藤東クリニックお悩み相談室~ターンオーバーについて~
ターンオーバーを整える効果的な方法はありますか?また、炭酸パックは授乳中に使用しても問題ないでしょうか?
ターンオーバーとは
ターンオーバーとは、肌の細胞が生まれ変わるサイクルのことを指します。具体的には、皮膚の最下層で新しい細胞が作られ、それが徐々に表面に向かって押し上げられ、最終的に古い角質となって剥がれ落ちるまでの一連のプロセスです。
健康な肌では、このサイクルが約28日程度で行われています。しかし、年齢やストレス、生活習慣などの影響でこのサイクルが乱れることがあります。このサイクルが乱れると、健やかな肌の状態が失われていきます。
炭酸パックとは?
炭酸パックは、二酸化炭素を多く含んだジェルや泡を肌に塗布し、血行を促進する美容ケアアイテムです。この血行促進がターンオーバーを整えることにつながると言われており、現在人気が上昇しています。
炭酸パックの形態は様々で、二剤を混ぜてその場で炭酸を発生させるもの、水にぬらしたり肌に塗布したりすることで炭酸ガスが発生するもの、元々シートマスク状になっているものなどがあります。
炭酸パックは産後の授乳中などに使える?
炭酸パックは幅広い人に愛用されているアイテムです。妊娠中や授乳中で、ホームケアを充実させたい人もその中に含まれます。
肌本来の力を高めてくれる炭酸パックは、妊娠中や授乳中の方でも使用することができます。また産前、産後はエステサロンに行く時間を作ることが困難な人が多いもの。炭酸パックは自宅でもハイクオリティな美肌ケアをしたい人にも喜ばれています。
そのほかにも次のような悩みを持つ方に適しています。
~炭酸パックはこんな人におすすめ~
- 肌のくすみが気になる人
炭酸の血行促進効果により、肌のトーンが明るくなることが期待できます。 - ニキビ跡などの色素沈着が気になる人
血行が良くなることで、メラニンの生成を抑制し、色素沈着の改善に役立つ可能性があります。 - 皮脂が多く、つまりやべたつきが気になる人
炭酸の作用で余分な皮脂を取り除き、さっぱりとした肌感を得られます。 - 毛穴の開きが気になる人
血行促進効果により、毛穴の引き締めにつながることがあります。 - シミが気になる人
メラニンの生成抑制効果により、シミの改善や予防に役立つ可能性があります。
もっと知りたい「ターンオーバー」について
正常なターンオーバーとは
「ターンオーバーが乱れる」とは?
ターンオーバーが乱れると、一般的に下記のような肌のお悩みにつながることが多いです。反対に、下記のような悩みを感じていても、それがターンオーバーの乱れによるものだと気づいていない方も多いようです。
~ターンオーバーが乱れた肌の特徴~
- 肌のくすみ:
古い角質が肌表面に残りやすくなり、肌が暗く見えます。 - 毛穴の目立ち:
古い角質や皮脂が毛穴に詰まりやすくなります。 - シミやシワの増加:
新しい細胞の生成が遅くなることで、肌の再生力が低下し、シミやシワが目立ちやすくなります。 - ニキビや吹き出物の増加:
古い角質が溜まることで、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビや吹き出物ができやすくなります。 - 肌のハリや弾力の低下:
新しい細胞の生成が遅くなることで、肌のハリや弾力が失われやすくなります。 - 乾燥やかゆみ:
角質層の機能が低下し、肌の保湿力が落ちることで、乾燥やかゆみが生じやすくなります。
ターンオーバーが整うとどうなる?
普段の生活では、ターンオーバーが整っている状態とそうでない状態の違いを意識するのは難しいかもしれません。しかし、妊娠中の女性の体の変化を見ると、その違いがよく分かります。
例えば、妊娠中はメラニンが生成されやすくなり、バストトップが黒くなるなどの変化が起こります。産後、ホルモンバランスが徐々に元に戻っていく過程で、バストトップの授乳している部位(赤ちゃんの舌が触れる部位)だけが他の部位よりも早く元の色に戻る傾向があります。
これは、授乳による刺激で血行が促進され、古い角質も蓄積されにくくなるため、その部位のターンオーバーが他の部位よりも整った状態になっているからです。この例からも分かるように、ターンオーバーが整っているかどうかで、肌の状態はかなり異なります。
ターンオーバーが整っていないこと自体に気づかず、整えたらもっと理想の肌に近づけるという方も実は多いです。肌のターンオーバーを整えるには、継続的なケアが重要です。炭酸パックは、そのようなケアの一つとして効果的な選択肢といえます。
炭酸パックのメカニズム
炭酸パックの「炭酸」とは?
炭酸パックに含まれる炭酸ガスは、実は二酸化炭素(CO2)と同じものです。二酸化炭素には、肌にとって嬉しい特性がいくつかあります。
~炭酸パックに使われている二酸化炭素の特徴~
- タンパク質を吸着する性質がある
- 肌から吸収されやすい
- ボーア効果
まず、炭酸ガスはタンパク質を吸着する性質があります。これにより、肌表面の過剰な皮脂や古い角質を除去することができます。
次に、二酸化炭素は分子が小さいため、肌から吸収されやすいという特徴があります。炭酸ガスが血管に吸収されると、血液内の二酸化炭素濃度が増加し、それに応じて血管が拡張します。これにより血流が改善されます。
さらに二酸化炭素はボーア効果と呼ばれる現象を起こします。血液中の二酸化炭素濃度が上がると、逆説的に細胞が酸素を取り込みやすくなるのです。つまり、炭酸パックは肌の細胞に酸素を届けやすくする効果があるということです。
これらの作用は顔だけでなく、ボディにも有効です。ボディ用の炭酸パックも存在し、全身の血流改善やむくみの解消に役立ちます。
ターンオーバーと血行の関係
血行が促進されると、どうして肌にメリットがあるのでしょうか。それは肌の血行が促進されることで、肌のターンオーバー(細胞の新陳代謝)の乱れが整うからです。
ターンオーバーの乱れは、ストレスや不規則な生活、加齢などによっても引き起こされます。乱れると、古い角質が肌に残りやすくなったり、新しい細胞の生成が遅くなったりして、肌トラブルの原因となります。
炭酸パックの種類と特徴
(1)二剤混合タイプ
炭酸パックで最も一般的で種類が多いのは、二剤混合タイプです。主に下記のような特徴があります。
~二剤混合タイプの炭酸パックの特徴~
- プラスアルファの美容成分などの、選択肢の幅が広い
- より新鮮な炭酸ガスを発生させられる
- シートマスクタイプなどと比べ、炭酸の発生率が高く、高濃度の場合が多い
- 炭酸=泡ではなく、ジェルタイプもある
二剤混合タイプの炭酸パックは、2種類のパウチの中身をトレイに出して混ぜるため、使う前にひと手間必要かかります。しかし、その分炭酸の発生率が高く、長時間炭酸が発生します。炭酸パックというと、泡を顔で覆うイメージをする方が多いかもしれませんが、炭酸=泡ではありません。炭酸水が透明の液体であるように、炭酸ガスを含んだ半透明のジェルタイプのものもあり、泡とは違って液だれしない点が魅力です。塗布した状態で20~60分ほど自由に過ごし、二酸化炭素を浸透させます。
洗い流しタイプはジェルをぬぐってから洗顔するなどさらに手間と時間がかかるため、二剤タイプでもなるべく時間を短縮したい方、手間を減らしたい方は『固まってはがせるタイプ』の炭酸パックがおすすめです。
また炭酸パックは炭酸が外に放出される際に肌表面に「パチパチ」という刺激を感じます。固まるタイプはジェルの中に炭酸がとどまるため、パチパチという刺激を感じにくいというメリットもあります。
(2)一剤タイプ
一剤タイプは比較的新しく開発されたタイプの炭酸パックです。下記のような特徴があります。
~一剤タイプの炭酸パックの特徴~
- 仕事が忙しい時期や産後など、混ぜる手間が惜しい人も手軽に使える
- 炭酸の発生時間が約10分と短い(二剤混合タイプは60分以上炭酸が発生するものもある)
- 種類はまだあまり多くない
一剤タイプは、パウチを開封する前は炭酸が発生する前の状態です。肌の上で発泡するため、パック中に顔に泡が載った状態となって動きづらいという人もいるようです。
一剤タイプの炭酸パックは、およそ10分の炭酸発生時間となります。そのため、炭酸パックしている時間も5~10分で、10分程度したら洗い流します。
(3)スプレータイプ
スプレータイプの炭酸パックは、泡の状態でスプレー缶に入っています。特徴は以下の通りです。
~スプレータイプの炭酸パックの特徴~
- 混ぜる手間が無く、手に出して顔に塗るだけでいい
- ものによっては泡が垂れてくることがある
- 配合成分がフレッシュな状態でキープできる
一剤式や二剤式の炭酸パックは、1回分ごとに個別に包装されています。一方スプレータイプは複数回分が一つの容器に入っているため、開封してから3か月以内程度で使い切ることを目安にするといいでしょう。
泡タイプでも洗い流しの必要なものと洗い流しが不要なものの二種類があり、泡立てに石鹸に使われる成分を使っているタイプのものは洗い流しが必要になります。美容液成分のみで作られた洗い流し不要なタイプは、塗布をしたあとは時間を気にせず過ごすことができて、多忙な方や夜すぐに眠りたい方などにおすすめです。
またスプレータイプの場合は、吐出材としてLPガスを使用している商品もあります。もし気になる場合はスプレータイプ以外のものを使用するか、スプレータイプでも噴射剤が二酸化炭素のみのものを選ぶといいでしょう。
また二酸化炭素のみのスプレータイプのアイテムは、手に出さずに顔に直接塗布することも可能です。
(4)シートマスクタイプ
シートマスクタイプの炭酸パックは、スプレータイプ同様、使い方が簡単で人気があります。
シートで顔全体を覆うため、塗布に時間がかからないこと、塗布ムラが起きにくいことがメリットです。ものによってはシートの表側に炭酸の泡が沢山発生し、肌側であまり発泡感を感じないという感想をもつ人もいるようです。
炭酸パックと一緒におすすめのターンオーバーケア
炭酸パックの効果を最大限に引き出すために、他のターンオーバーを整えるケアと組み合わせるのが効果的です。ここでは、炭酸パックと相性の良い2つのケアアイテムを紹介します。
(1)泡パックができる石鹸
肌のターンオーバーを整えるケアとして効果的なのは、パックだけではありません。日頃の洗顔でしっかりと古い角質を洗い流すこともとても大切です。
低刺激性の石鹸で泡パックのケアをすることで、古い角質の元をすっきり洗い流すのも肌のターンオーバーを整えることにつながります。
(2)保湿ジェル
肌のターンオーバーを整えるには、保湿もとても重要です。潤いが不足すると、バリア機能が低下しメラニンを生成しやすくなるというデメリットもあります。朝の洗顔や夜のパックのあとに、美容成分を配合した保湿ジェルでしっかり保湿をするようにしましょう。
ターンオーバーの乱れを整える炭酸パック
炭酸パックは、二酸化炭素の力を活用した手軽で安全性の高い美容ケアアイテムです。血行促進、ターンオーバー改善、メラニン生成抑制など、多彩な効果で幅広い肌の悩みに対応します。
妊娠中や授乳中の方も安心して使える低刺激性が特徴で、自宅でも高品質な美肌ケアを継続したいときに適しています。二剤混合、一剤、スプレー、シートマスクなど、様々なタイプがあるので、ライフスタイルに合わせてとりいれていくといいでしょう。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。