「葉酸は不妊に効果があるのだろうか」
「不妊で妊活中の場合、葉酸サプリはいつから飲んだ方がいい?」
と思う方もいらっしゃると思います。
本記事では、葉酸が妊活で大切な理由や葉酸サプリを選ぶ際のポイント、葉酸を含む食べ物と効果的な摂取方法について解説していきます。妊娠を望んでいる方は、ぜひ記事を参考にしてください。
葉酸摂取は不妊に効果がある?
葉酸摂取が不妊に効果があるという明確な根拠・エビデンスはありません。
とはいえ、葉酸は妊活中に欠かせない栄養素であり、厚生労働省は妊娠前からの摂取を推奨しています。
葉酸には、血液を運ぶ赤血球を作る働きのほか、DNAやRNA・タンパク質の合成、細胞の合成などをサポートします。お腹の赤ちゃんの神経管が形成される妊娠初期に葉酸が不足すると「神経管閉鎖障害」のリスクが高まるとされています。
神経管閉鎖障害とは、お腹の赤ちゃんの神経管ができるとき(受胎後28日)に、神経管がうまくつながらない先天異常のことで、無脳症や二分脊椎などがあります。
二分脊椎は、胎児期に脊髄神経が入っている背骨のトンネルの形成がうまくつながらず、一部が完全に閉鎖していない状態です。
一般的に、通常妊娠に気づくのは神経管ができる頃よりも遅い時期です。葉酸を体に蓄えるには1か月程かかるため、早くから体に十分な栄養を備えておく必要があるのです。
葉酸はお母さんの栄養補給のためにも大事ですが、お腹の赤ちゃんの正常な発育のために欠かせない栄養素だといえるでしょう。
参考:eヘルスネット 葉酸とサプリメント-神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果/厚生労働省
参考:二分脊椎(脊髄脂肪腫、脊髄髄膜瘤)
妊活中に葉酸サプリを選ぶ際のポイント
葉酸のサプリメントは妊活中からの摂取が重要ですが、さまざまな種類があるため、迷う方がいるかもしれません。葉酸サプリを選ぶ際のポイントは以下の5つです。
- 葉酸の種類
- 葉酸の配合量
- 葉酸以外の成分
- 飲みやすさ
- 安全性
それぞれ解説しますので、サプリ選びの参考にしてください。
1.葉酸の種類
葉酸には食事性葉酸と呼ばれる「ポリグルタミン酸型葉酸」と、合成型葉酸と呼ばれる「モノグルタミン酸型葉酸」があります。
食事性の葉酸であるポリグルタミン酸型は、野菜や果物など調理が必要なものに含まれます。水溶性ビタミンの一種であるため調理過程で損失しやすいのが特徴です。消化吸収の過程でもさまざまな影響を受けるとされており、体内での利用率は約50%とされています。
一方、モノグルタミン酸型葉酸の体内での利用率は約85%と、ポリグルタミン酸型葉酸より高くなっています。
そのため、妊活中から妊娠初期にかけては、モノグルタミン酸型のサプリメントが推奨されているのです。
サプリメントの多くはモノグルタミン酸型ですが、妊娠のステージ別のサプリメントを販売しているメーカーでは、ポリグルタミン酸型のサプリも取り扱っています。バランスのよい食事と合わせて、葉酸サプリを上手に利用しましょう。
2.葉酸の配合量
葉酸サプリは、葉酸の配合量で選ぶのも一つの方法です。葉酸は、妊活中から授乳期まで多く摂取する必要があります。
厚生労働省で定める摂取基準は以下の通りです。
<1日あたりの葉酸摂取の推奨量>(μg/日)
ポリグルタミン酸型葉酸(食事性) | モノグルタミン酸型葉酸 | |
---|---|---|
12歳以上 | 240 | ー |
妊活中~妊娠初期 | 240 | 400 |
妊娠中期~後期 | 480 | ー |
授乳期 | 340 | ー |
一般成人女性の食事での推奨量は、1日240μgです。妊活中から授乳期にかけては食事での葉酸に加え、サプリメントでの摂取が推奨されています。
食事の葉酸は、食材の収穫時期や天候により品質が変わります。一方、サプリメントの葉酸は、原料の品質が一定に保たれるため、安定した量の葉酸を摂取できるのもメリットといえるでしょう。
妊活中から妊娠初期には、1日400μg摂取できるモノグルタミン酸型の葉酸サプリを選ぶようにしてください。
しかし、現在クリニックで不妊治療を受けている方は、併用するサプリメントや薬によっては、葉酸の1日の推奨摂取量を超えてしまう可能性があります。
副作用や体調を崩す原因ともなるため、かかりつけの医師に相談してから葉酸サプリを使用しましょう。
3.葉酸以外の成分
サプリメントは葉酸以外の配合成分もチェックしましょう。ビタミンB6・B12は葉酸の働きを助け、相性もよいとされています。ビタミンC、鉄分などのミネラルもお母さん、お腹の赤ちゃんの健康に大切です。栄養の不足が気になる方は、他の成分を含む製品を選ぶのも一つの方法です。
美容成分を含む製品や、葉酸だけのサプリメントもあります。自分に必要な栄養素はどういったものなのか、よく考えて選ぶようにしましょう。
4.飲みやすさ
サプリメントを継続するには、飲みやすさが大事です。飲みやすさは、以下の点を基準にするといいでしょう。
- においや味
- 大きさや厚さ
- 1日の粒数
においや味が気になると、気分が悪くなってしまったり、大きな粒だと飲みづらさを感じてしまったりする可能性があります。クセがなく、飲みやすいものを選ぶとよいでしょう。
5.安全性
サプリメントは製造過程で製品に含まれる成分量に差が出たり、有害物質が混入したりする可能性があります。
GMPマークのついた製品は、一定の品質が確保されています。GMPとは「製品が安全に作られ一定の品質が保たれるようにするための製造工程管理基準」のことです。
葉酸のサプリメントを選ぶ際は、GMPマークがついているかどうかも確認するといいでしょう。
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葉酸を含む食べ物と効果的な摂取方法
葉酸はサプリメントを摂ったから安心というわけではありません。基本は食事からの摂取です。ここでは以下の2つについて紹介します。
- 葉酸を含む食べ物
- 効果的な摂取方法
それぞれ解説しますので、毎日の食事の参考にしてみてください。
1.葉酸を含む食べ物
葉酸はビタミンB群の一つで、水溶性ビタミンに分類され、熱に弱く、水に溶けやすい性質を持ちます。さまざまな食品に含まれ、ほうれん草やブロッコリーなど緑色の野菜に多く含まれます。
しかし、日本人は野菜不足の人が多い傾向です。厚生労働省では1日の野菜摂取量の目安を350gとしていますが、多くの人が届いていません。なかでも若い方が不足している現状であるため、妊活中や妊娠中の方も不足しやすいと考えられます。
妊娠を希望する方は、妊活中から野菜を使った副菜をしっかりとるようにしましょう。葉酸は体に貯めておけないため、毎日の摂取が大事です。
以下は葉酸を多く含む代表的な食品です。
食品名 | 葉酸(μg) |
---|---|
なばな(ゆで) | 240 |
グリーンアスパラガス(ゆで) | 180 |
ほうれん草(ゆで) | 110 |
えだまめ(ゆで) | 260 |
いちご | 90 |
参考:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~/厚生労働省
野菜や果物、豆類は毎日の生活に上手に取り入れるようにしてみてください。とはいえ、同じものばかり食べていると、栄養のバランスが崩れるおそれがあります。バランスのよい食事を心がけましょう。
2.効果的な摂取方法
葉酸は水に溶けやすい性質があるため、ゆでると栄養成分が流れ出てしまいます。栄養成分の流出を防ぐためには、焼いたり、レンジ調理したりするのがおすすめです。ゆでる場合は、汁ごと摂取できるスープや味噌汁などがいいでしょう。
葉酸は熱に弱いため、加熱せずに食べられる食品を選ぶのも一つの方法です。また野菜や果物は光に弱いため、保管場所に注意してください。
葉酸に関するQ&A
葉酸についてよくある質問と回答をまとめました。
- 「葉酸サプリを飲まない方がいい」と聞いたけど本当ですか
- 葉酸を摂ると妊娠しやすくなるのですか
- 男性は摂取した方がいいのですか
- 摂りすぎるとどうなるのですか
- 妊娠がわかってからでは遅いのですか
一つずつみていきましょう。
1.「葉酸サプリは飲まない方がいい」と聞いたけど本当ですか?
「葉酸サプリを飲まない方がいい」というのは間違いです。
葉酸は妊活中から授乳期まで重要な栄養素です。妊活中から十分な葉酸を摂取することで、お腹の赤ちゃんの先天異常のリスクを減らせるとの報告があります。厚生労働省でもサプリメントの摂取を推奨しています。バランスのよい食事に加え、サプリメントを摂取しましょう。
ただし、サプリメントの過剰摂取は健康被害をもたらす可能性があります。食事で摂りすぎることはありませんが、サプリメントの飲み過ぎは、葉酸の過剰摂取につながります。1日の目安量を守るようにしてください。
2.葉酸を摂ると妊娠しやすくなるのですか?
葉酸は栄養成分の一つであり、妊娠に直接的に関係するものではありません。妊活中に大切だといわれているため「葉酸を摂ると妊娠しやすくなる」と、誤解されているのです。
葉酸はお母さんの不足しやすい栄養成分を補い、お腹の赤ちゃんの成長を助けるために大切です。妊娠を希望する場合は、生活習慣や栄養のバランスを整え、健康な生活を送りましょう。
3.男性は摂取した方がいいのですか?
健康維持のための栄養素として、葉酸は男性にも必要です。成人男性は、1日あたり240μgの摂取が推奨されています。
とくに妊娠を望むカップルは、男性も葉酸の摂取がおすすめです。健康生活の維持やコンディションを整えるのに役立ちます。パートナーと一緒に摂取するといいでしょう。
4.摂りすぎるとどうなるのですか?
食品に含まれる葉酸の摂りすぎによって健康を害した、という報告はありません。葉酸は水溶性ビタミンであり、食品からたくさん摂ったとしても、尿で排泄されやすいためです。体内に貯めておくこともできません。
ただし、サプリメントからの摂取は注意が必要です。ビタミンB12欠乏による貧血の発見が遅れるなど、健康障害を引き起こす可能性があると懸念されています。サプリメントは1日900μg以上を超えないようにしてください。
5.妊娠がわかってからでは遅いのですか?
遅くはありません。妊娠がわかった時点で飲み始めてください。葉酸は妊娠中を通して大切な栄養素です。
妊娠を希望する方は、妊活中から摂取するようにしましょう。お腹の赤ちゃんの神経管が形成されるのは受胎後およそ28日ですが、通常妊娠がわかるのは神経管ができる時期よりも遅いためです。妊娠初期の葉酸補給が重要です。
ただし、神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因で起こるものではありません。サプリメントを摂取したからといって、必ず予防できるわけでもありません。
また、妊娠したからといって、すぐに摂取を止めてしまうと赤ちゃんの栄養が不足する可能性があります。妊娠がわかってからも継続するようにしてください。
記事監修
藤東 淳也 藤東クリニック院長・医療法人双藤会 理事長日本産科婦人科学会専門医 / 医学博士 / 細胞診専門医 / バイオインフォマティクス認定技術者 / 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医 / 日本内視鏡外科学会技術認定医 / 婦人科腫瘍専門医 / 母体保護法指定医 / 新生児蘇生講習会専門コース修了 |