お知らせ
平成 30 年5月8日
公益社団法人日本産婦人科医会 会長 木下 勝之
先天異常部会 常務理事 平原 史樹

妊娠している方へ麻疹(はしか)の流行についてのご注意

厚生労働省からのお知らせや報道でも見られるように、全国で麻疹患者の発生報告が相次いでいます。本邦内での発生例はもとより、現在流行中のアジア、アフリカ、ヨーロッパの国々に渡航歴のある患者の届出症例もあわせて、今後の流行が懸念されています。
そこで、本会では、妊娠している方及びご家族等の皆様に、ご注意していただきたい点について、次のとおりお伝えします。

  1. いま、麻疹(はしか)は、発生報告から見ると、特に大人の間で流行しています。麻疹(はしか)に罹患したことのない方、免疫抗体の不足している方(予防接種を2 回していない方など 28 歳以上の年齢層の男女が多く含まれます)、また、海外の流行地、とくにアジア、アフリカ、ヨーロッパの国々(タイ、フィリピン、中国、台湾、インドネシア、イタリア、等々)からの滞在者や旅行者など、帰国後の麻疹発症や発症者からのさらなる 2 次感染が心配されています。感染者が多く発生している地域(上記の海外流行地,日本での流行報告地区)へのお出かけは極力避けることを強くお勧めします。
  2. 妊娠中に麻疹(はしか)に罹患すると、一般に重症化することが知られており、流・死産、早産の頻度が上昇するとの報告があります。また、胎児奇形を起こすことはないとされていますが、胎児の発育異常、羊水量の異常、新生児麻疹(分娩時罹患)などをきたすおそれがあるとされています。
  3. 麻疹ワクチン(通常は麻疹、風疹予防に対応する MR ワクチンが使われます)は、妊娠中には接種できませんが、これから妊娠を計画されている方や妊婦の周囲の方(とくに 28 歳以上の男女)は、積極的に接種を受けられるようにしてください(女性は接種後 2 か月間の避妊が必要です)。なお、地域によっては MR ワクチンの公的補助が実施されている自治体もありますので、地元の保健所等にお聞きになることをお勧めします。
  4. 麻疹(はしか)は、感染してから約 10-12 日間の潜伏期間の後、初期症状として発熱、咳、咽頭痛、鼻水、眼球結膜の充血、目やに等のカタル症状がでます。これらの症状が数日続いたあと、一旦下がるかの様に見えた発熱が一気に高熱となり、発疹が出始めます。感染力は症状(発熱、カタル症状)出現の前日から解熱後3日を経過するまで続き、極めて強い感染力を示します。
  5. 麻疹(はしか)は空気感染します。
    感染者と同じ空間、場所にいるだけで強い感染力をもって感染します。また、感染防御にはマスクは役に立たないとされています。
  6. 受診について;
    4.のような症状を伴う場合、特に約 10〜12 日前の行動を思い出し、海外や人が多く集まる場所に行った等の記憶のある場合は、麻疹(はしか)も疑って、必ず事前に医療機関に電話連絡してから受診先、時間等の指示を受けてから受診するようにしてください。(もしも感染していた場合には医療機関内で他の方に感染させるおそれがありますので、いきなり医療機関を受診しないよう、必ず事前に状況を伝えて受診場所や受診の方法の指示を受けてください)
  • なお普段健康な妊婦さんで、「麻疹の抗体が陽性で十分に抗体価がある」、あるいは「麻疹、MRワクチン、MMR ワクチン等の麻疹を含む予防接種を 1 歳以上で 2 回以上受けた記録のある方は、今回の妊娠中に新たに麻疹にかかることは稀と考えられます。
  • 不安な方はかかりつけの産婦人科医にご相談されることをお勧めします.
    また最新情報は下記の参考ウェブで更新されておりますのでご参照ください.

■参考ウェブ
① 麻疹,麻疹 Q and A 最新情報等(国立感染研究所)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html
② 海外流行地の情報
・厚生労働省検疫所;http://www.forth.go.jp/topics/2018/02201302.html
・外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2018C028.html