藤東クリニックお悩み相談室~恥垢について~
「恥垢」がデリケートゾーンのにおいの原因になると聞きました。恥垢とは具体的に何なのでしょうか?どうしたら恥垢がたまりにくくなりますか?
恥垢とは
恥垢は、主に皮脂腺から分泌される皮脂と、古くなった表皮細胞(垢)、汗などが混ざり合ってできる生理的な分泌物です。人体にとって本来は皮膚を保護する役割があり、皮膚のバリア機能を維持する上で重要な要素の一つとされています。
その成分は、脂質(皮脂)が約50%、タンパク質(古い角質層)が約25%、その他水分や無機物で構成されています。特に思春期以降は、性ホルモンの影響で皮脂の分泌量が増加するため、恥垢が気になりやすくなる人が多いようです。
女性のデリケートゾーンの垢も、男性のペニスや包皮にたまる垢も、同じように「恥垢」と呼びます。
恥垢が発生する原因
毎日頭をあらわないと頭髪にふけが付着した状態になるように、恥垢は特別なことをしなくても新陳代謝により毎日発生します。大切なのは恥垢を毎日の風呂で適切に洗浄することです。
ただし、皮脂の分泌が過剰になる要因がそろったり、通気性の悪い環境や不適切な衛生管理が重なると、より多くの恥垢が蓄積される結果となります。例えば、男性器が包皮に包まれた状態の男性(包茎の男性)は、より恥垢がたまりやすいと言われており、丁寧な洗浄が推奨されます。
恥垢は臭いの原因になる?
恥垢自体は無臭ですが、蓄積された状態で細菌が繁殖することで、特徴的な臭いの原因となります。特にアポクリン腺から分泌される汗に含まれる有機物が、皮膚常在菌によって分解されることで、短鎖脂肪酸やアンモニア様物質などの臭気成分が生成されます。
この臭いの強さは、清潔状態、体質、食生活、ストレス状態などによって個人差があります。また、蒸れやすい環境は細菌の繁殖を促進するため、通気性の良い衣類の選択や、定期的な清潔保持が臭い予防の重要なポイントとなります。
もっと知りたい「恥垢」について
恥垢がたまってしまう原因と対処法
恥垢がたまってしまう原因
恥垢がたまる大きな要因の一つが「正しい洗浄ができていない」ことにあります。例えば、次のようなことはないでしょうか。
- 水だけで洗っている
- 毎日洗っていない
- 洗浄力の強いボディソープで洗っている
- 刺激の強いボディタオルで洗っている
- 男性の場合、包皮をむいて洗っていない
まず、恥垢は前述の通り皮脂が主な成分のため、水だけでしっかり洗い流すのは困難です。一方で洗浄力の強いボディーソープでデリケートゾーンを洗おうとすると、しみてしまうことからしっかり洗わずに洗浄を終了させる癖がつき、汚れが落ち切らず残ってしまうこともあります。また、刺激の強いボディタオルも同様で、痛みを避けるために細かなところを丁寧に洗わずに終わってしまう要因の一つとなります。
恥垢がたまらないようにする対処法
恥垢をしっかり洗うためには、下記の点を注意しましょう
- 低刺激性の石鹸で洗う
- 手で細かい隙間まで、なでるようにして汚れを落とす
- 毎日洗う
例えば、自然派素材の石鹸でデリケートゾーンを泡パックすると、刺激を抑えながら恥垢などの汚れをすっきり洗い流すことできます。

恥垢がたまりにくい、デリケートゾーンの洗い方の手順
女性の洗い方
~洗い方の手順 女性編~
- お湯で予洗いをする
- 石鹸を泡立てる
- 泡を手に付け、手でデリケートゾーンをなでるように洗う
- 陰核の包皮やアンダーヘアの根本、肛門などの溝や隠れている部分を指の腹で丁寧に洗浄する
- 3分ほど泡パックをする(その間に体を洗っていてもOK)
- ぬるま湯を当て、再び指で優しくなでるようにしながら泡を洗い流す
男性の洗い方
~洗い方の手順 男性編~
- お湯で予洗いをする
- 仮性包茎の場合、包皮を下ろす
- 石鹸を泡立る
- 泡を手に付け、手でペニス全体や亀頭をなでるように洗う
- ペニスと睾丸の付け根、アンダーヘアの根本、肛門などの溝や隠れている部分を指の腹で丁寧に洗浄する
- 3分ほど泡パックをする(その間に体を洗っていてもOK)
- ぬるま湯を当て、再び指で優しくなでるようにしながら泡を洗い流す
- 包皮を戻す
包皮は無理に剝くとうっ血などの原因となるため、できる範囲で問題ありません。真性包茎の場合も、亀頭が完全に露出しなくても、剥けるところまでは剥いて洗うといいでしょう。

また、男女ともにデリケートゾーンに刺激や痛みを感じるようであれば、ソープの洗浄力が強すぎる可能性が高いです。より低刺激のソープを探して使用するようにしましょう。
石鹸のほかにも!デリケートゾーンのケアアイテム
保湿ジェル
これまで水でデリケートゾーンを洗っていた場合、ソープを使って洗うようになるとデリケートゾーンの乾燥を感じるようになる人もいるかもしれません。その場合は水での洗浄に戻すのではなく、お風呂上りに保湿することで乾燥を防ぐといいでしょう。
デリケートゾーンの保湿には、クリームよりも軽めのテクスチャの保湿ジェルがべたつきを感じにくくおすすめです。

デリケートゾーンに使えるウェットティッシュ
数日間デリケートゾーンが洗える石鹸で洗浄ができないというような、恥垢による臭いが気になってしまう環境になることもあると思います。その場合は、デリケートゾーンに使えるウェットティッシュでふき取るようにすると、大まかな恥垢の蓄積を防ぐことができます。
コンパクトなサイズであれば、旅行や入院、外出先での持ち歩き利用にも便利です。

恥垢は毎日正しく洗ってすっきり落とそう!
恥垢は自然と発生するもののため、大切なのは毎日丁寧に洗って蓄積を防ぐことです。雑な洗い方になってしまうと、細かな溝などに蓄積して、臭いの原因になることもあります。
男女別の正しい洗い方を確認して、日々のバスタイムに取り入れてみてください。また、正しい洗浄方法のほかにケアアイテムを合わせて使うことで、より快適なデリケートゾーンを手に入れることができるでしょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。