妊娠の初期症状とは?出始める時期・生理前との違い・気をつけること

妊娠初期にはさまざまな症状が見られます。早い段階で妊娠に気づくためにも、どのような症状があるかを把握しておきましょう。

本記事では、妊娠の初期症状・出始める時期・生理との違いなどについて紹介します。また、初期症状が出た後の流れや妊娠初期に気をつけることも紹介しますので、ぜひ参考として内容をご確認ください。

妊娠初期に見られる代表的な症状

妊娠を希望していて、普段と体調が違ったら、妊娠の初期症状かもしれません。妊娠で見られる初期症状には次のようなものがあります。

  • 生理の遅れ
  • 下腹部痛
  • 少量の出血
  • おりものの増加
  • 腰痛
  • 吐き気・胃部の不快感
  • たるさ・眠気
  • 頻尿・便秘
  • 胸の張り
  • イライラする

ただし個人差が大きく、まったく症状が出ないというかたもいます。

それぞれについて解説しますので、内容をチェックしてみましょう。

生理の遅れ

代表的な初期症状のひとつが、生理の遅れです。普段は生理周期が安定しているのに遅れが出るようなら、妊娠の可能性があります。

生理が起こらなくなるのは、受精卵の着床によって子宮内膜が剥がれる必要がなくなるためです。ただし、強いストレスやダイエットの影響で生理が遅れる場合もあります。

予定日から1週間以上遅れるようなら、妊娠検査薬を使って調べてみるとよいでしょう。

下腹部痛

妊娠の初期症状には、下腹部痛もあります。下腹部に痛みが出るのは、妊娠によって子宮が収縮を繰り返して大きくなるためです。妊娠による下腹部痛は、生理痛にも似ています。

ホルモンバランスが乱れて胃腸の働きが弱まり、下腹部が痛む場合もあるでしょう。生理痛に似た痛みが続いても予定日に生理がないようなら、妊娠している可能性があります。

少量の出血

出血も、妊娠による代表的な初期症状です。受精卵が着床すると、「着床出血」と呼ばれる少量の出血が起こることがあります。

着床出血の量は人それぞれです。個人差はありますが、出血は1~2程度で落ち着きます。病気で出血する場合もありますので、出血が見られたら医療機関で相談してみましょう。

おりものの増加

妊娠の初期症状で、おりものが増加する場合もあります。子宮頸部や子宮内膜などから排出される酸性の分泌物が「おりもの」です。おりものには、雑菌が子宮に侵入するのを防ぐ役割があります。

妊娠によっておりものが増えるのは、子宮を守るためです。妊娠初期のおりものは粘り気がなくなり、色の変化が見られます。

腰痛

腰痛も、妊娠初期に多く見られる症状です。妊娠すると、「リラキシン」というホルモンが分泌されるようになります。リラキシンは、骨盤を緩くする働きを持つホルモンです。

リラキシンの分泌によって骨盤まわりの筋肉に負担がかかると、生理痛のときに似た腰痛が起こる場合があります。

吐き気・胃部の不快感

妊娠初期によく見られる症状が、つわりです。つわりでは、次のような症状が出る場合があります。

  • 吐き気がする
  • 胃部に不快感がある
  • においに敏感になる

どのくらいの期間つわりが続くかは、人によって違うものです。まったく食べられなくなるかただけでなく、常に何か食べていないと気分が悪くなるかたもいます。

だるさ・眠気

生理前と同じように、妊娠でもだるさや眠気などの症状が出ます。だるさ・眠気が起こるのは、妊娠によってプロゲステロンが分泌されるためです。プロゲステロンには、妊娠を維持させたり、体温を上げたりする働きがあります。

  • だるくて動きたくない
  • 寝ても眠気が取れない

上記のような症状が出ているなら、妊娠の可能性があります。

頻尿・便秘

妊娠初期は、頻尿になることがあります。頻尿になるのは、ホルモンの働きで膀胱付近の筋肉が緩むためです。

妊娠初期から始まる頻尿は、妊娠中期以降も続きます。妊娠中期以降に頻尿の症状が出る理由は、大きくなった子宮に膀胱が圧迫されるためです。

また、ホルモンの働きやつわりによる食事の偏りなどの影響によって、便秘になるかたもいます。

胸の張り

妊娠では、胸の張りもおもな症状のひとつです。妊娠すると、プロゲステロンの影響で乳腺が刺激され、胸が張ります。

乳腺が刺激されるのは、母乳を作る準備をするためです。ただし、胸の張りは生理前にも起こる症状であるため、違いを見わけるのは難しいでしょう。

イライラする

妊娠すると、気分にも変化が出ます。

  • イライラする
  • 不安を感じる

イライラや不安を感じるのは、妊娠によってホルモンバランスが変化するためです。妊娠前は気にならなかったようなことに対しても、イライラすることがあるでしょう。

強いイライラや不安も、妊娠中期になると落ち着いてきます。胎児に影響を与えないためにも、なるべく気分転換をしてリラックスできるよう意識してみてください。

妊娠の初期症状が出始める時期

妊娠の初期症状が出始める時期は、早くて妊娠3週ごろからです。いつから初期症状が出るかは個人差があります。

「妊娠しているのかも」と気づくかたが多いのは、妊娠4~5週です。ただし、まったく症状が出ず、なかなか気づかないかたも多い傾向にあります。

  • 生理と似ている症状が出ているものの普段と違う
  • 普段の生理痛とは違う症状が出ている

そんなときは、妊娠の可能性を考慮しましょう。

妊娠初期と生理前の違い

妊娠初期に出る症状は、生理前に似ているものが多数あります。共通して見られる症状には次のようなものがあります。

  • 腰痛・下腹部痛
  • だるさ・眠気
  • 胸の張り
  • 頻尿・便秘
  • 出血

生理と妊娠のどちらなのか、わかりづらいことも多いでしょう。

明確な違いとして挙げられるものが、基礎体温です。生理の場合、2週間ずつ低温期と高温期が続きます。しかし、妊娠すると、生理予定日になっても高温期が続く仕組みです。

低温期に入るはずの時期でも体温が高いようなら、妊娠しているか調べてみましょう。

妊娠の初期症状が出たあとの流れ

高温期が続く・だるさや吐き気があるといった症状が出たら、妊娠の初期症状ではないか調べてみましょう。妊娠の可能性があるときの流れは以下のとおりです。

  1. 妊娠検査薬を使ってみる
  2. 病院へ行く

2つの方法について、それぞれ見ていきましょう。

妊娠検査薬を使ってみる

妊娠の可能性があるのなら、妊娠検査薬を使って調べる方法があります。調べるタイミングは、生理予定日から1週間後です。妊娠している場合、生理予定日から1週間くらい経過すると、検査薬で陽性反応が出ます。

妊娠検査薬で調べているのは、hCGと呼ばれるホルモンです。hCGは、妊娠していないときには産生されません。また、調べるタイミングが早すぎると陽性反応が出ませんので、注意してください。

使い方が正しい場合、妊娠検査薬の精度は99パーセント以上だとされています。

病院へ行く

妊娠検査薬で陽性反応が出たら、なるべく早い段階で病院を受診しましょう。気になる症状があるのなら、最初から病院を受診しても構いません。

検査薬で陽性反応が出たとしても、正常妊娠だとは限りません。そこで、早い段階で病院に行って検査を受ける方法がおすすめです。

妊娠しているかもしれないときに気をつけること

妊娠の可能性があるのなら、生活習慣や食生活に注意が必要です。胎児や母体の健康を守るためにも、以下に気をつけましょう。

  • お酒・煙草をやめる
  • カフェインを控える
  • 食事のバランスを見直す
  • ストレスを溜めない

4つの注意点について紹介しますので、ぜひご確認ください。

お酒・煙草をやめる

妊娠の可能性があるのなら、煙草やお酒をやめましょう。妊娠中のお酒は、胎児性アルコール・スペクトラム障害や早産、妊娠高血圧症候群などにつながります。特徴的な顔貌や、脳障害などを引き起こすのが、胎児性アルコール・スペクトラム障害です。

また、妊娠中の喫煙は血流が悪くなったり、胎児の発育不全につながったりするおそれがあります。

ただし、どのタイミングで妊娠するかはわかりません。そのため、妊娠を希望しているなら、なるべく早い段階でお酒や煙草をやめるようにしましょう。

胎児性アルコール・スペクトラム障害とは?

妊娠中の飲酒による胎児への影響を総称したものが、胎児性アルコール・スペクトラム障害です。飲酒量が多くなるほど、胎児性アルコール・スペクトラム障害のリスクが高くなります。

胎児性アルコール・スペクトラム障害は、現在のところ特に治療法がありません。ただし、妊娠中のアルコール摂取をやめることによって、予防は可能です。初期だけでなく、妊娠中を通して、アルコールの摂取は避ける必要があります。

「お酒をやめるのは難しい」と感じられるかもしれませんが、妊娠中のアルコール摂取はやめましょう。

カフェインを控える

妊娠している可能性があるなら、カフェインも控えましょう。カフェインの過剰摂取は、赤ちゃんが生まれるときの低体重につながるためです。また、カフェインには体を冷やす働きもあります。

英国食品基準庁によると、コーヒーなら1日2杯(カフェイン200グラム)までが目安です。完全にやめなくても大丈夫だとは思われますが、ノンカフェインの飲み物も取り入れてみましょう。

食事の栄養バランスを見直す

妊活を始めるなら、食事の栄養バランスを見直すことも大切です。妊娠中・妊活中は次のような栄養素をとることが推奨されています。

栄養素 多く含む食材
たんぱく質 牛もも肉・豚もも肉・鶏むね肉・鮭・かつお・牛乳・ヨーグルト など
葉酸 ほうれん草・アスパラガス・ブロッコリー・いちご・納豆 など
鉄分 わかさぎ・カキ・ほうれん草・シジミ など
カルシウム 牛乳・プロセスチーズ・ヨーグルト・木綿豆腐・納豆 など
食物繊維 ひじき・大豆・おから・アーモンド・キウイフルーツ・アボカド など

鉄分はレバーにも多く含まれていますが、ビタミンAが含まれているため、とりすぎに気をつける必要があります。レバー以外で鉄分を多くとるようにしましょう。

カルシウムは吸収率が低いため、マグネシウム・ビタミンC・ビタミンDと一緒にとる方法がおすすめです。

葉酸は妊娠中はもちろんのこと、妊娠前からの摂取が推奨されています。妊娠前・妊活中の葉酸摂取が、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低減できるとされているためです。

葉酸は妊娠期間を通して、非妊娠時よりたくさんの量が必要です。食事だけでは不足しがちなため、サプリの利用を厚生労働省からも推奨されています。

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ストレスを溜めない

妊娠しているかもしれないのなら、ストレスにも注意しましょう。妊娠初期のストレスは、胎児の発育に悪い影響をおよぼす可能性があるためです。

胎児は母体の血液から栄養や水分を摂取しています。しかし、母体にストレスがかかると、子宮に送られる血液量が減ってしまうのです。また、ストレスホルモンの分泌も胎児に影響します。

仕事や家事などによるストレスを完全になくすのは難しいでしょう。そこで、なるべくストレスを解消できるよう心がけることが大切です。

・余裕を持ってスケジュールを立てる

・家族や配偶者にサポートをお願いする

・毎日少しでも読書や映画鑑賞など趣味を楽しむ

・無理のない範囲で体を動かす

人によって合う方法は違いますが、ストレスの対策を行いましょう。

初期症状が見られたら妊娠の可能性

生理の遅れ・下腹部痛・出血などの初期症状が見られたら、妊娠の可能性があります。ただし、生理と似ている症状も多いため、見わけづらいでしょう。大きな違いとなるのが基礎体温です。

妊娠の可能性があるなら、お酒・煙草・カフェインに注意が必要です。食事の栄養バランスを見直し、ストレスを溜めないようリラックスして過ごしましょう。

記事監修

藤東 淳也
藤東クリニック院長・医療法人双藤会 理事長日本産科婦人科学会専門医 / 医学博士 / 細胞診専門医 / バイオインフォマティクス認定技術者 / 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医 / 日本内視鏡外科学会技術認定医 / 婦人科腫瘍専門医 / 母体保護法指定医 / 新生児蘇生講習会専門コース修了