乳首がかゆい原因は?痒みの対処法と予防方法を解説

藤東クリニックお悩み相談室~乳首がかゆい悩みについて~

質問者
乳首がかゆくて、病気なのではないかと心配です。乳首がかゆい原因は何ですか?病院を受診すべきでしょうか。
藤東先生
今回は乳首のかゆみについて解説しましょう! 

乳首がかゆいのは病気なの?原因は?

乳首がかゆい原因は、必ずしも病気とは限りません。乳首周りの乾燥、着けている下着が肌に合わない、女性ホルモンの乱れなどによって、一時的に乳首がかゆくなることがあります。

病気として考えられるのは、接触性皮膚炎などによる乳首の炎症や、乳がんなどが挙げられます。乳首のかゆみが続く場合は、婦人科や乳腺科、または皮膚科を受診しましょう。

乳首のかゆみを抑える方法はあるの?

乳首がかゆくなる原因の1つは、接触性皮膚炎です。肌に合わない下着の生地との摩擦や下着の中の蒸れにより、皮膚に炎症を起こします。症状が軽ければ、下着の素材を見直すなど生活習慣の見直しによって、ある程度改善します。

乾燥も、乳首のかゆみの原因です。入浴後に保湿ケアをすることで、かゆみを抑えることができるでしょう。接触性皮膚炎によるかゆみ対策としても、効果が期待できます。

しかし、乳首がかゆい原因が乳がんなどの病気である場合は、病気そのものの治療が必要です。

もっと知りたい「乳首がかゆい悩み」について

乳首がかゆくなる原因とは

原因(1)皮膚の炎症や乾燥

乳首がかゆくなる原因で最も多いのは、接触性皮膚炎(かぶれ)です。皮膚に何らかの物質が触れた刺激により、アレルギー反応を起こす症状を指します。乳首が下着と接触したり摩擦を起こしたりすることで、かゆみや炎症が生じます。

また、アトピー性皮膚炎によって、乳首や乳輪周りがかゆくなることもあります。乳首が乾燥する、浸出液が出てジュクジュクするなどの症状が特徴です。

乳首は皮膚が薄く、非常にデリケートな場所です。さらに、汗によって蒸れたり、下着との摩擦によって乾燥したりしやすい部位でもあります。乾燥により皮膚のバリア機能が低下し、刺激を受けやすくなっていることが原因で、乳首にかゆみや炎症を起こしている可能性もあります。

原因(2)生理前などホルモンバランスの乱れ

乳首がかゆい原因として、ホルモンバランスの乱れの影響も考えられます。生理前や排卵期などホルモンバランスが変わるタイミングや、生理不順や更年期でホルモンバランスが乱れているときに乳首がかゆい場合は、ホルモンの影響かもしれません。

ホルモンバランスが乱れると、乳首や乳房が敏感になり、かゆみを感じやすくなります。特に生理前は、胸の張りや痛みと同時に、乳首にかゆみが出る傾向があります。通常であれば、生理が始まるとかゆみは治まります。

原因(3)妊娠、授乳中

妊娠や授乳も、乳首がかゆくなる原因です。

妊娠中は、ホルモンの分泌量の変化により、肌全体が敏感になりやすい時期です。中には、乳首がずっとヒリヒリする方もいます。さらに、妊娠後期には母乳の分泌が始まり、乳首に詰まることでかゆみが出やすくなります。乳房が大きくなることで、乳首にかゆみを感じる場合もあるようです。

また、授乳中は赤ちゃんが母乳を吸うため、乳首の表面に傷がつきやすく、乳首に物理的な負担がかかります。さらに、漏れた母乳や赤ちゃんの唾液が付着したままになることで、乳首や乳輪が荒れてかゆみが起こることもあります。母乳パッドはこまめに替え、乳首を清潔に保つことが大切です。

原因(4)乳房パジェット病などの乳がん

傷が付いていないにも関わらず、乳首が赤く腫れたり、ただれ・出血・かさぶたなどの症状が出たりしている場合、「乳房パジェット病」が疑われます。

乳房パジェット病は「乳がん」の一種で、がん細胞が乳頭や乳輪など皮膚の表面から発生し、徐々に奥へと進行していく病気です。乳がんは「しこり」のイメージが強いかもしれませんが、乳房パジェット病の場合はしこりが見られません。片方の胸だけ発症するケースが多いですが、両胸で発症することも稀にあります。

重篤な病気であるように感じるかもしれませんが、早期に発見し適切に治療をすれば治ります。乳房パジェット病の治療は、がん細胞をピンポイントに取り除く手術や放射線、または全身にアプローチする抗がん剤などの薬剤を用いて進めます。治療方法は、がんの状況や年齢・ライフスタイルなどを踏まえて判断します。

乳首のかゆみを改善・予防する方法

方法(1)乳首周りを保湿する

皮膚が乾燥すると、肌のバリア機能が低下し、かゆみを感じやすくなります。乳首が乾燥した状態で下着と擦れ、炎症を起こしてしまうこともあります。

入浴後など、乳首も丁寧に保湿しましょう。乳首の皮膚はデリケートですので、デリケートゾーンに使えるものや、敏感肌用の低刺激性の保湿剤を選んでください。爪が当たるなどで乳輪周りに過度な刺激を与えないよう、指の腹を使って優しく保湿しましょう。

方法(2)通気性の良い下着を身に着ける

下着との接触や摩擦が、接触皮膚炎による乳首のかゆみの原因の1つです。シルクや綿(コットン)など、乳首への刺激が比較的少ない天然素材の下着を選ぶと良いでしょう。

さらに、汗による蒸れも、乳首のかぶれに繋がります。特に汗をかきやすい暑い季節は、下着の中の温度や湿度が高くならないよう、できるだけ通気性の良い下着や服を選びましょう。シルクや綿は、肌に優しいだけでなく、吸湿性・放湿性・通気性も優れています。

方法(3)生活習慣を見直す

睡眠・栄養不足やストレスの蓄積は、体や脳に負荷をかけ、ホルモンの正常な分泌を妨げます。乳首の痒みの原因がホルモンバランスの乱れにある場合、基本的な生活習慣を見直すことが大切です。

ホルモンバランスを整えるためには、休日もできるだけ規則正しく過ごし、栄養バランスの良い食事と質の高い睡眠を意識しましょう。夜遅くまでスマートフォンやテレビを見たり、朝食を抜いたりすると、自律神経が乱れ、ホルモンバランスに影響します。健康的な生活が、ホルモンバランスの正常化に繋がるのです。

方法(4)病院や市販薬で治療する

乳首のかゆみが気になるようであれば、バストトップ用の市販のかゆみ止めを活用しても良いでしょう。ただし、原因と合わない薬を塗ると、かゆみが悪化してしまう可能性があります。購入時に薬剤師とよく相談し、数日使っても症状が改善しない、または悪化するようであれば、病院を受診してください。

特に、乳がんなどの病気の疑いがある場合は、速やかに婦人科で検査を受けることをおすすめします。

乳首がかゆいときの注意点

注意点(1)搔きむしらない

乳首のかゆみが気になると、つい掻きむしりたくなるかもしれません。しかし、掻くと皮膚の表面が傷付き、傷から入り込んだ細菌により炎症を起こすことで、かえってかゆみが悪化する可能性もあります。

乳首を掻きむしって刺激したり、炎症を起こしたりすると、色素沈着にも繋がりかねません。どうしても乳首のかゆみが我慢できないときは、ハンカチなどにくるんだ保冷剤で冷やして、一時的に抑えましょう。

注意点(2)放置しない

生理前の胸の張りによる乳首のかゆみなど、すぐに治まるような一時的な症状であれば、一旦様子を見ても問題ありません。しかし、長期間かゆみが続くようであれば、自己判断せず病院を受診してください。

乳首のかゆみを放置すると、症状が悪化したり、乳がんのような深刻な病気を見逃してしまったりする可能性があります。乳首や乳房に気になる症状がある場合は、婦人科や乳腺科で検査をしましょう。

注意点(3)痛みや汁が出たら病院を受診する

乳首のかゆみ以外にも、痛みを感じたり、妊娠中や授乳期以外であるにもかかわらず乳首から汁が出たりする場合は、なるべく早く病院を受診しましょう。

乳首の痛みや乳汁の分泌には、ホルモンバランスが影響しているケースもある一方、乳頭炎や乳がんなどの病気が隠れている可能性があります。検査により原因を特定することで、かゆみ・痛み・汁などの症状の根本的な解決が目指せます。

乳首のケアに使えるおすすめのアイテム

(1)乳首周りに使える保湿ジェル

乳首は乾燥しやすい上に、非常にデリケートな部位です。乾燥するとかゆみを感じやすくなるため、優しく保湿をすることが大切です。

乳首の保湿は、バスト全体に使える保湿ジェルを活用すると良いでしょう。強く擦らなくても塗布できるよう、伸びが良いものを選んでください。下着や服を必ず着ける場所ですので、入浴後に塗ってもベタつきにくい質感の保湿剤がおすすめです。

乳首周りに潤いを与える保湿ジェル
乳首周りに潤いを与える保湿ジェルの例。画像はプエラリア・ハーバル・ジェル(ラブコスメ)

(2)乳首周りを清潔に保つ石鹸

乳首のかゆみを防ぐには、保湿だけでなく、汗や皮脂を綺麗に洗う必要もあります。特に授乳中の方は、母乳や赤ちゃんの唾液ができるだけ付着したままにならないよう、こまめに清浄綿などで拭き取りましょう。

しかし、汚れを落とそうと思うあまり、洗浄力が強いボディソープで乳首周りをゴシゴシ洗うのは禁物です。肌に本来必要な皮脂や常在菌も洗い流されてしまい、さらに乾燥やかゆみを感じやすくなります。

敏感な乳首や乳輪の周りを洗う際には、デリケートゾーンにも使える低刺激の石鹸がおすすめです。良く泡立て、肌を擦らず包み込むように泡を乗せ、丁寧に洗い流してください。

乳首周りの汚れを洗い流す石鹸
乳首周りの汚れを洗い流す石鹸の例。画像はジャムウ・ハーバルソープ(ラブコスメ)

乳首がかゆくなる原因を知り、正しいケアをしよう

乳首のかゆみのほとんどは、健康的な生活を心掛け、乳首を清潔に保ち、丁寧に保湿をすることで、ある程度予防や改善ができます。規則正しい生活と、乳首を守るケアを意識してみましょう。バストトップ用の市販薬を塗布することで、かゆみを治療できるケースもあります。

しかし、セルフケアや市販薬などで対処をしてもかゆみが続いたり、痛みや汁が出たりする場合は、乳頭炎や乳がんなどの病気が疑われます。病気の早期発見やつらいかゆみを根本的に改善するためにも、自己判断で放置せず、なるべく早く病院を受診してください。

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※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。

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