産後の性行為はいつからできる?再開時期と注意点

藤東クリニックお悩み相談室~産後の性行為について~

 
質問者

夫は比較的性欲が強いタイプで、妊娠中でも時々性行為を行っています。産後も変わらずに求めてくる可能性があると思っています。産後の性行為はいつ頃再開してもいいのでしょうか?

 

 
藤東先生
今回は産後の性行為について解説しましょう!

産後の性行為はいつから再開してもいい?

産後の女性の体は大きなダメージを受けているため、最低でも1か月は挿入を伴う性行為を避けるべきです。通常、産後1か月頃に検診があることが多く、そこで主治医の許可が下りれば性行為を再開しても構いません。

産後の性行為

しかし、子宮のダメージが大きい場合は、産後1か月では性行為の許可が下りないこともあります。また、経腟分娩ではなく帝王切開の場合は、子宮と腟の回復にはさらに時間がかかることがあり、腟だけでなく腹部の傷の回復にも配慮が必要です。そのため、性行為は急がない方が良いでしょう。

産後すぐの性行為はなぜNG?

産後は、子宮から胎盤がはがれたことで出血しており、雑菌が入りやすく感染症のリスクが高くなっています。また、赤ちゃんが産道を通る際にも大きなダメージを受けているため、産後すぐの性行為では快感を得るどころか痛みを感じることが多いです。

さらに、出産による体力の消耗や睡眠不足、子供の成長に対する不安などから、性行為を楽しむ体調や心理状態になっていないこともよくあります。無理に愛撫や挿入を行うと、出産時の痛みを思い出してトラウマとなることもあります。

男性側は「出産後だから大丈夫」「体が回復しているから性行為はできる」と単純に考えず、女性の体調や感情に寄り添うことが大切です。女性側も夫婦のコミュニケーションの一環として「応じなければいけない」と無理をする必要はありません。

産後の性行為再開の目安とは?

産後の性行為

出産後、性行為を再開できる目安はおよそ1か月です。産後の「1か月検診」で主治医が悪露や傷の回復状態を確認し、問題ないと判断されれば、再開できます。以下の目安チェックシートを参考に、性行為を再開できるか確認してみてください。

~産後の性行為再開の目安チェックシート~
  • 産後1か月ほど経過
  • 主治医から性行為再開の許可が出ている
  • 悪露や会陰切開後の傷の回復が良好
  • 腟や子宮に痛みを感じない
  • 睡眠、食事、休息が十分に取れている
  • 女性側が性交を望んでいる
  • 性行為に集中できる環境が整っている

無理に産後の性行為を行うと、性行為に嫌悪感を持ち、トラウマになることがあります。その結果、夫婦の時間を楽しめなくなるかもしれません。

産後はホルモンバランスの乱れで性欲が減ったり、気持ちが不安定になったりします。男性は女性の心身に配慮し、一方的に性行為を求めないようにしましょう。性欲の解消のために、無理にオーラルを求めるのもNGです。

一方で長期間、性行為をしないままでいると、再開のきっかけをつかむのが難しくなりそのままセックスレスにというケースもあります。性行為はただ子作りや性欲解消のためだけでなく、互いの愛情を感じ、精神的なつながりを深める行為でもあります。夫婦で話し合い、互いの気持ちを確かめることが大切です。

心と体の余裕が出てくる産後半年から1年半の間に、性行為の再開にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。

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もっと知りたい!「産後の性行為」について

産後の女性の体は、どんな状態?

(1)子宮

妊娠中、子宮には胎盤がついた状態ですが、出産時には胎盤がはがれます。この部分は出血し、感染症にかかりやすい状態となります。出血を抑えるために子宮が収縮し、痛みを感じることもあります。

経腟分娩では、子宮が元の大きさに戻るのに6~8週間かかりますが、帝王切開では子宮を直接メスで切るため、回復にはさらに時間が必要です。通常、3か月後ほどで子宮の大きさが元に戻ります。

性行為では子宮に負担をかけるため、回復前は避ける必要があります。

(2)腟 ・腟口(会陰)

産後には、子宮内から「悪露(おろ)」と呼ばれる血液や分泌液が排出されます。悪露は通常1か月ほどで排出が終わりますが、うまく排出されない場合は手術が必要になることもあります。

また、経腟分娩では会陰切開を行い、腟の入り口を切って広げて出産することが多いです。切られた部分の回復状況や痛みにより、産後の性行為での挿入や行為自体に恐怖を感じることがあります。

(3)バスト

産後に母乳授乳をしている場合、バストは特にデリケートになります。授乳によって乳頭の皮が剥けることがあり、クリームでの保護が必要な場合も少なくありません。

乳頭の傷からバイ菌が入りやすく、乳腺が詰まると乳腺炎になり、強い痛みや発熱を引き起こすこともあります。産後のバストはとてもデリケートで、清潔を保つことが重要です。妊娠前と同じように扱うことは避けましょう。

産後の性行為の注意点

(1)バストの愛撫は慎重に

母乳で授乳しているとバストに張りがあり、愛撫されると違和感や痛みを感じることがあります。また、母乳が出る様子を見られることや、そもそも授乳に使うバストを夫に口で愛撫されることなどに、抵抗感を感じることもあります。

バストへの愛撫は慎重に行い、必要に応じて服の上から軽く触れる程度にとどめましょう。

(2)最初は指などでしっかりと慣らす

妊娠から産後までを含めた長期間、性行為をしていないと、久々に再開した際に腟口に痛みを感じるという人も少なくありません。

まずは、できるだけ前戯に時間をかけ、しっかりとほぐしましょう。指などで優しく愛撫をして、慣らすことが重要です。

(3)最初から挿入を目的としない

産後の最初の性行為では、いきなり挿入を目指さず、まずは抵抗感なくスキンシップをとることを優先しましょう。初回では指や性器の挿入までいかず、愛撫のみで終わっても問題ないという意識を共有することが大切です。

(4)潤いを補うアイテムを用意する

産後の女性は、ホルモンバランスの変化により、以前よりも腟の分泌液が減少するため、性行為で痛みを感じやすくなります。

腟のうるおい不足が気になる場合は、潤滑ジェルを使用するのも一つの手です。挿入時のすべりにこだわったみずみずしい使用感の潤滑ジェルがおすすめです。無香料・無着色で違和感なく使えるものを取り入れるといいでしょう。

腟の潤い不足を補うことのできる潤滑ジェルの例。画像は「ラブスライド(ラブコスメ)」

(5)妊娠を望まない場合はコンドームを着用

産後に生理が再開するまでの期間は人それぞれです。3か月で再開する人もいれば、1年以上も再開しない人もいます。生理が再開していなくても、性行為を行った直後に排卵が起こる可能性もあります。

妊娠を望まない場合は、コンドームを着用しましょう。男性側は排卵の状況を把握しきれいないこともあるので、女性側がコンドームを用意しておくといいでしょう。女性でも手に取りやすい可愛いデザインのコンドームもあります。

女性でも手に取りやすいデザインのコンドームの例。画像は「ラブミルフィーユ ホットタイム(ラブコスメ)」

(6)激しいピストンは避ける

産後の久々の性行為では、激しいピストンは避けましょう。身体がまだ回復していなかったり、うるおいが不足していたりすると、激しい動きが腟を傷つけてしまう可能性があります。もし行為後に痛みが続く場合は、念のため婦人科の受診を考えましょう。

産後の性行為に前向きになるポイントとは?

(1)睡眠時間と休息がしっかりとれている

出産で母体は大きなダメージを受けます。さらに夜間の授乳などで睡眠不足になりやすいため、まずは十分な休息と睡眠を確保することが大切です。男性は育児に積極的に参加し、女性がリフレッシュできる時間をつくるよう努めましょう。

(2)夫に対して愛情を感じられる

産後は、ホルモンバランスの変化で性欲を感じにくくなることがあります。そのため、夫からのキスやハグといった甘い愛情表現よりも、体調を気にかけてくれたり、育児に協力する頼もしい姿に愛情を感じることがあります。

恋愛的な愛情表現よりも家族への愛情を示すことで、再び親密な時間を持ちたいという気持ちが蘇ることも多いことを留意しておきましょう。

(3)性行為以外の親密なスキンシップ

ハグやキス、手をつなぐなど、性行為以外の親密なスキンシップを大切にすることで、絆を深めることができます。これにより、性行為に対するプレッシャーが軽減され、自然と前向きな気持ちが湧いてくることがあります。

産後の体のコンプレックスケアに使えるアイテム

産後の女性の体は様々な変化があります。そのことが原因で産後の裸を見られたくないと感じ、性行為に積極的になれない人もいます。そのようなときは、自宅でも使える産後の体のケアアイテムを取り入れてみるといいでしょう。

バストトップや脇の黒ずみ

妊娠中は、皮膚を強くするためにホルモンの影響でメラニンが増えやすいと言われています。そのため皮膚にメラニン色素が沈着し、バストトップや脇の黒ずみが目立つようになります。

通常は産後しばらくすると、肌のターンオーバーによって自然に回復しますが、なるべくスムーズに元の状態に近づきたい場合は、古い角質を洗い流すことができる黒ずみ集中ケア石鹸で泡パックしてみるといいでしょう。

古い角質を愛ら流すことができる石鹸の例。画像は「LC’Sジャムウ・ハードバブル(ラブコスメ)」

体臭が以前より強くなった気がする

産後はホルモンバランスが変わり、汗腺の機能がうまく働かなくなることがあります。その結果、「産褥期多汗(さんじょくきたかん)」と呼ばれる、いつもより汗をかきやすい状態になり、体臭の原因になります。

体臭が気になる場合は、脇やデリケートゾーンの臭いの元※をしっかり洗い流すためにジャムウ成分配合の自然派石鹸で泡パックするのもいいでしょう。

※古い角質や汚れのこと

においの元を洗い流すことのできる石鹸の例。画像は「LC’Sジャムウ・ハーバルソープ(ラブコスメ)」

産後の性行為再開は、体だけでなく心の準備も大切に

産後の性行為は、女性の体が回復するまでの時間と医師の許可が必要です。たとえ体が回復していても、精神的な負担や環境が整っていない場合は、性行為は避けましょう。男性は女性の体調や感情に寄り添い、無理をせずスキンシップから始めることが大切です。

性行為を再開する際には、潤滑ジェルなどのアイテムを活用し、慎重に進めることを心がけましょう。産後の体のケアを大切にし、夫婦で協力して愛情を深める時間を持ってください。

※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。

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