藤東クリニックお悩み相談室~首 ニキビについて~
顔にはあまりニキビがないのに、首ニキビはすぐできるしなかなか治りません。なぜ首にばかりニキビができるのでしょうか?
首はニキビができやすい?
首は皮脂腺が多く存在する部位であり、特に思春期や生理前などホルモンバランスが変化する時期には、皮脂分泌が活発になりがちです。分泌された皮脂が毛穴に詰まりやすく、これがニキビ形成の第一歩となります。さらに、首の皮膚は比較的薄く敏感であるため、わずかな刺激でも炎症を起こしやすいという特徴があります。
首にニキビができる主な原因、メカニズムは?
首ニキビの発生メカニズムは、基本的には顔のニキビと同じです。毛穴に皮脂や古い角質、汚れが詰まることで、アクネ菌が繁殖してしまうことが主要な原因となります。
食生活では、糖分や脂質の過剰摂取を控え、ビタミンB群やビタミンCを積極的に摂取しましょう。これらの栄養素は肌の健康維持に重要な役割を果たします。また、十分な水分摂取により、体内の老廃物を排出し、肌のターンオーバーを正常化することができます。
首のニキビの治療方法は?
市販薬を使用する場合は、サリチル酸やベンゾイルペルオキサイド配合のものが効果的です。サリチル酸は角質を柔らかくし、毛穴の詰まりを改善する効果があります。一方、ベンゾイルペルオキサイドは殺菌作用があり、アクネ菌の繁殖を抑制します。ただし、これらの成分は肌への刺激が強いため、使用前にパッチテストを行い、少量から始めることが大切です。
首ニキビが繰り返しできる場合や、炎症が強い場合は、皮膚科での治療を検討しましょう。目安としてセルフケアを2〜3ヵ月続けても改善が見られない場合、ニキビが化膿を繰り返す場合、広範囲に炎症が広がっている場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。皮膚科では、抗生物質の内服薬や外用薬、レチノイド系の薬剤など、より効果的な治療選択肢があります。また、重症例では面皰圧出や光線療法などの処置も受けることができます。
早期の治療によりニキビ跡も改善の可能性が高まります。
もっと知りたい!首ニキビについて
首ニキビの原因と対処法
首という部位特有の原因と、対処法について解説していきます。
衣類やアクセサリーによる摩擦
タートルネックや襟の高い服をよく着用する、ネックレスなどのアクセサリーを付けていることは、首のニキビの原因の一つになります。
首の皮膚を継続的に刺激することで、毛穴が詰まりやすくなります。特に化学繊維の衣類は肌への刺激が強く、汗を吸収しにくいため、ニキビの原因となりやすいのです。
首回りが緩めで、天然素材の服を選ぶことで、摩擦や蒸れを減らすことができます。また、ネックレスなどのアクセサリーは清潔に保ち、長時間の着用は避けるようにしましょう。
毛先が首にあたる髪の長さ
髪の毛先が首の皮膚に触れることで、継続的な摩擦や刺激が生じます。この刺激は毛穴を刺激し、角質の肥厚や毛穴の詰まりを引き起こします。特に髪が動くたびに首の皮膚が擦れるため、既存のニキビを悪化させたり、新たなニキビの発生を促進したりします。
髪には外気中のほこりや汚れ、スタイリング剤の成分が付着しています。また、頭皮から分泌される皮脂も髪に移行します。これらが首の皮膚に触れることで、毛穴を詰まらせる原因となります。
できれば髪は結べる長さまで伸ばし、結んだ状態で生活することが理想です。ショートカットの場合も、ヘアピンでまとめるなどして毛先が首にあたることを防ぐといいでしょう。
首に汗をかきやすい体質
人によって部位ごとの汗腺の多さには個人差があり、体質的に首に汗をかきやすい人もいます。首に汗をかきやすい人は、汗を拭くタオルを見直すのも重要です。
~首を拭くタオルの注意点~
- 香料などを控えた低刺激の洗剤や柔軟剤に変える
- しっかり除菌効果のある洗剤でしっかり洗浄する
- 清潔に保つために1日に何度もタオルを交換する
- 吸水性がよく肌触りのいい素材のタオルを使用する(オーガニックコットン100%、ガーゼ素材など)
洗顔やシャンプー時の洗い残し
刺激の強い洗顔、シャンプーやトリートメントが肌に残ると、首ニキビ悪化の原因になることがあります。その場合、より刺激の少ない自然派のヘアケア商品に切り替えるのも一つの方法です。特に髪が長い方は、シャンプーの成分が首に付着しやすく、注意が必要です。

枕カバーが清潔でない
枕カバーは毎日交換し、常に清潔な状態を保つことが大切です。寝返りを打つ際に首が枕に触れることで、汚れや細菌が付着する可能性があるためです。首は寝ている間にも沢山汗をかきます。一晩使用した枕カバーは、多くの人が思っているよりも雑菌が繁殖しています。
首ニキビを目立たなくする方法
ファンデーションを塗る
仕事や外出の都合でどうしても隠したい場合、ファンデーションを塗るという方法があります。その際、ノンコメドジェニック処方(毛穴を詰まらせにくい)のファンデーションを選ぶことが重要です。また、薬用やニキビ肌用と表示されている製品を選ぶとより安心です。
使用する際は、炎症部分を避けて周囲にのみ薄く塗布し、長時間の使用は控えましょう。帰宅後はできるだけ早くクレンジングを行い、その後丁寧にスキンケアを行うことが大切です。首はメイク落としでメイクを落とすのを忘れがちな部位で、そうすると余計にニキビが悪化してしまうので注意しましょう。
また、炎症を起こしている赤ニキビや膿を持った黄ニキビの場合、ファンデーションが毛穴をさらに塞いでしまい、症状の悪化を招く可能性があります。特に首は衣類との摩擦や汗をかきやすい部位のため、ファンデーションが崩れて毛穴に詰まりやすく、アクネ菌の繁殖環境を作ってしまうリスクがあります。
また、ファンデーションを落とすためのクレンジングも、炎症を起こしている肌には刺激となる場合があります。首の皮膚は顔よりも敏感なため、過度な摩擦は炎症を悪化させる可能性があります。
薬用コンシーラーを使用する
首のニキビを隠したい場合は、ファンデーションの代わりに薬用コンシーラーの使用を検討してみてください。これらは炎症を抑えながら目立ちにくくする効果があります。
薬用コンシーラーには、イソプロピルメチルフェノールやイオウといった殺菌成分、グリチルリチン酸二カリウムやグリチルリチン酸ステアリルといった抗炎症作用のある成分が配合されています。
首は汗をかきやすいため、ウォータープルーフタイプが適しています。衣類を切る際は付着(汚れ)を防ぐために、完全に乾いてから服を着用するようにしましょう。
ただし薬用コンシーラーは「薬用」とついてはいるものの、あくまで悪化を防ぐ成分を含んでいるだけで、塗ることでニキビが治癒するアイテムではありません。根本的なニキビ治療は、クリニックを受信して適切な処方を受けましょう。
首元の隠れるファッションを選ぶ
首のニキビを目立たなくさせるには、首周りが隠れるデザインのファッションを選ぶという方法も有効です。ただし、継続的な摩擦によって炎症を悪化させる可能性もあります。
特にタートルネックや襟の高い服、化学繊維の服やきつめのフィット感の服は要注意です。摩擦は毛穴を刺激し、既存のニキビを悪化させるだけでなく、新たなニキビの発生原因にもなります。
最もお勧めなのは天然繊維、特にコットン(綿)100%の服です。コットンは肌触りが柔らかく、吸湿性に優れているため汗を吸収し、肌を乾燥した状態に保ちます。また、通気性も良いため、蒸れによる細菌の繁殖を防ぐ効果もあります。
リネン(麻)も良い選択肢です。コットンよりもさらに通気性が良く、抗菌性もあります。ただし、リネンはコットンよりもやや硬い質感のため、肌が敏感な時期は避けた方が無難かもしれません。
シルクも首ニキビがある時には適した素材です。滑らかな質感で摩擦が少なく、天然の抗菌性も持っています。ただし、価格が高く、お手入れが難しいというデメリットがあります。
解決策として、首ニキビがある時期はVネックやクルーネックなど首周りが開いたデザインの服を基本とし、必要に応じてシルクのスカーフやストールで首元をカバーするといいでしょう。

首ニキビを防ぐための正しいスキンケア
首ニキビを予防するには、正しいスキンケアの見直しが大切です。改めて、首の正しいスキンケアについて確認していきましょう。
首の洗い方!首はボディーソープで洗う?洗顔石鹸?
首ニキビに悩んでいる方は、ボディーソープではなく洗顔料を使用して首を洗うことをお勧めします。首の皮膚は顔の皮膚と同様に薄く敏感であり、ボディーソープでは洗浄力が強すぎて必要な皮脂まで取り除いてしまう可能性があります。
洗顔料は顔の皮膚に合わせて開発されているため、適度な洗浄力で汚れや余分な皮脂を取り除きながら、肌に必要な潤いは残してくれます。特に敏感肌用やニキビ肌用の洗顔料は、首の繊細な皮膚にも適しています。洗顔時は首も一緒に洗う習慣をつけることで、効率的かつ効果的なスキンケアが可能になります。
首の洗い方は、ゴシゴシ擦るのではなく、泡で“包み込むように”洗うのが基本。刺激の少ない洗顔料をよく泡立てて優しく洗います。この際、洗うというよりもパックする意識で行うと、肌への摩擦を最小限にすることで、炎症や悪化を防ぐことができます。

首を洗うタイミング
首は顔と同じく皮膚が薄くデリケートなため、洗うタイミングにも注意が必要です。おすすめの順番は「髪→体→顔・首」。シャンプーやトリートメントを先に洗い流すことで、首に成分が残りにくくなり、刺激や詰まりのリスクを減らせます。
体を洗う際に使うボディーソープが首に残ることもあるため、その後に洗顔料で首を丁寧に洗うことが大切です。首の皮膚は汗や皮脂がたまりやすい一方で、意外と洗い残しが起こりやすい場所。特にうなじや髪の生え際、耳の後ろなども忘れずに、やさしく泡で包み込むように洗いましょう。
洗浄後は、こすらずにやさしくタオルで水分を拭き取ります。肌への摩擦を避けるため、ゴシゴシと拭かないことがポイントです。肌が敏感な方は、ガーゼタオルやオーガニックコットン素材のものを選ぶと安心です。
首のスキンケア!化粧水や美容液は使用する?
化粧水や美容液の使用についても、首ニキビがある場合は積極的に取り入れることをお勧めします。洗浄後の肌は乾燥しやすく、乾燥は皮脂の過剰分泌を引き起こします。ノンコメドジェニック処方の化粧水や乳液を使用し、首全体に薄く均等に伸ばします。
顔に化粧水をつける際は、そのまま首まで伸ばして使用しましょう。首に使用する化粧水は、顔と同じものを使用して問題ありません。ただし、アルコール系の収れん化粧水は刺激が強いため、敏感になっている首の皮膚には避けた方が無難です。香料や防腐剤を未使用の無添加処方の化粧水を選ぶと、首の皮膚の水分バランスを整えることができます。

美容液については、ニキビケア用の成分が配合されたものを選ぶとより効果的です。サリチル酸やナイアシンアミド配合の美容液は、毛穴の詰まりを改善し、炎症を抑制する効果が期待できます。ただし、これらの成分は肌に刺激を与える場合があるため、使用前にパッチテストを行い、少量から始めることが大切です。
首のスキンケア後の注意点
首のスキンケアで注意すべき点は、顔よりも汗をかきやすく、衣類との摩擦にさらされやすいということです。そのため、朝のスキンケア後は完全に乾いてから衣類を着用し、就寝前のスキンケアでは十分に肌に浸透させてから横になるようにしましょう。

首ニキビを防ぐ生活習慣
朝の洗顔時も首を洗う
人は夜寝ている間にも、首に沢山汗をかきます。朝の洗浄で、寝ている間に分泌された皮脂や汗を優しく取り除くと、より清潔な状態を保てます。朝の洗顔後は、顔と同じように首も保湿のスキンケアを忘れないようにしましょう。
髪を結ぶ
首ニキビ予防の観点では髪を結ぶことは非常に効果的です。髪をまとめて結ぶことで、髪の毛先が首に直接触れることを防げます。これにより摩擦や刺激を大幅に減らすことができ、既存のニキビの悪化を防ぎ、新たなニキビの発生も抑制できます。
また、髪をまとめることで首周りの通気性が向上し、汗や皮脂がこもりにくくなります。また、洗顔やスキンケア時に髪が邪魔にならず、より丁寧にケアできるようになります。ヘアスプレーやワックスなどのスタイリング剤が首に付着するリスクも軽減されます。
~髪をまとめる際の注意点~
- ポニーテールやお団子ヘアなど、首から髪を完全に離すスタイルを選ぶ
- ゴムやピンは清潔なものを使用し、定期的に交換する
- きつく結びすぎると頭皮への負担となるため、適度な締め付けに留める
寝る時にナイトキャップを使用する
夜寝るときは特に重要で、髪をまとめて首に触れないようにしましょう。ナイトキャップの使用や、シルクの枕カバーを使用することで、髪と首の摩擦をさらに減らすことができます。
ニキビパッチを活用する
ニキビが悪化する大きな要因の一つは、手で触って刺激を与えてしまうことです。無意識に首を触る癖を持っている人も多いです。触らないように注意することももちろん大切ですが、手を常に清潔にすること、爪を短くしておくことも対策の一つです。
この時、ニキビパッチなどをしておくと、そういった無意識の触り癖による刺激からニキビをカバーすることが可能です。

首ニキビを繰り返さないために
首ニキビは、摩擦や汗、洗い残し、スキンケア不足など、日常のちょっとした習慣が原因で繰り返しやすいトラブルです。首の皮膚は顔と同様にデリケートなため、洗い方や保湿、ヘアスタイルや寝具の素材選びまで、少しの工夫で大きな変化が生まれます。慢性的な首ニキビに悩む場合は、生活習慣とスキンケアの見直しに加え、専門医の診察も検討してみてください。日々の丁寧なケアが、美しく健やかな首元を守る第一歩です。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。





