藤東クリニックお悩み相談~鎖骨の役割やケア方法について~
「鎖骨」の位置について
鎖骨は、体の前面にあり、首と肩を結ぶ骨の一つです。左右の鎖骨は、それぞれ胸骨と肩甲骨と繋がっています。鎖骨は、胸郭の一部にあたり、肩の安定性に貢献しています。通常、首の根本から肩にかけて、複数の筋肉や靭帯とくっついた状態で存在しています。
鎖骨が無い、というのはあくまでも鎖骨があるように見えないということで、実際にない人はいません。鎖骨が目立つ人と目立たない人の違いは、骨格や姿勢の癖、脂肪のつき方が要因として挙げられます。
リンパ腺とリンパ節の位置について
「鎖骨にリンパ節がある」というのは正確ではなく、正しくはリンパ節は全身に分布しており、「鎖骨と皮膚の間にもリンパ節が存在している」形になります。鎖骨リンパは左右の鎖骨それぞれの近くに合計2か所あり、右のリンパ節を「右静脈角」、左のリンパ節を「左静脈角」と呼びます。
リンパ節は身体の色々な部分に分布していて、全部で600個以上とも言われています。鎖骨以外にリンパ節が集中している部位は「首(耳の後ろや耳下腺の下)」「脇の下」「胸部」「鼠径部」等が挙げられます。
リンパ節を流すとむくみが取れる?
リンパ節は体内の異物や老廃物を濾過・除去する役割を持っています。そのため、リンパ管の中には日常的に老廃物を含んだリンパ液が流れています。
マッサージでリンパ節を流すとむくみがとれる、というのはこのリンパ節の流れが老廃物が溜まることによって滞ることからきています。代謝によって生まれた体中の余分な水分はリンパ管を通って回収され、体外に排出されます。リンパ管の流れが滞ると、この水分を回収して排出する機能が弱まり、むくみにつながります。
血液が心臓によって全身をめぐるのに対し、リンパ液は筋肉の収縮や呼吸の圧力の変化などにより、とてもゆっくりとした速度(約5mm/s)で流れているとされています。ゆっくりめぐっている分、血液よりも滞りやすくなります。
特にリンパ液は最終的に鎖骨のリンパ管を通ってその深部にある静脈に流れ込み、腎臓で濾過されて尿として排出されます。そのため鎖骨のリンパの流れは、むくみ防止に特に重要であるといわれています。
ただし、むやみにリンパを刺激しても老廃物の排出やむくみの除去には繋がりません。きちんとしたリンパドレナージュの技術が必要なので注意が必要です。
もっと知りたい!鎖骨の役割やケア方法について
小顔効果も!鎖骨を目立たせるマッサージ方法
(1)耳下のリンパを流す
まず、リンパ管は繋がっているので、鎖骨周辺の流れだけを改善しても最大の効果は得られません。鎖骨リンパのマッサージの前に、隣接している耳下など周辺のリンパの流れも改善していきましょう。
具体的にはまず耳の下に四本の指をあて、肩先と鎖骨に向けて1分ほど撫でるように指を滑らせます。リンパ管をつぶしてしまってもよくないため、軽く撫でるくらいの強さが適切です。これを左右両方で行います。
なお、マッサージをする際は乾いた状態で行うと皮膚に負担がかかるため、ボディジェルを付けて滑りをよくした状態で行いましょう。
(2)鎖骨の手前のリンパ節を押す
次に鎖骨のくぼみに沿って4か所の点を内側から順番にプッシュすることで、リンパ節の詰まりを解消します。
プッシュした場所のうち痛みやコリを感じる場所があれば、そこを中指で抑えた状態で小さく首を左右に5回振ります。
(3)デコルテ上部のリンパを流す
左手の四本の指を右肩から左脇に向かって滑らせます。次に右手の四本の指を、左肩から右脇に向かって滑らせます。このようにデコルテに×を描くマッサージを1分ほど実施してください。
(4)お風呂に入って体を温める
マッサージのあとは、リンパの流れが良くなっているので、身体を温めるとよりマッサージの効果が得られやすくなります。水分をしっかりとってから、お風呂に入って体を温めるといいでしょう。
むくみ以外にも!鎖骨が見えにくくなる要因とケア方法
骨格
鎖骨が浮き上がって見えるかどうかは、骨格タイプによっても異なるといわれています。骨格タイプとは、人間の骨格を特徴別に「ウェーブ」「ナチュラル」「ストレート」の3つに分類する方法で、ファッションのコーディネートの参考に活用することなどができます。
骨格別にみると、主に骨格ストレートの人は鎖骨があまり目立たず、骨格ナチュラルタイプの人は鎖骨が目立ちやすいと言われています。
肥満
鎖骨が見えにくくなる要因の一つに肥満も挙げられます。以前は鎖骨が目立っていたのに目立たなくなったという方は、以前よりも肩回りの脂肪が増えている可能性があります。
肩回りは血行が悪くなることにより余分な脂肪が付きやすくなります。普段から肩の血流が悪くならないよう、ストレッチを定期的に行う習慣をとりいれるといいでしょう。
姿勢不良
肩が内巻きの状態になると鎖骨が目立たなくなります。特に長時間のスマホやパソコン作業は、画面を顔に近づけようと前傾姿勢が多くなり、巻き肩を悪化させます。日ごろからスマホやパソコンを使用する際に、肩が前に出た前傾姿勢になってしまっていないか注意しましょう。
マッサージ以外にも!鎖骨を目立たせる方法
姿勢改善
先ほど長時間の姿勢不良が肩の内巻きに繋がるという説明をしましたが、他にも「腹筋や大胸筋と背筋のバランスが取れていない」ことが原因として挙げられます。背筋が弱いと内巻きになってしまうので、肩が内巻きの方は背筋を鍛えることをお勧めします。
うつぶせになって後で手を組み、後に反る運動を1回1セットとして3セット実施しましょう。背筋の筋力がアップして前方の引っ張る力とのバランスがとれて、肩の内巻きを改善することができます。
鎖骨の印影を強調するデコルテメイク
骨格上鎖骨が目立たない方は、トレーニングではなくメイクを取り入れる方法もあります。鎖骨が目立つのはくぼみの印影によるものが大きいです。そのためデコルテに印影を作ることができるメイクをすれば、鎖骨の目立つ美しいデコルテを演出することができます。
鎖骨がない!と思ったら、マッサージやメイクを試そう
鎖骨付近にはリンパ節があり、リンパのマッサージによってむくみをとることで実際に鎖骨が目立つようになったり、小顔効果を実感できることがあります。ただし、むやみに力をいれてマッサージをしてもむくみは取れません。リンパは皮膚のすぐ下に通っているものも多いため、優しく撫でたりかるく圧迫するだけで、滞りを改善することができます。
しかしむくみではなくても、骨格や姿勢不良が原因で鎖骨がないように見えてしまう人もいます。その場合は筋力強化で姿勢改善をしたり、メイクアイテムを使ってみるのもいい方法です。
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。