人は主に妊娠の確率に関心がある方が多いです。では射精量が減少しても、妊娠以外には影響しないのでしょうか。
男性の場合、射精量が多いことで射精したときの「達成感」も多く得られるという声があります。加齢によって射精量が減少するとこの達成感も低下し、性行為の満足度を改善するために射精量を増やしたいと考える人もいるようです。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。
もっと知りたい射精量と妊娠の関係性について
精液の正常な状態とは
そもそも妊娠の確率が低下しない、正常な精液の状態とはどのような状態なのでしょうか。2021年7月27日に改訂されたWHOのマニュアルでは、下記のように定められています。
(1)精液の量
一つ目の指標はこの記事のテーマでもある「精液の量」です。前述のとおり、1.4mlが基準値となっています。
(2)精子濃度
そして、精液が多くても中に精子が含まれていなければ妊娠にはつながりません。WHOの基準では、1mlあたり1600万以上の精子が含まれていることを健康な精液の基準としています。
(3)運動率
射精された精子が受精するためには、卵子に出会うために腟から子宮内に入り卵管に移動する必要があります。そのため精子自体の数が多くても、運動率が低いと卵管までたどり着ける精子の数は少なくなり、受精の確率が下がります。
WHOが定めている運動率の基準値は42%以上です。
(4)総運動精子数
総運動精子数は、
によって算出します。
例えば精子量がわずかに基準値を下回っていても、精子濃度や運動率が高ければ総運動精子数の基準値を上回るケースはあります。
総運動精子数の基準値は1638万以上となっています。
(5)正常形態率
精子の中には一般的な精子と異なる形の精子が含まれることがあります。これを「奇形精子」と呼びます。
奇形精子には「頭部奇形」「尾部奇形」の2種類があります。尾部奇形は、主に卵子にたどり着くためのしっぽのような部分が長すぎたり短すぎたりすることで受精に至らないケースが多いです。頭部奇形はDNA異常があったり、卵子にたどり着いても受精が正常に起こらない確率が高くなります。
WHOではこの奇形精子に該当しない、「正常な精子の割合が4%以上(奇形率96%未満)」であることを基準値としています。精子の量が十分であるだけではなく、正常な推進力や受精能力を有した精子が基準値以上にあることが大切です。
射精量(精液量)の減少原因
(1)加齢
射精量がもともと少ない人もいますが、以前は多かったのに減ってきてしまったという人もいます。その原因の一つが「加齢」です。
年齢とともに、男性の体内でテストステロン(男性ホルモン)の生産が減少する傾向があります。このホルモンは精子の生産に関与しており、その減少が精液量の減少につながることがあります。また加齢によって前立腺が変化することも影響すると考えられています。年齢とともに前立腺の体積が変化し、その結果、精液の生産や放出に影響を与えることがあります。
(2)逆行性射精
射精量の減少の原因の一つに「逆行性射精」も挙げられます。逆行性射精は、精液が全て射出されずに、逆行して尿道に戻ってしまう状態を指します。逆行して膀胱に流れこんだ精液は、その後排尿したときに一緒に排出されます。そのため、射精後の尿の中に精子が混入しています。
逆行性射精の多くは、原因不明です。治療方法は服薬が一般的です。ただし薬で改善がみられるのはおよそ30%程度と言われています。妊娠を希望しているが逆行性射精の改善が見られない場合、医師が精子を採取し女性の子宮内に注入する「人工授精」の手段をとる場合が多いでしょう。
(3)病気やその治療薬の影響
病気によって精巣が炎症・損傷し、射精量が減少することがあります。また一部の薬物(抗うつ薬、抗不安薬、高血圧治療薬、抗ヒスタミン薬など)は、射精量の減少を引き起こす副作用を持つことがあります。
年を取るとテストステロンが減少して精液量が減ることをご紹介しましたが、同様にホルモンバランスに影響するような病気にかかった場合も、精液減少の影響が考えられます。
精液の状態を知る方法、調べ方
以上のように、見た目の射精量(精液量)だけでは妊娠確率への影響を正しく判断することはできません。妊娠したいけれど不安要素がある場合は、まずは正しい精液の情報を得るといいでしょう。
精液の情報を知るには、泌尿器科(メンズクリニック)での検査がおすすめです。ブライダルチェックの中の一項目として精液検査が入っているケースもあります。
~一般的な精液検査の流れ~
- 禁欲期間
- サンプル採取
- サンプルの検査
- 結果の通知
まずは受診して検査日の予約を決定し、その数日前(通常は3~5日間)から性行為および自慰行為を避けます。
クリニックに渡された採精用の清潔な容器に、精液を採取します。クリニック内の個室で採取する場合と、自宅で採取して持っていく方法があります。自宅で採取する場合は時間が経過したり温度が低くなると正しい検査結果が出にくくなってしまうので、できるだけ速やかに提出可能なクリニック内での採取が理想的です。
提出されたサンプルは、臨床検査室で詳細な検査が行われます。検査室では、精液の外観、粘度、pH値、精子の数、運動性、形態などが評価されます。また、精液中の細菌やその他の異常も検査されることがあります。
医師から精液検査の結果の説明を受け、今後の方向性について話します。
もし精液に異常が認められれば、その項目を改善するための治療や指導を受けて精液の状態の回復を目指します。もしくは人工授精などの手段を提示されることもあります。
精液の状態に問題が無ければ、そのままタイミング法等の手段を試しながら妊娠を目指していく形になるでしょう。
妊活のお悩み別アイテム
(1)したいタイミングが合わない
妊活の悩みの一つに夫と自分のしたいタイミングが合わない、したいタイミングに気づいてもらえなかったり上手く誘えないということが挙げられます。そんな時は香りの工夫をしてみるという方法があります。
男性をドキドキさせる香りを意識した香水をつけてしたい気持ちに働きかけるだけでなく、誘いたいタイミングで毎回付けたり、誘いたい日の朝に付けることで「今日の夜はどう?」というサインの代わりにするという工夫もできます。
(2)うまく潤わない
妊娠したい気持ちはあっても、性行為に気分が乗らない時もあります。そういう時一番困るのは、身体がうまく潤わず挿入の負担が増えることです。上手く潤っていない状態で挿入をすると、腟部の裂傷に繋がったり、痛みを感じることで性行為自体への抵抗感が生まれてしまうことがあります。
そういう時は、無理をせずアイテムの力を使いましょう。潤滑ジェルでデリケートな部分に潤いをプラスすることで、挿入時の違和感を軽減することができます。
(3)回数を重ねてマンネリ化してきた
妊娠を目標として何度も性行為を重ねていると、なんとなくマンネリを感じてしまうことがあります。そういった時は、非日常感をプラスするアイテムを取り入れることで解決できるかもしれません。
お風呂のお湯をローションのように変える入浴剤を使うと、一緒に湯船につかって体に触れあうことで、普段と違う感触を楽しめます。
シロップ味の食べられるローションを使えば、普段以上にオーラルが盛り上がることでしょう。
不安になったときは、メンズクリニックでの精液検査をおすすめ
射精量が妊娠しない要因の一つになっているのではと不安になったときは、メンズクリニックでの精液検査をおすすめします。射精量以外にも、精子の濃度や運動率、正常形態率など沢山の項目が妊娠には影響します。精子の状態を正確に知ることで、より適切に妊娠確率を上げるための医師の指導や治療を受けることができます。
もし途中で妊活に行き詰まったときは、悩み別のアイテムを取り入れてみるのもいいでしょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。